1. グムのアイスクリーム
ワッフルのコーンに入った、プロンビエールやクリームブリュレ味のアイスが赤の広場にあるグム百貨店で作られ、販売されるようになったのは1954年のこと。このアイスクリームには長蛇の行列ができた。値段が比較的安く(20コペイカ)、脂肪分たっぷりで甘くて・・・、単純に言えばとんでもなくおいしかったのである。このソ連中で有名なアイスクリームは要人や有名人にも振舞われた。とくにこのアイスクリームを評価したのは、アメリカのパトリシア、ニクソン元アメリカ大統領夫人とエルトン・ジョンであった。
プロンビエール味とクリームブリュレ味に加えて、現在ではバニラ、スグリ、チェリー、ピスタチオ、ストロベリー味が売られている。しかし、グムの中にある「第1番食料品店」のマネージャー、タチヤナ・べレストネワさんによれば、レシピはソ連時代から変わっておらず、有名なグムのアイスクリームは今でも、手作りで、主な材料には無添加の牛乳が使われているとのこと。
2. シャーベット「フィリョフスコエ・マロージェノエ」
ベリーが描かれた白い紙のカップに入った鮮やかなピンク色のシャーベットは、ソ連のすべての都市で売られていた。値段は7コペイカと非常に安かったため、誰でも買うことができた。そのため多くの人たちにとっての子供時代の味となっている。
このアイスクリームはすでに製造中止となっているが、2000年代、「アイスベリー」社がすべてのロシア人が知っているこの味を再現すると決めた。新たに作られたスグリ風味のアイスはちょっと酸っぱく、中には小さく刻まれたスグリの実が入っている。新しく発売されたこのアイスもたちまちロシア人の間で人気となり、現代の子どもたちは授業が終わると、大急ぎでこのアイスを買いに走っている。
3. エスキモー「11コペイカ」
ソ連の人々に愛されていたもう一つのアイスはエスキモーという棒つきアイスバー。クリームの味はもちろん、チョコレートコーティングが人々に愛された。とは言え、1980年代半ばにはあまり売られなくなり、その後、最初のような形では売られなくなった。
1990年代半ば以降、多くの会社があの懐かしい味を再現しようと試みたが、「チースタヤ・リニヤ」社のものがもっともおいしいものに出来上がった。エスキモーの名前は「11コペイカ」。ソ連時代の値段がそのまま名前になっている。
4. プロンビエール「ラーコムカ」
チョコレートのコーティングが施された円柱型の柔らかいクリームのプロンビエールがモスクワに初めて登場したのは1970年代。当時、この新製品は28コペイカとなかなか高価であったが、すぐに市民の心をつかんだ。
現在、この有名なプロンビエールはいくつかのブランドから出されているが、このアイスが好きだという人の間では、「アイスベリー」社の製品がより好まれている。
5. プロンビエール「コレノフカの仔牛」
ウラジーミル・プーチン大統領が国際航空見本市MAKSで、2017年と2019年の少なくとも2度買ったアイスクリーム。プーチン大統領はほかでもないこのアイスを「ロシアでもっともおいしいアイス」と呼んだ。
ワッフルでできたカップ型のコーンに入った極普通のプロンビエールで、グムのアイスクリムによく似ている。