外国人がアレンジしたロシア料理:エストニア人シェフが作るニシンを使わない“毛皮を着たニシン”

ロシア料理
マリア・アフォニナ
 レストランStoriesの厨房で働く若きシェフ、ウラジスラフ・コルプソフは直火で燻製する特殊な技術を駆使しており、ミシュランの星を獲得することを夢見ている。今回はソ連の人気サラダを思い起こさせるサラダのレシピを紹介してくれた。

 ウラジスラフ・コルプソフは21歳のときに、「エストニアのベストシェフ」コンクール(2011年)で、最年少で優勝したが、その後、急速にキャリアを伸ばした。コルプソフはムフ島にあるレストランAleksander(エストニア最高のレストランに何度も選ばれている)、ノルウェーのThe Thiefで勤務した後、フィンランド、スウェーデンにあるミシュランの星を獲得したレストランで修行をし、そこからユニークな調理技術を持ち帰った。今回はモスクワのレストランStoriesで行なっている食の実験をシェアしてくれた。

スカンジナヴィアからどのようにしてロシアに来ることになったのですか?

 ロシアの有名なシェフ、イワン・ベレズツキーがゲストとして招かれたことがあり、その返礼訪問という形で、今度はわたしがロシアに行きました。そのとき、わたしの料理がロシアで非常に高く評価してもらえたことから、ロシアに残ることにしました。最初はペテルブルクにいましたが、その後モスクワに移りました。

スカンジナヴィア料理とロシア料理は似ていますか?

 そうですね。塩漬けや燻製が使われるというところが似ています。現在Storiesでは直火を使ったさまざまな燻製の方法を用いています。たとえば、熱した鋳鉄の漏斗を使って牛の脂肪で食材を焼くという技術などです。肉や牡蠣などを調理するのに使います。また沸騰した生クリームやブイヨンに炭を入れるという調理法もあります。

 エストニアとフィンランドでは、高級食材とまったく安価な食材を絶妙に組み合わせているシェフがいることを知りました。それをモスクワでも試みています。たとえばロブスターとビーツを合わせて出したりします。それから店では手に入らないようなものも使います。モミの新芽のアイスクリームやタンポポのジャムなども作っています。

では、ちょっと変わったレシピを紹介していただけますか?

 ロシアのサラダ「毛皮を着たニシン」に似た味がする現代風のサラダを作りたいと思います。ニシンの代わりにロブスターを使い、ビーツの層の代わりにビーツのスパゲッティ、そして雪を見立てたヤギのチーズを使います。

材料:

ロブスターのタルタル、エシャロット添え

 ロブスターは熱湯に5秒さらした後、すぐに氷水につける。余分な水気をとり、5ミリ幅に切る。エシャロットは0.5ミリ角のみじん切りにする。ロブスターを水に入れ、沸騰後、90℃で2分ほど茹でて、アルデンテの固さにする。エシャロットをまぶし、黒コショウと海塩で味を整える。

マヨネーズソース 

 自家製マヨネーズに焦がしバターを混ぜる

ビネガージェル 

 すべての材料を混ぜて火にかけ、沸騰させたら、寒天を加える。冷蔵庫に入れ、粗熱をとったら、ブレンダーにかけ、ジェル状にする。

盛り付け(1人前)

 ビーツは特別なおろし器で細長いスパゲッティ状にする。ビーツのスパゲッティをロブスターの上に乗せ、上に凍ったヤギのチーズをおろしたものを散らし、ハーブで飾る。ビネガージェルとマヨネーズをサラダの周りに添える。ソースは食べる直前に混ぜること。

 プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)

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