キャビアについてあまり知られていない5つの事実

Legion Media
 サンクトペテルブルクにあるBelmond Grand Hotel Europeの「キャビアバー」のソムリエ、アレクサンドル・ドミトリエフが、キャビアがなぜそれほど高価で、宇宙にまで運ばれるのかについて語ってくれた。

1. キャビアの採取は非常に難しく、時間がかかる

チョウザメの養殖

 キャビアは、ロシアでもっとも有名で高級な食材である。2007年にロシアでチョウザメの漁獲が完全に禁止されたのを受け、キャビアは非常に貴重なものとされているためである。

 チョウザメの養殖は非常にコストのかかる産業である。1980年代の末から1990年代の初頭にかけて、チョウザメは群れをなしてヴォルガ川の河口で産卵していたため、少ない費用で漁獲できていた。その当時は、カスピ海にも大量のチョウザメが生息していた。しかし現在は文字通り、小さな卵から稚魚を育て、産卵するまで成長させなければならず、そのプロセスには数年かかる。たとえば、もっとも小さなチョウザメであるコチョウザメでも3–4年、チョウザメは8年で産卵するが、オオチョウザメの場合は15年から20年もの時間を要する。

2. 味見は手のひらで 

 かつて、キャビアの味見をするときには、小さなスプーンでキャビアをすくい、手のひらに乗せる(親指と人差し指の間あたり)という方法が使われていた。商人たちも契約が成立した際にこのようにして試食させていたのである。普通は真珠層か銀のスプーンが1本だけ用意されており、それを使って人々の手にキャビアを乗せ、味見させた。手のひらに乗せたときに、キャビアの味が完全に感じられると考えられていたのである。キャビアを手のひらに乗せた後、しばらく時間を置く。というのも、キャビアは普通冷やされているものだが、その味は室温でもっともおいしくなるからである。

3. 宇宙飛行士の食事メニューにも入っているキャビア

キャビアは非常に栄養価が高く、タンパク質が豊富で、ビタミンも多く含まれている。そこで、ソ連時代から現在に至るまで、塩漬けキャビアは宇宙飛行したちの食事メニューにも含まれている。写真は宇宙飛行士セルゲイ・プロコピエフ

 もっとも安価なキャビアはパユス加工、あるいはプレス加工と呼ばれるもの。キャビアの養殖が可能になったとき、保管期間が短いことに気がついた。そこでキャビアを温かい塩水の入った樽に入れ、プレス加工したのである。キャビアは塩を含み、水分は取り除かれた。

 プレスを意味する「パユス」という言葉は、ロシア語で帯を意味する「ポヤス」から来たという説がある。重労働を強いられていたヴォルガの舟引きたちは、キャビアを帯状につるし、それを少しずつつまみながら、長時間の休憩を取らずに仕事をした。キャビアは非常に栄養価が高く、タンパク質が豊富で、ビタミンも多く含まれている。そこで、ソ連時代から現在に至るまで、塩漬けキャビアは宇宙飛行したちの食事メニューにも含まれている。ただし、もしキャビアをまだ食べたことがないならば、プレスキャビアから始めるのはオススメしない。味がかなり特殊だからである。

4. キャビアに最適な飲み物はウォトカではない 

 ソ連時代はキャビアとウォトカという組み合わせがもっとも一般的であった。しかし、1930年代くらいまでは、キャビアは穀物からできる蒸留酒(熟成されていないウイスキーのようなもの)か古い蒸留酒でウォトカの先祖とも言えるポルガール、あるいは「穀物ワイン」と一緒に食されていた。

 食べ方は2つある。クラシカルな食べ方は、蒸留酒を飲んで、キャビアを食べるというもの。そしてもう1つの食べ方は最初にキャビアを食べて、まだ後味が残っている間に25グラムの蒸留酒を一気に飲む。キャビアの味が軽ければ、飲み物も軽くなければならない。たとえばコチョウザメには穀物蒸留酒が合う。なぜなら、穀物蒸留酒は一番軽いからである。チョウザメにはライ麦の蒸留酒がよい。そして塩気の少ないキャビアにはからす麦の蒸留酒が一番合う。 

 それからキャビアにはシャンパンもよく合う。シャンパンには砂糖が含まれており、この甘さがキャビアにはぴったりなのである。一方で、シャンパンの酸味も脂肪分の高いキャビアと相性がよい。キャビアの粒がはじける感覚は、シャパンの泡と炭酸が口の中ではじけるのと似ているとも言われる。加えて、イメージの問題もある。それはシャンパンもキャビアと同じように贅沢品だと考えられているためである。

 

5. 持ち込みと持ち出しには厳しい制限がある 

 ロシアの法律では1人がロシアから持ち出せるキャビアの量は250グラムと定められている。しかしそれは、必ずしも、持ち込む国の制限量とは一致するわけではない。たとえばアメリカの税関では1人あたり125グラム以下のキャビアを持ち込むことが可能である。この制限はEU諸国への持ち込みの際にも同様である。空港の保安サービスにキャビアを没収されないようにするには、キャビアの入った容器を手荷物に入れないことである。

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