脂かすが入ったそばの実:ノスタルジックなソビエト時代のカーシャ

ワシリサ・マリンカ
 すべてのロシア人が、朝食にも夕食のメインコースにもぴったりなこの食べ物で育った。

 ロシア人の母親あるいは主婦なら誰でもカーシャ(おかゆ)の作り方を知っている。そして多くの世代にとってこれは朝食で出される代表的なメインの料理であった。カーシャは数ある穀物のいずれかを使って、それを水または牛乳で煮て作る。ロシア人はいつも朝、学校に行く前にこれを食べて育っているが、カーシャは朝食にしか食べないというものではない。実際、カーシャは色々と変化する食べ物で、甘くもできれば、辛くもでき、メイン料理にもできれば、程よい付け合わせにもできる。実際のところ、古代、カーシャという言葉は「ごちそう」の同義語だったのである。

 歴史的に見れば、もっとも一般的で主要なカーシャはそばの実で作られた。伝説や物語、おとぎ話の中で出てくるカーシャは、ほぼすべてがそばの実のカーシャのことを指した。そしてこれはロシア人のアイデンティティの象徴とも言える。簡単に作れて、料理としてもシンプルで、どこでも手に入り、値段も安いからだ。加えて、健康によいことは言うまでもないほど広く知られている。しかし、その話は栄養士に任せることにして、話を元に戻そう。

 そばの実のカーシャは華やかなイベントでの一品にもなる。19世紀の作家ニコライ・ゴーゴリは小説「死せる魂」の中でそばの実を詰め物にした子羊の足について描写している。一方で、一般的なダイエット食品でもあり、たとえば大晦日などのご馳走の後に、「そばの実ばかり食べているの」などというセリフを耳にすることがあるだろう。このシンプルに穀物を茹でたカーシャは腹持ちがよく、同時に体型を維持するのを助けてもくれる。

 大元帥アレクサンドル・スヴォロフや詩人のアレクサンドル・プーシキンといった国民的英雄もそばの実を愛した。プーシキンは妻宛ての手紙の中で、秋に、村に隠棲し執筆活動を行なっていたいわゆる「ボルジノの秋」と呼ばれる期間、バター入りのそばの実カーシャを食べたと綴っている。また、スヴォロフと兵隊がアルプス越えをしたときに、スヴォロフが残された食料と一緒にそばの実を料理させたことから、そばの実のカーシャが“兵士の”と呼ばれるようになったと言われている。

 後になって、そばの実のカーシャは“ボガティルスカヤ”(英雄の)と名付けられ、1987年にはこのカーシャを食べるよう子どもたちに呼びかけるアニメも制作された。カーシャを食べれば驚くほど強くなり、誰かを救うこともできるのである。

 ご紹介するレシピはシンプルな兵士たちのカーシャの作り方に似ているが、ここでは“カリカリの脂かす”を加えるため、クラシカルでちょっと贅沢なカーシャとなっている。この“脂かす”はロシアを含む多くの国で生まれたものである。元来、豚バラ肉から作られるものだが、ガチョウや鶏肉の皮を使うこともできる。よくどちらがおいしいかと言う論争が巻き起こっているが、いずれもカーシャに驚くべき魅力を与えてくれる。というわけで昔ながらのそばの実のカーシャを作ってみよう。ロシアの英雄の気分になれること間違いなしだ。

 

材料:

  • そばの実 200g
  • 水 400g
  • 玉ねぎ 1個
  • 塩漬け豚バラ肉 150g
  • キノコ(このレシピではヒラタケを使う)150g
  • うずら卵 10個
  • ネギ

 

作り方:

 まずそばの実を作る。そばの実を煮るときはその2倍の水を使う(そばの実と水の比率が1:2)。使う鍋は厚めで丸い底のものが良い。火がまんべんなく伝わり、焦げつくリスクが少ない。

 水、そばの実、塩ひとつまみを鍋に加え、フタをする。中火–強火にかけ沸騰したら、3分ほど煮る。

 水がふつふつするくらいの弱火にし、ほぼ水がなくなるまで15分ほど煮る。火を止め、フタをしたまま5分ほど置く。そばの実の調理をするときのポイントはここで蒸すこと。おいしいカーシャを作るには、ただ置いておいて、できるだけゆっくり攪拌すること。

 ポイント1:そばの実は乾燥したものを使うこと。

 ポイント2:そばの実には必要以上に触れないこと。火にかけている間はかき混ぜない。調理の途中で水を加えない。

 最後に豚バラ肉を小さな角切りにし、フライパンに入れ、弱火から中火にかける。余分な油を取り除いたら、黄金に色づき、カリカリするまで炒める。

 豚バラ肉を炒めている間にうずら卵を茹でる。うずら卵を水の入った鍋に入れ、ゆっくり沸騰させ、沸騰してから5分茹でる。プロからのアドバイス:茹で上がったら、卵を冷水の入ったボウルに入れる。温度を急激に下げることで殻の中で卵が縮むため、殻が剥きやすくなる。

 玉ねぎとヒラタケを同じ大きさの角切りにし、豚バラ肉を炒めたときの油を使って順に炒めていく。玉ねぎは黄金色になるまで炒め、フライパンから取り出し、置いておく。同じフライパンを温め、ヒラタケを加える。このときヒラタケをフライパンいっぱいに広げないようにする。こうすることで、ヒラタケが水分を失わず、美しいカラメル色になる。ヒラタケが出来上がったら、玉ねぎと一緒に置いておく。

 油をしいたフライパンを強火で熱する。そばの実を加え、表面が少しカリカリするまで炒める。豚バラ肉、玉ねぎ、ヒラタケを加えて、温かくなるまで全体に混ぜる。塩コショウで味を整えるのをお忘れなく。

 すべて揃ったら、お皿に盛り付け、おろしたうずら卵とみじん切りのネギで飾れば、出来上がり。どうぞ召し上がれ!

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