ケーキ、ベーグル、ジンジャーブレッド、バン、ロール・・・。ケシの実が入ったお菓子はとってもおいしい。ロシア人はお菓子を焼くときに黒い小さなケシの実を加えるのが大好きである。ケシの実は噛み応えとユニークなナッツの香りを与えてくれるからだ。多くの人々にとって、ケシの実が入ったパンはソ連料理のノスタルジックなシンボルであるが、実はこの種のパンが最初に作られたのは古代ルーシ時代のことである。古代ルーシでケシが栽培され始めたのは11世紀のことで、以来、このケシの実はパンやケーキに欠かせない材料となった。ケシの実は幸福と健康のシンボルと考えられ、ケシの実のパンはたくさん食べれば食べるほどよいとされている。
マコヴニクのレシピに出会うまで、甘いケシの実がたっぷり入ったシンプルなロールパンがわたしの一番のお気に入りのお菓子だった。この「マコヴニク」という名前はロシア語でケシを意味する「マク」に由来する。マコヴニクはスラヴのイースターの食卓を彩る伝統的なスポンジケーキである。このマコヴニクは今でもクリーチやパスハと並んでロシアのイースターの時期に食される、人目を惹きつけるケーキだ。
他のケシの実入りのパンと違うのはマコヴニクには、ケシの実が詰まっていないという点である。ケシの実は生地に練りこまれているのである。
ロシア、ウクライナ、チェコには数え切れないほどの種類のマコヴニクがあるが、個人的には同量の小麦粉とケシの実が生地の中に入っているものが気に入っている。このマコヴニクは驚くほどふわふわで、なめらかな口どけのケーキである。
材料:
- 万能小麦粉 120g
- 卵 4個
- 砂糖 100g
- ケシの実 110g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- 植物油 30ml
- 牛乳 40ml
- ヴァニラポッド 1
- 塩 ひとつまみ
作り方:
まず乾燥したケシの実をコーヒーミルかフードプロセッサーで挽く。実が細かければ細かいほど、ケーキはおいしくなる。大きめのボウルに小麦粉とベーキングパウダー、ひとつまみの塩をふるう。ケシの実を加え、すべてかき混ぜて置いておく。
別のボウルに卵を割り入れ、ヴァニラシードを加えたら、数分間、中くらいのスピードで泡立てる。それから少しスピードを上げて泡だて、砂糖を大さじのスプーンで1杯ずつ加えていく。美しくなめらかになるまで泡だてる。この過程は少し時間がかかるので、忍耐強く行う。
泡だてた卵に、先ほどふるってケシの実を加えておいた粉を少しずつ加え、スパチュラで全体的に混ぜ合わせる。ここでナッツやレーズンを加えてもよい。
最後に植物油と温めた牛乳を注ぎ入れ、すべて混ぜ合わせる。生地をオーブンに入れ、180℃で30–35分ほど、表面にきれいな焼き色がつき、中にしっかり火が通るまで焼く。
少し冷まして、アイシングパウダーをふりかけたら、紅茶を用意して、出来上がり。ハッピーイースター!そしてプリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)