ザリガニと西洋ワサビ入りのコチョウザメ、そばの実とうずら卵を詰めてハチミツのコーティングを施した豚の丸焼きといった料理は、長い歴史を誇るモスクワのホテル「メトロポール」で、今も伝統的なレシピに沿って作られている。
ザリカニとコチョウザメ。
Press photo20世紀初頭、フランス人のエドゥアール・ニニョンが初代シェフを務めていた時代、ここではツグミのフィレのトリュフ添えや、シベリアのエゾライチョウ、松の実を詰めたウズラなどが供されていた。
ホテル「メトロポール」。
Press photoレストランでは有名なロシアの作家、レフ・トルストイがよく昼食をとり、オペラ歌手のフョードル・シャリャーピンは革命の歌「ドゥビーヌシカ」をテーブルに立って歌った。
ホテル「メトロポール」のシェフ長、アンドレイ・シマコフ。
Press photo1917年の革命後は、共産党のエリートの代表らがこのホテルで生活したが、1930年代以降、レストランはまた以前のような姿に戻った。 現在、メトロポールのシェフ長を務めるのはアンドレイ・シマコフ。2018年、フランス発祥の美食ガイド、ゴー・ミヨの最高のホテルシェフに選ばれた。シマコフは食材を加工し、レシピにアクセントを加えるという手法で実験を続けている。たとえば赤いボルシチを農場から仕入れた鴨とチェリーを入れて作ったり、調理過程で、ロシアの伝統的なレシピでは使わない、今はやりのオーブンを取り入れたりしている。
ホテル「メトロポール」の内装。
Press photoまたアンドレイ・シマコフは忘れ去られた食材を蘇らせている。シェフは、「ホテルが創業したころによく使われていたものの、ソ連時代にモスクワのメニューから消えてしまった食材です。ホロホロチョウの肉や根菜、今は食べられていない穀物などをよく使っています。安価な食材と高級な食材を組み合わせて、たとえば根菜とトリュフなどを出したりします」と話す。
サーモンのクレビャーカ。
Press photo創業以来、利用客にもっとも愛されている料理の一つが鹿肉のローストビーフのクランベリー添え。クランベリーはモスクワ郊外で採れたもので、ホテルの創業者である実業家で興行主だったサーヴァ・マーモントフが才能ある人々を集めてモスクワ郊外にある自らの領地で昼食会を開いていた時代を思い出させる。伝説によれば、レシピはここから生まれたという。現在、メトロポールでは、この鹿肉のローストビーフに西洋ワサビをクリーム状にしたものを添えて出されている。
新年メニューの鹿肉のローストビーフ、クランベリーと西洋ワサビのクリーム添え。
Press photo1.肉以外の材料をすべて混ぜてマリネ液にしたものを鹿肉に塗る。室温でそのまま4時間置いたら、もう一度、同じマリネ液を塗り、裏返して、冷蔵庫で12時間寝かせる。
2.マリネ液を取り除き、濾し器で濾す。マリネ液は捨てずに置いておく。
3.グリルで鹿肉を焼いたら、120度のオーブンに入れ、中の温度(鹿肉の真ん中に挿して確認すること)が48度になったら(35分ほどかかる)、もう一度、残りのマリネ液を5分おきに塗る。
クランベリーはハチミツとマスタードを加えて乳ばちで潰し、よく混ぜる。
材料をすべて混ぜ合わせる。
ローストビーフは薄く切り、その上にクランベリー小さじ1とワサビを少量のせる。ライ麦パンとパセリと一緒にサーブする。
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