このシンプルなデザートはロシアでは誰もが知っているものであるが、起源は18世紀に英国で作られた「シャーロット」と呼ばれるデザートである。リンゴのパンプディングは、当時の農民が作り始めたもの。ロシア版「シャーロット」は、19世紀の初めに、ロンドンでロシア皇帝アレクサンドル1世に仕えていたフランス人シェフ、マリー=アントワーヌ・カレームが創作した。後にこの料理は人気となり、またババロアとサヴォイアルディ・クッキーを使わずにビスケットとリンゴで作るシンプルなパイになった。そして名前も「シャルロートカ」と呼ばれるようになった。
子供のころから、母は特別な折にはシャルロートカを作ってくれた。別の町に住んでいるため滅多に会えない祖母が訪ねてくる時には、いつもこれを焼いてくれたものだ。子供心に祖母の訪問とシャルロートカは結びついており、シャルロートカと言えば大家族でのディナーを思い出す。
それから8歳になったころ、シャルロートカを自分で作りたいと思うようになった。そして、それは生まれて初めて1人で作った料理となった。その時は、やることが多くて、なんて難しい料理なんだろうと思ったものだが、いつも一生懸命作る価値があった。それからと言うもの、これは私の「とっておき」の料理になったのだ。
また、メキシコ人の夫に最初に作ったのもこの料理である。とても気に入ってくれたので、ほどなく彼は自分の母親にも作り方を伝えてくれた。今では、メキシコにいる義母もこのシャルロートカをエキゾチックなロシアのリンゴのケーキとして友達や家族に振舞ってくれており、こんなに簡単に出来るものが家族を結び付けるのに役立っているのを見てうれしく思っている。でも、もっとも大切なことは、わたしがパティシエという職業を選んだのもこのシャルロートカの影響だということである。
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