中世ロシアの時代につくられていた初期のプリャニクは、ベリーの果汁、ライ麦粉、蜂蜜でつくられ、「蜂蜜パン」と呼ばれていた。ロシアがさまざまな香辛料を輸入し始めた12~13世紀に、現在の原型ができ、以来、ロシアの多くの地域で、さまざまな種類の蜂蜜やスパイスを加え、形を変える、実験的な試みが行われるようになった。最も成功したのはトゥーラ。人気の高いプリャニクのレシピを秘密に保つようにしている。とはいえ、今日、トゥーラにある大きなプリャニク博物館で、いくつもの秘密を知ることができる。もしもトゥーラに行く機会があったら、いろいろと探ってみよう。
トゥーラのプリャニクはどこが違うか
トゥーラのプリャニクが他の地域のプリャニクと違うところは、横に2等分されていて、ジャム、果実の砂糖漬け、または練乳煮などの中身が入っていることである。また、型押しの装飾があるのも特徴である。手で彫る型には、さまざまな記号、文字、模様があった。最も有名なプリャニクは、1896年に皇帝ニコライ2世の戴冠式を記念してつくられたもの。大きなプリャニクの型には皇帝の顔の輪郭などが彫られ、一度しか使用されなかった。木型は通常、数十年使用されるため、とても珍しいことである。木型は、カバの木、ナシの木、またはリンゴの木を手で彫刻し、少なくとも5年乾燥させて、ようやく完成する。オリジナルのプリャニクをつくるには、数年待つ必要がある。
私の考えたトゥーラのプリャニクのレシピは、時間があまりかからない。でも驚きの味に仕上がる。お気に入りのレシピの一つ。
材料
・ 卵 2個
・ 無塩バター 100㌘
・ 蜂蜜 大さじ5
・ 砂糖 1/2カップ
・ 小麦粉 300㌘
・ 重曹 小さじ1
・ シナモンパウダー
・ 塩、コショウ ひとつまみ
・ クローブパウダー ひとつまみ
・ ジャムまたはドゥルセ・デ・レチェ
・ 上白糖 大さじ5
作り方
1. まず、湯せんの用意をする。鍋の湯が沸騰し始めたら、ボウルの中で卵を泡立てる。
ボウルを外してバター、砂糖、重曹、すべてのスパイス、蜂蜜を加え、再び湯せんにかける。ここでおすすめなのが、ソバ蜂蜜を大さじ1以上加えること。プリャニクらしい茶色と豊かな風味が加わる。ボウルの中身を温めながら、なめらかになるまで混ぜる。蜂蜜色になって、良い香りがして、白いプツプツが出てくる。
2. ボウルを湯せんから外して、冷ます。熱いままだと小麦粉がベタベタになって小麦粉の量を増やさなくてはいけなくなり、プリャニクが硬くなるため、冷ますことはとても重要。冷めたところで、小麦粉を少しずつ加え始める。しっかりと混ぜる。
3. 生地が均一に粘って混ぜるのが難しくなったら、作業台に生地をのせて、小麦粉を少々ふる。
この時、小麦粉をあまりふりすぎないように注意する。生地が十分に密で、ベタベタしておらず、やわらかいと感じたら、小麦粉を加えるのをやめる。生地をつくりたい個数の倍数にわける。
4. 一かたまりを取って、めん棒で厚さ0.5~0.7ミリに伸ばし、ジャムまたはドゥルセ・デ・レチェを塗る。
もう一かたまりを取って、めん棒で伸ばし、先ほどの生地の上にジャムまたはドゥルセ・デ・レチェを覆うように重ねる。次に、プリャニクを好きな形にしたり、装飾したりする。私は木型を持っていないため、思い付きで装飾する。
5. 170℃に熱したオーブンに入れて、20~25分焼く。茶色になり、ふっくらする。焼いている間に、グレーズをつくる。上白糖大さじ5とお湯大さじ2をしっかりと混ぜる。オーブンからプリャニクを出したら、グレーズをかける。
プリャニクが冷めて、グレーズが白くなったら、オリジナルのトゥーラのプリャニクのできあがり。