リャージェンカはロシアの乳製品の中でも最高のもので、その味は地球上の何にも似ておらず、発酵乳製品にもかかわらずまったく酸味がない。反対になめらかでクリーミーで、少し甘い。さらっとしているかどろっとしているかその濃度にもよるが、リャージェンカは飲み物とデザートの中間の存在である。
誰がいつ最初にこのレシピを思いついたのかは明らかではないが、最初はウクライナで作られ、それがスラヴ全域に広がったとされている。リャージェンカという名前は、古代スラヴ語で「焼く」という言葉で、その製造方法に由来している。古代ルーシ時代、人々は牛乳とクリームを特別な土鍋に入れて混ぜ、十分にどろっとするまで弱火で何時間も煮た。
リャージェンカはいわゆる“焼いた”牛乳から作られる。これはロシアではかなり一般的なものだが、スラヴ諸国以外の場所ではほとんど知られていないものである。これは弱火で数時間煮た牛乳から作られる。今はロシアではどこでも買えるものだが、それでも家で自分で煮る方がいいという人もいる。“焼いた”牛乳を試したことがないという人は、普通の牛乳にちょっとカラメルの味と色をつけたものを想像してもらうといいだろう。この驚くべき味は砂糖を加えて得られたものではなく、煮た牛乳から出てくる自然の甘みからくるものである。
わたしにとってリャージェンカは最高の夜食であり、朝食であり、ランチでもある。本当にヘルシーで、外部のバクテリアがまったく含まれていない非常にクリーンな製品だ。もう一つ素晴らしい点は、リャージャンカそのものがお菓子作りに最適な材料であるということ。わたしの祖母はパンケーキやワッフルを作るときに、牛乳やヨーグルト、ケフィールの代わりにリャージェンカを使う方法を教えてくれたのだが、それはわたしのおいしいお菓子作りの大きな秘密となった。信じてもらえないかもしれないが、それ以来、わたしが何か作ると、この特別な味はどうやって出しているのかとよく訊かれるようになった。作るのが非常に難しそうなリャージェンカ、実は簡単に作れるものである。ただ材料を混ぜるだけ。準備にはわずか10分しかかからず、あとは発酵するまで数時間放っておいても出来上がる。
材料:
- “焼いた”牛乳 1㍑
- サワークリーム 大さじ3
作り方:
もし“焼いた”牛乳を店で買えない場合は、まずそれを普通の牛乳から作る。牛乳を鍋に注ぎ、沸騰させる。熱い牛乳をオーブンに入れ、表面に黄金色の外皮ができるまで100度で5–6時間焼く。外皮を取り除けば、カラメル味の“焼いた”牛乳が出来上がる。
その牛乳を鍋で35–40度になるまで温める。
大さじ3杯の新鮮なサワークリームを100mlの“焼いた”牛乳に混ぜ、なめらかになるまで混ぜる。これで“ザクワスカ”の出来上がり。このザクワスカが、牛乳をリャージェンカに変えるタネとなる。
ザクワスカを鍋に入れ、残りの温かい牛乳を加え、ムラにならないように十分に混ぜ合わせる。そのリャージェンカをプラスチックかガラスのポットに入れ、タオルかブランケットで覆い、室温に置き、リャージェンカが濃厚になるまで待つ。4時間から10時間の間、1時間ごとにチェックし、リャージェンカがどろっと濃厚になったら冷蔵庫に入れて冷やす。そのまま室温に長い時間放置していると、リャージェンカは酸っぱくなる。
リャージェンカのテクスチャーはサワークリームの量に左右される。サワークリームが多ければ多いほど、より濃厚になる。個人的には表面がやや固く、中はどろっとしているのが好み。
プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)