恐らく、ロシアのお菓子屋さんで、エクレアをはじめその他シューペイストリーを置いていないところはないだろう。このフランス風のお菓子、シューペイストリーは、まさに、ロシアの食卓のスター選手のひとつだった。全ては19世紀の皇帝アレクサンドル1世の宮廷パティシエであったアントワーヌ・カレームが書いたレシピから始まった。彼のレシピが文字通りロシアの食に革命をもたらしたのだ。
シューペイストリーが、いつ、だれによって、リング状で中にトヴォーログクリームがつめられている今の形になったのかは分かっていない。しかしながら、ソ連時代の菓子職人たちは、フランスで人気のペイストリーに影響を受けて、中身をフランスの伝統的なカスタードクリームから、ロシアの乳製品で最も人気のあるトヴォーログに変えるヒントを得たのだ。これらのクリームはともに、甘くてちょっと酸味があり、特徴の ある味でかつ滑らかな舌触りであるのが特徴だ。
私の父にとって、甘い物のなかでもシューペイストリーは、頭から離れないものだ。彼の思い出話によると、ソ連時代の物不足の時でさえ、殆どのお菓子屋さんでエクレアを簡単に買うことが出来たという。バタークリーム、またはメレンゲクリームのエクレアが一般的であったが、疑う余地なく、最も美味しかったのは、なめらかなトヴォーログが入ったシューペイストリーだった。でも、トヴォーログ入りのものをお店で見つけるのは大変だった。今では、トヴォーログリングはロシアの多くのベイカリーや、更にはスーパーマーケットでさえ買うことが出来る。しかしながら、あなたの口は、真の伝統的なトヴォログリングを味わうには、家で手作りするのが一番いいことを、もう知っているだろう。お店で売っているシューリングはだいたい重要な材料が足りないのだ。そう、甘くて美味しくて酸味のあるトヴォーログクリームだ。家だったら惜しみなく入れることが出来る!
1.まずシューペイストリーを作る。水、バター、砂糖、そして塩を鍋にいれて混ぜ、煮る。
2.次に、ふるいにかけた小麦粉を①に入れ、木べらで混ぜる。ダマにならないよう、小麦粉を一気に加えることが重要だ。低温から中温で3-5分間、ペイストリーをかき混ぜ続ける。上手にできると、ペイストリーは鍋ぎわから簡単に離れ、とても分厚い生地になる。
3.生地を大きいきれいなボールに入れ、卵が固まらないように、生地を数分間冷やしておく。次に卵を加え、卵を1個加えるごとに、生地をよくかき混ぜる。
4.生地はフォークか、またはミキサーでかき混ぜる。全ての卵を加えると、まだ形が残るがとても滑らかで艶のある生地が出来上がる。
5.スプーンで絞り袋に生地をいれ、2枚のオーブントレーにクッキングシートを敷いた上にリング状に絞り出す。おそらくこの材料で12個ほど出来る。
6.オーブンを190℃に予熱。焼く直前にリングに粉砂糖をかける。表面が完全に黄金色になるまで、20-30分間焼く。リングが崩れてしまうので途中でオーブンを開けないように注意しよう。焼きあがったら完全に冷ます。
7.では、中身のトヴォーログクリームへ移ろう。ミキサーを使い、柔らかいトヴォーログ(またはクワルク)と生クリーム、そして味付けに粉砂糖を加え、かき混ぜる。もしトヴォーログが見つからないならば、リコッタチーズでも代用可能だ。クリームを絞り袋につめる。
8.冷やしたリングを真ん中で水平に切る。片方にたっぷりのトヴォーログクリームを絞り出し、もう片方のリングを上から載せる。全てのリングを同様に繰り返す。
9.食べる前に粉砂糖を振りかける。コーヒーとともに頂こう。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)
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