パスチラ:かつて皇帝をも喜ばせたりんごのお菓子をマスターしよう!

ワシリサ・マリンカ撮影
 アメリカ人はココアとマシュマロを一緒に食べるのに、ロシア人がココアにパスチラを添えるところは滅多に目にしません。それはなぜでしょうか?

 「パスチラ」という単語をおそらくあなたは聞いたことがあるでしょう。パスチラはしばしばマシュマロと比較される、ロシアの伝統的でもっとも古くからあるお菓子のひとつだ。でも本場のロシア人は決してパスチラのことをマシュマロとは呼びません。

 伝統的に、パスチラはたった2-3の材料から作られ、でんぷんやゼラチンを含まないお菓子だ。特別なハンノキの箱に入れてロシアの伝統的なオーブンで何時間も水分を飛ばして作る。

 本物のロシアのパスチラは、ロシアでしか手に入れることができない、アントノフカと言われるリンゴで作られる。アントノフカはとても酸味があり強い香りが特徴だ。ロシアで育った子供なら皆、パイやケーキその他のりんごのお菓子を作るのにはアントノフカが最適だと知っている。

 パスティラの歴史はあなたが驚くほど古い。

 1917年の革命までは、パスティラはコロムナ、ルジェフ、ベリョーフの3つの都市で作られていました。それぞれ都市の名前にちなんで名前が付けられ、その材料は明かされていなかった。

 最も生産が多かったのは、ベリョーフである。1858年にアムヴローシイ・プロホロフという実業家兼商人が大規模なりんご農園を始めた。彼は1888年に果物を乾燥させる機械を導入し、それによってパスティラの生産が始まった。1890年には、ベリョーフのパスチラはサンクトペテルブルクで行われたガーデニングコンテストで金賞を獲得した。その後、プロホロフはモスクワ、サンクトペテルブルク、キエフ(現在のウクライナ)、トビリシ(現在のジョージア)に次々とお店をオープンさせた。そしてさらには、ロシアのお菓子としては歴史上はじめて、西洋諸国へ輸出までも開始した。

 1918年、ベリョーフでのパスチラの生産は、彼の土地が国営化されたことで一時的に中断した。その後、彼の息子のニコライにより再開され、「プロホロフと息子」のブランド名でモスクワにお店をオープンさせた。しかしながら1926年、ベリョーフのパスティラの製造が州の統制下に移されることになり、ニコライはベリョーフの乾燥工場のチーフエンジニアとして雇われることを提案された。彼はこれを拒否し、政府によって迫害された。

 一方、パスチラの工場は1990年代まで続き、その後数年間営業を停止した。その後は、パスチラは職人の手によってのみ作られることになった。工場生産が再開したのは2000年の初めであり、伝統的なレシピに沿ったパスチラは国内外で大きな人気を博すこととなった。

 パスチラの作り方はちょっと面倒臭いのだが、絶対に作る価値があるので、是非試して頂きたい。なにせ、パスチラは皇帝御用達のお菓子だったのだから!

材料:

  • りんご 8個(酸味の強いもの)
  • 砂糖 170g
  • 卵白 1個分
  • 粉砂糖

作り方:

 1.オーブンを180度に温める。りんごを丸ごとオーブンに入れ、柔らかくなるまで45-60分程熱を加える。いくつかりんごが割れてしまっても問題ない。

 2.りんごが焼けたら、皮と芯も一緒にこして、ピューレ状に混ぜる。その後、こし器で混ざらなかった部分をすくい分け、ピューレを冷やす。

 3. 500 g 分のりんごピューレに卵白と砂糖を加え、ミキサーで混ぜ合わせる。ミキサーの最高速度で5-7分程度かさが増え、明るい色になるまで混ぜ合わせる。

 4.りんごのピューレをカップ1杯分取り分け、冷蔵庫で冷やす。残りのピューレを、ベーキングシートを敷いたトレイの上に、2センチ程の厚さに伸ばす。

 5.オーブンを100℃に温め、もしあればコンベクションモード(ファンで熱風を対流させるモード)にし、④の生地を3-4時間焼く。30分毎にオーブンのドアを開け、蒸気を逃がしてやる。生地が少し色が濃くなり落ち着いてきて、べたべたとくっつかなくなる。

 6.生地を取り出し冷やす。表裏をひっくり返し、ベーキングシートをはがす。生地を3つの均等のサイズに切り分ける。

 7.冷蔵庫で冷やしておいたりんごのピューレを取り出し、生地の合間に塗り、ミルフィーユ状に積み上げる。表面や側面にもピューレを塗る。ピューレを塗ったパスチラを、オーブンに戻し、また30分毎に扉を開けながら、更に2時間焼く。

 8.オーブンから出したのち、しっかりと冷やし、最後に粉砂糖を全体にまぶす。パスチラは密封の袋で保管すると、新鮮さを保つことができる。・・・あなたが食べないで残すことが出来るならば!

 プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)

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