ヴェコシニキ=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
ヴェコシニキ
ヴェコシニキ(Vekoshniki)は残り物でつくるピロク。前日の夜のディナーで残ってしまった魚や肉をもう一度テーブルにあげるのはみっともないし、かと言って捨てるのももったいない。賢い主婦が生地を練り、残り物を詰めてペチカで焼いてみたら、あら不思議、美しくておいしい料理に変身した。ヴェコシ(vekosh')とは、古い物や屑を意味する。
ナクリョポク
ナクリョポク=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
ナクリョポク(Nakrepok)は、イースト菌入りの生地に、具の粥(ソバ、オート麦、または米)をのせ、その上に薄切りした塩漬け魚を密に並べたピロク。ナクリョポクとは固定を意味するが、薄切りの魚で粥を固定するということである。このピロクはプスコフ州やトヴェリ州でつくられている。
カリンニク
写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
カリンニク(Kalinnik)はもっとも古いピロクのひとつ。ガマズミの実をあらかじめ乾燥させて粉砕し、熱湯でゆでてピューレ状にし、ライ麦粉の生地と混ぜて焼く。ノンシュガーの厚みのあるパン。
ナリヴァシニキ・プリャジェヌィエ
ナリヴァシニキ・プリャジェヌィエ=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
小麦粉 450g
水 200g
ベリー・ジャム 200g
植物油 適宜
パウダーシュガー 適宜
塩 適宜
ナリヴァシニキ・プリャジェヌィエ(Nalivashniki Pryajenye)は、固めの生地にチーズ、卵、またはジャムを詰めた餃子のような揚げピロク。
小麦粉をふるいにかけ、水、大さじ1杯の植物油、塩少々を加えながら生地をこね、30分寝かせる。生地を薄くのばし、四角に切り、生地の中にジャムを詰めて2辺を閉じて三角にし、油で揚げる。
プリャジェヌィエはもっとも古い揚げ料理の一つ。ただ、揚げるとは言っても大量の油に浮かせるのではなく、フライパンに多めの油を敷き、油の温度があがったら揚げ焼きする。
ボルカンニク
ボルカンニク=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
生地
小麦粉 1.2kg
植物油 1カップ
塩 小さじ1
ドライイースト 5~6g
温水 カップ2
エストニア語とフィン語でポルカンとはニンジンを意味する。エストニアやフィンランド寄りの地域(旧プスコフ県や旧ノヴゴロド県など)では、ライ麦やライ麦・小麦の生地にニンジンと固ゆで卵を詰めたピロクを、ポルカンニク(Porkannik)またはボルカンニク(Borkannik)と呼んでいる。イースト菌入りの生地に、炒めたニンジン、タマネギ、ゆで卵、クミンまたはディルを詰める。
小麦粉にドライイーストと塩を入れ、温水と植物油を加える。生地をこねてボールに入れ、濡れタオルをかぶせて寝かせる。生地がふくらんできたら、再びこねて、また寝かせる。
ニンジン3~4本の皮をむいて縦に切り、熱湯に塩を加えて2~3分ゆでる。取りだしたニンジンを角切りにする。タマネギ2個を千切りにして、フライパンに油をひいて焼き、塩で味付けしてニンジンを加え、焼きながらしっかり混ぜ、角切りしたゆで卵を加える。ディルシードやクミンを加えても良い。生地を伸ばして円形を2枚をつくり、1枚目に具をのせて、2枚目で閉じる。
グブニク
グブニク=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
グブニク(Gubnik)とはプスコフのおいしいキノコのピロク。具に新鮮なアカモミタケを使う場合はルィジェチニク(Ryjechnik)と呼ばれる。キノコの季節が訪れたら、さてグブニクつくりの準備だ。
小麦粉500g、温水2カップ、イースト菌40gを混ぜてこね、暖かい場所に30分置く。その後さらに小麦粉500g、植物油1カップ、塩小さじ1を加えて、生地が手にくっつかないようになるまでこねる。生地をボールに入れて、濡れタオルをかぶせ、暖かい場所で3時間寝かせる。その間ふくらんできた生地を2度つぶす。寝かせている間に具を用意する。
玉ねぎ5個をみじん切りにし、大きめのフライパンに植物油大さじ4を敷いてあめ色になるまで炒め、細かく切ったキノコ(塩漬けキノコでも生キノコでも)を3カップ加えて炒め、黒コショウをふる(生の場合は塩もふる)。火を消してそのまま冷ます。生地を延ばして楕円形をつくり、餃子をつくる要領で真中に具をのせて閉じる。蒸気を逃すために、中心部は閉じないでおく。生地の表面に濃い紅茶を塗り、180度に熱したオーブンで40分焼く。
チャピリク
チャピリク=写真提供:「ルースカヤ・セミョルカ」
ケフィール(乳清または酸乳) 800ml
重炭酸ソーダ 小さじ1
小麦粉 適宜
塩 小さじ1
カッテージチーズ、マッシュポテト、マッシュパンプキン 800g
卵 2個
青ネギ 1束
バター 400g
ジャガイモ、カッテージチーズ、またはカボチャを具とした発酵生地の平らなパンは現在、アディゲのピロクやイングーシのピロクと呼ばれている。さまざまな種類のチャピリク(Chapil'g)は、民族料理、または民族の誇りとして、コーカサス地方の人々の間で人気があり、愛されている。ただこの料理は、ロシア料理からクバンやテレクを通じて伝わったものだ。
ボールに小麦粉を入れて、穴をあけ、塩小さじ1を入れる。別のボールに入れた温かいケフィールに重炭酸ソーダ小さじ1を入れて混ぜ、小麦粉の入ったボールに加えて、生地をこねる。やわらかな生地ができあがったら、濡れタオルをかぶせて20~30分寝かせる。生地を何等分かにわけて、厚さ1cmに伸ばす。生地の中央に具を大さじ2.5のせて、包むようにしてボールをつくり、その後これを平らにして、熱したフライパンに油を敷かずに並べ、フタをする。中火で2分半焼いたらフタをあけ、ひっくり返してまた焼く。できたチャピリクをお皿にならべて、タオルをかぶせておく。フライパンに水を入れ、沸騰したらチャピリクを浸す。チャピリクを大皿にのせて、両面にたっぷりバターを塗る。
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