パイ生地のコーンに卵白クリームをつめたお菓子は、今日でも広く愛されている、ソビエトの代表的なお菓子の一つだ。子供のころ、よく近くのお菓子屋さんで母親にねだったものだ。買ってもらうとそのパリパリの生地にすぐかみつき、沢山の粉砂糖を手や鼻や色んなところにまき散らしたものだ。私がこのお菓子を好きな理由は、他のソビエト菓子に比べて、クリームが軽くてふわふわだからだ。バターや重いクリームを使っておらず、砂糖と卵白しか使っていない。
卵白クリームコーンはソビエト時代の真の楽しみであったと思う。私の両親や祖父母の記憶によると、ソ連時時代の殆どの食堂やパン屋さんで、このお菓子が22コペイカで売られていた。
しかしながら、このお菓子の起源はドイツにある様だ。ドイツには著名な哲学者フリードリヒ・シラーの名にちなんだシラーロッケという名前のお菓子がある。
この名前は彼の特徴的な髪形に由来している。美しいブロンドのカールはお菓子の型にインスピレーションを与えた。中身はホイップクリームをはじめ、メレンゲ、そして食欲をそそるマッシュドポテトが詰められていた。おそらく、ソビエトの菓子職人はドイツのレシピを採用し、当時バタークリームやカスタードとともに広く使われていた卵白クリームを詰めることにした様だ。
この卵白クリームコーンの一番良いところは、高価で変わった材料を使う必要がないことだ。材料は簡単に冷蔵庫から見つけることが出来る。もっとも難しいのは、この象徴的な円錐形を作るためにパイ生地を丸めるための金属のチューブだ。でも、良いニュースがある。これは、アルミホイルで自作することで簡単に代用できる。
材料(生地500g分):
- 卵白 2個分
- 卵黄 1個分
- 砂糖 150㌘
- 水 70ml
- レモン汁(レモンジュース) 小さじ1
- 振りかけ用の粉砂糖
- 塩
作り方:
- まず、お好みの店で買ってきたパイ生地シートを室温に戻す。シートを幅約1cmの12本の帯状に切る。
- 表面に小麦粉をしっかりまぶして、帯が2倍程の長さで充分に細くなる様に慎重に伸ばしていく。次に、この帯をコーン型にしていく。ステンレス製のコーン焼き型が一番良い。
- 帯を型にそってらせん状に巻きつけて、コーン型を作る。底の方から巻いていこう。端が少し重なる様に巻いていくのが良い。残りのパイ生地も同様に行う。
- 全てのコーンを、オーブンシートをひいたトレーに並べ、卵黄を小さじ2杯の水で薄めたものを塗る。
- 180℃のオーブンで約25分焼く。コーンが膨らんで、うっすらと表面が黄金色になるのが目安だ。
- 特製の卵白クリームを作る。鍋に水と砂糖を混ぜ、沸騰させる。綺麗な砂糖シロップが出来るまで中火で5分程煮る。
- その間、大きな綺麗なボールに卵白を入れ、塩ひとつまみとレモン汁を加えて角が立つまでかき混ぜる。かき混ぜ続けながらゆっくりと熱い砂糖シロップを加える。
- 卵白クリームが、形を保ち滑らかで表面も文字通り光沢が出るまで、さらに数分間混ぜる。これで準備が完了だ!
- コーンが完全に冷めていることを確認し、クリームを詰める。私はいつも絞り袋を使っている。
- 全てのコーンにクリームを充填し、粉砂糖をかけて頂く。どうぞ、召し上がれ!