「ブーシェ」という言葉を聞いてソ連生まれの人がすぐに思い描くのは、丸いふんわりしたビスケットの間にクリームをたっぷりとサンドし、上から溶かしチョコレートをかけた象徴的な小さなケーキだ。
ブーシェは、18世紀のフランスで作り出されたものだが、最終的に、概して伝統的なフランス料理のレシピを使うことを好むソ連の菓子職人らによって少し変えられ改良された。ブーシュというフランス語の名前と明らかにわかるルーツにもかかわらず、ブーシュは完全にソ連のシェフが作ったものだと信じている人もいる。なぜなら、オリジナルレシピで使われている材料が、ソ連のお菓子にとても一般的なものだからだ。スポンジケーキ、チョコソースまたはクリーム状にしたもの、バタークリーム――ずっしりしたバタークリームをたくさん。
私の祖母は、ブーシェケーキはほとんどどこの菓子店でも売られていて、値段は22コペイカで、1960-70年代にはかなり高価だったことを覚えている。当時はまた、一般的な劇場のビュッフェの楽しみでもあった――人々はよく幕間にブーシェを楽しんだものだ。今日、ブーシェはロシアの至る所で販売されている。しかし、甘党の人たちは、今日のブーシェはソ連時代に作られていたものにはかなわないと信じこんでいる。それが、私がブーシェを家庭で作ることを強くお勧めする理由だ。作り方は簡単だが味は格別。ブーシェは軽さとふんわりしたビスケットで知られている――だから、生地にはバターを使わないようにしよう。
1.卵を卵白と卵黄に分け、卵白を大きなボウルに入れる――油分をきれいに取り除くために、レモン汁か酢でボウルをきれいにしておくことを忘れないようにしよう。塩ひとつまみを入れた卵白をゆっくりと泡立ててゆく。卵白がかなり泡立ってきたら、砂糖20gを加え、さらに泡立てる。基本のメレンゲを作る――ピンと角が立ち、目に見える砂糖の粒がなくなって滑らかでつやができるまで混ぜる。
2.できたメレンゲは脇に置いておき、別のきれいなボウルに残りの砂糖40gを入れて卵黄を泡立てる。これには時間をかける:卵黄の量が倍になり、ほぼ白に近い薄黄色になるまでは普通、約4〜6分かかる。卵黄が泡立ったら、それを卵白と混ぜ合わせる。
3.メレンゲを泡立てた卵黄に加え、ヘラで慎重に混ぜる。手際よくかき混ぜないと、生地がつぶれてしまうことがある。次に、小麦粉をふるいにかけ、ヘラで滑らかになるまで生地に混ぜ合わせる。
4.丸いノズルの付いた絞り袋にできた生地を入れ、クッキングシートを敷いた天板に中くらいの大きさの丸いビスケット生地を絞り出していく。これを180℃で20〜25分焼く。
5.焼きあがった生地は少しサイズが大きくなり、上がこんがりと黄金色になる。完全に冷ましてから、ビスケットの半量をダークチョコレートのガナッシュでコーティングする。
6.ダークチョコレートに大さじ2のホットミルクを混ぜると、つやのある滑らかなチョコレートソースになる。
7.ビスケットの表面を慎重にガナッシュに浸し、冷やして固める。ホワイトチョコや粉砂糖をトッピングしてもいい。
8.フィリングについては、私はバターをサンドした伝統的なソヴィエトバージョンよりホイップクリーム入りのブーシェのほうが好きだ――そのほうが、より軽くふんわりとする。軽く角が立つまでヘビークリームを泡立てたら絞り袋に入れ、チョコレートガナッシュなしでビスケットの上にホイップクリームを絞る。
9.あとは、やらなければならないことは、チョコのついたビスケットを上に載せるだけ――これがすぐに食べたくなるほどの喜びだ。ビスケットが柔らかくなってクリームが染み込むように、冷蔵庫に2〜4時間ほど入れておく。コーヒーと一緒に楽しもう。
どうぞ召し上がれ!
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