規定によれば、兵士たちの食事は1日およそ4,500キロカロリー、摂取品目は117。この数字を見れば、レストランのちょっといいメニューが出てきそうである。ロシア陸軍の兵士たちがどのような食事をしているのか、何が兵士たちに好まれているのか、何が足りないのか、ロシア・ビヨンドが調査した。
普通、軍の朝食に出て来るのはソーセージまたはカツレツつきのカーシャ。オートミールのカーシャはそれほど好まれるメニューではないが、それでも食卓にのぼったすべてのもの同様、あっという間に平らげられるという。
緊急招集の経験を持つニコライは「朝食でもっともおいしいのはパンにバターをたっぷり塗って半分に切ったゆで卵を乗せたもの。あるいはスモモのムースを塗ったものもおいしい」と当時を回想する。
2.ペリメニとカッテージチーズ入りのヴァレニキ
週に1、2回、朝食にペリメニまたはカッテージチーズ入りのヴァレニキにスメタナが添えられたものが出る。多くの兵士が笑顔で思い出すメニューだ。
しかしニコライは「最初はペリメニにものすごく喜ぶのだけれど、それでも少し経つとそれにも飽きてくる。どこかのおいしいペリメニではなく、なんてことはない普通のペリメニなのでね」とも打ち明けている。
長いこと、パール大麦のカーシャは“軍の呪い”と考えられていた。パール大麦はとても安かったので、どこでもこの大麦のカーシャが作られていた。最近の軍の規定では、パール大麦は単独のメニューとしては使われておらず、何かの料理の材料として利用されている。その一例がレニングラード風ラソーリニクというスープである。ラソーリニクには、パール大麦の他に牛肉、ジャガイモ、塩漬けのキュウリ、ニンジン、タマネギが入っている。おいしさの秘訣は調理師が肉をケチらないことである。
この粟のスープは野外でも20-25分で簡単に作れる。作り方はいたって簡単。ジャガイモと粟を柔らかくなるまで煮る。タマネギは角切り、ニンジンはおろして、油で炒める。その野菜を缶詰の肉と一緒に鍋に入れれば出来上がりである。
キャベツの蒸し煮はロシアの軍に勤務したことのある者なら誰でも食べたことがある一品。肉やソーセージの付け合わせである。
新鮮な野菜がないときによく食されるのがヴィネグレットである。名前から想像するとソースに思えるが、これは茹でた野菜で作られるサラダである。ジャガイモ、ビーツ、ニンジン、酢漬けのキュウリ、マメが入っている。たいていの場合、ドレッシングは植物油である。
ミハイルは「ヴィネグレットを見ると今でも軍の生活を思い出すよ」と話す。
そばの実のカーシャ(おかゆ)は万能な一品である。このカーシャはおいしくなく作ることはできない。そんなカーシャに肉の缶詰“トゥションカ”が入ればおいしくてお腹いっぱいの料理となる。調理師の気分がよく、そばの実を茹でる前にフライパンで焦げ目をつけてくれたなら、ナッツの風味がしてなおおいしい。
夕食には魚料理と付け合わせというメニューが多い。付け合わせはそばの実かジャガイモのピュレーである。
「魚はよくある安いものです。ミンタイやタラなどで特別なものではありません」とニコライは話す。
ピュレーやスープに使われるジャガイモの皮むきは、その日に叱責を受けた者が夕食後に行うことになっている。しかしこの作業を命じられることはそうがっかりすることでもない。この作業をした者がおかわりにありつけることもあるからだ。
祝日にはお菓子やその他、特別なメニューが用意されることがある。たとえば復活祭にクリーチ(復活祭のケーキ)が出されたり、新年にはミカン、バター祭りにはコンデンスミルクかスメタナ(サワークリーム)入りのブリヌィ(パンケーキ)が出ることもある。
ニコライは言う。「食卓に甘いものがあるのを見て、祝日だと分かるという感じでした。軍にいると日にちが分からなくなるので、クッキーやチョコレート、ミカンを見て、ああ、今日は2月23日(男性の日と言われる祖国防衛者の日)なんだ、今日は新年なんだと分かるのです」。
基地の近くにはたいてい商店があって、食料品を買うことができるが、いつでもそれを買うお金があるわけではないし、いつでも店に行けるわけではない。特に軍に入ったばかりの兵士たちは店には行かせてもらえない。そんな兵士を助けてくれるのは親戚の訪問である。
「一番待ち遠しいのが休日に両親から届く差し入れだった。コルバサ(サラミまたはソーセージ)やチョコレートなどいつも何かしらおいしいものが入っていたから」とニコライは回想している。
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