「ロガリキ」という名前はロシア語で「角」を意味する言葉で、お菓子はその名の通り、三日月の形をしている。クロワッサンとロガリキは言い方は違うだけで、実は同じものだと信じている人も多いが、それはちょっと違う。クロワッサンは伝統的にふっくらとしたパンであるが、ロガリキは、イーストを使った生地であるショートクラスト、トヴォーログ(ロシアのカッテージチーズ)もしくはクワルクから作られる。
ソ連時代に一番人気のあったロガリキは伝統的なイースト菌の生地で作ったものだった。それは甘味のあるパンで、学校や職場の食堂で必ず売られていて、全国どこでも同じ値段だった。基本のレシピは地方によって若干違っていて、例えばモスクワではナッツ入りが人気だったり、ノヴォシビルスクでは伝統的に砂糖でコーティングされていたりといった具合であった。ウクライナのロガリキは、果物とベリージャム(ヴァレニエ)を入れるのが一般的だ。
しかし祖母の記憶によれば、もっとも好まれていたロガリキは、ショートクラストで作られたものだったという。イースト入りの生地から作られたものよりずっと小さく、パウダーシュガーがたっぷりかかっていて、クッキーに似ていた。イースト入りの生地のものと違い、店で売られている事は滅多にないので、当時の女性たちはそれぞれ自分の自慢のレシピを持っており、お互いに交換していた。
ここでは、祖母が30年以上守ってきたレシピとほとんど同じ作り方のものを紹介する。ただし基本的なショートクラストのものではなくて、サワークリームも使ったものだ。乳製品を加えると、一味違ったものになるし、ショートクラスト菓子がより柔らかく味が深くなる。
生地の材料:
- 薄力粉 200g
- バター 100g
- サワークリーム 100g
- 卵 1個
- ベーキングパウダー 小さじ1/2
- 砂糖 小さじ1
- 塩少々
フィリングの材料:
- 焦がしコンデンスミルク(ドゥルセ・デ・レチェ)
- 砂糖
- ふりかけるためのパウダーシュガー
作り方:
1. バターは生地をこねる30分くらい前には室温に戻しておく。
2. 大きめのボウルに柔らかくなったバターとふるった薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖、塩を入れ、フォークで混ぜる。このときにはパラパラした状態である。
3. 次にサワークリーム、溶き卵の半量を加えて、こねる。少し固くなるが、まだ柔らかく、伸びがある状態になれば、2等分し、それぞれをポリ袋に入れ、冷蔵庫で30分から40分冷やす。
4. 片方の生地を取り出し、めん棒を使って丸くのばしたら、10から12個の三角形にカットする。
5. フィリングを詰める。プレーンな砂糖からジャム、マーマレードまで何を入れてもよい。わたしは片方の生地には砂糖をまぶすだけだが、実際、砂糖のフィリングのロガリキはロシアのもっとも伝統的なものである。三角形の生地をくるくる巻いて、クロワッサンのような形にし、端を少し押さえる。
6. もう一つの生地も同じようにする。もう一つの方には、こちらもロシアのお菓子では代表的な焦がしコンデンスミルク(ドゥルセ・デ・レチェを使う(ちなみにこれはわたしの1番のお気に入り)。焦がしコンデンスミルクやジャムなどのフィリングは入れすぎないように気をつけること(焼いている間に漏れてくるため)。1つのロガリキに入れるフィリングはティースプーン2/3くらいがベスト。
7. パーチメント紙を敷いた天板にロガリキを並べ、表面に残った溶き卵を塗る。180℃のオーブンで20分から25分、表面にこんがり焼き色がつくまで焼く。
8. 焼きあがったら、粗熱をとり、パウダーシュガーをたっぷりかけたら、アイスミルクか熱い紅茶と一緒に召し上がれ!プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)