2018年12月5日。ヤンデックスが初めてのスマホ、Yandex.Phoneを発表した。
Anton Belitsky撮影/Global Look Pressヤンデックス製品の多くがグーグルと競合している。同社が12月に発売した新しいスマートフォンYandex.Phoneは、5.65”スクリーン、64ギガバイトの記憶容量、5メガピクセルの前面カメラを特徴とし、値段はたったの270ドルだ。だが本当の目的は、グーグルの標準的なアンドロイド用アプリに代わる同社独自のサービスを推進することである。
米国の巨大IT企業に新しいスマートフォンで対抗しようとする企業はヤンデックスが最初ではない。例えばサムスンやマイクロソフトは、すでにグーグルのサービスを独自のサービスで置き換えようとしようとしている。
しかしロシアの巨大IT企業は、他社にはない強みを持っている。ヤンデックスの検索エンジン、食品配達、カーシェアリングなどのサービスはすでにロシアで絶大な人気を誇っている。したがってロシアのユーザーは、マイクロソフトやサムスンのアプリの入ったスマートフォンより、Yandex.Phoneに対して購買意欲を示すだろう。
だが同社が2018年に開発した秘密兵器は、この新しいガジェットだけではない。
ヤンデックスの技術を利用したオンラインアプリを企業が開発・サポートできるようにするこのサービスは、今年9月に開始した。このプラットフォームは、ティンコフ銀行やS7航空など、50社以上のロシア企業・多国籍企業に試されている。このクラウドは、開発者ツールや、音声認識や機械翻訳などヤンデックス独自の人工知能を応用したサービスへのアクセスを提供している。
ヤンデックスはすでにYandex.Marketというマーケットプレイスで成功を収めている。現時点でこのプラットフォームは月間2000万人が利用しており、150以上のオンライン小売業者から得た衣類や書籍、玩具などの商品を提供している。しかし2018年、ヤンデックスは新たに2つの電子商取引プラットフォームを立ち上げた。
一つ目はBeru(「私は取る」という意味のロシア語)で、千以上の小売業者を抱え、家庭用品から化粧品まで、複数のカテゴリーから購入できるようになっている。2つ目はBringlyで、国際輸送サービスや、トルコ、中国、ラトビアから購入された商品の無料配達サービスを提供している。
IT企業がふつう目を付けないような隙間市場だが、2018年、ヤンデックスはドライバーのルート検索や駐車場探しを助けるYandex.Navigatorという人気アプリに新機能を導入した。今やユーザーは、車の燃料代を払うことができる。何千ものロシアのガソリンスタンドがアプリとつながった。新機能を使うためには、ユーザーは「ガソリンスタンド支払い」のカテゴリーを選ぶ。するとアプリが最も近いガソリンスタンドを示し、到着すれば燃料の種類と量を入力するよう指示する。
国際IT企業にとって、中国は容易な国ではない。ヤンデックスは、中国人ユーザーを獲得するという、グーグルが失敗したことに挑戦している。ただし自国領内で。年間約150万人の中国人観光客がロシアを訪れている。慣れ親しんだ支払い方法が利用できれば観光客としてはありがたいだろうとヤンデックスは考え、中国のWeChatペイを自社サービスに組み入れた。
2018年11月6日。Yandex Foodの食品配達に勤めているサイドさん。モスクワ中心部。
AFPヤンデックスは今年から、ロシアの24都市でユーザーとレストランとを結ぶ食品配達サービスを提供しているだけでなく、Food Partyというミールキット配達サービスも開始している。同社は、Foodfoxサービスを獲得し、Yandex.TaxiとUberとを合併した後、Yandex.Eatsを立ち上げた。このサービスは、ロシアのフードチェーンはもちろん、マクドナルドやシェイクシャック、TGIフライデーズ、パパジョーンズといった国際フードチェーンもカバーしている。2018年、ヤンデックスは食料品店の特価品探しに役立つデイリーディール・クーポン情報サイトも開いている。
2019年、ヤンデックスはこの他に何を見せてくれるだろうか。どうやら同社は来年もロボタクシーのプロジェクトを進める予定のようだ。自動運転車は、現在ロシアの主な先端テクノロジー研究拠点であるスコルコヴォやインノポリスで試験中だ。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。