ロシアでいちばんの金持ちは誰?:億万長者TOP10

ビジネス
クセニア・ズバチェワ
 米フォーブス誌によると、ロシアの億万長者の数とその資産の合計額は、対ロシア制裁と経済の停滞にもかかわらず、増している。

 あなたは、ロシアの億万長者が欧米の制裁の影響を被っていると思うだろうか?もしそう思うなら、間違っている。 逆に、彼らの富の合計は増えつつあるように見える。だから、億万長者の数も彼らの資産の順位も上がっている。フォーブス誌の最新の「ロシアで最も富裕なビジネスパーソン」ランキングによると、上位10人は次の通りだ。

 同誌によれば、最も富裕なビジネスパーソンの資産合計は、過去12ヶ月で250億ドル増加し、4850億ドルに達した。同時期、億万長者の数も96人から106人に増えた。2018年のランキングの閾値も、124億ドルから125億ドルに増加。ここにロシアの金持ちトップ10を示そう。彼らのほとんどが資産や不動産を海外に持っている。

 

1. ウラジーミル・リシン、61歳(191億ドル)

 新興財閥「ノボリペツク製鉄所」の会長で、その過半数の株式を保有する。実業家であるのみならず、冶金の著名な専門家でもあり、多数の特許を持ち、多くの学術的な著作や論文を発表している。射撃の愛好家で、ロシア射撃連盟会長および国際射撃連盟副会長を務める。スコットランドに不動産を所有しており、定期的にそこで狩猟をしている。

 

2. アレクセイ・モルダショフ、52歳(187億ドル)

 ロシア最大の鉄鋼企業「セヴェルスターリ」を率いるアレクセイ・モルダショフ氏は、工場労働者の息子で、自力で財を成してきた。同社とは別に、世界最大の旅行会社グループの1つである「TUI」社の株式(23%)、国際的な金生産会社「ノードゴールド」の株式(98.4%)、ロシアの大手タービン・発電機メーカー「パワーマシーン」の株式もそれぞれも所有している。

3. レオニード・ミヘルソン、62歳(180億ドル)

 ロシア最大の民間ガス会社「ノヴァテク」の最高経営責任者(CEO)で、天然ガス・原油化学企業の「シブル」の株式48%を保有。友人や同僚の間では虚心坦懐で勤勉、厳格であり、極めてプロフェッショナルな人物として知られている。建築家の息子であった彼は、自らもガスパイプライン建設から出発した。彼にとっては、建設もそうだが、ゼロから何かを創ることのほうがお金よりも重要だという。

4. ヴァギト・アレクペロフ、67歳(164億ドル)

 アゼルバイジャンの首都バクーに生まれ、父も石油関連の仕事をしていた。ルクオイル社長で、ロシア石油業界の「大君」といったところ。同社は、フォーブス誌によれば、今年3月にロスネフチとガスプロムを上回り、時価総額で580億ドルに達した。 

 オランダの造船所「Heesen Yachts」の共同オーナーでもあり、彼の全長70メートルの巨大ヨット「Galactica Super Nova」もここで2016年に建造されている。

 ルクオイル社長のもう一つのベンチャーは、2016年にモスクワでオープンした、「国際貨幣クラブ博物館」だ。

5. ゲンナジー・ティムチェンコ、65歳(160億ドル)

 ロシアのプーチン大統領の友人で、ノヴァテクとシブルを含む、多くの企業に利害関係を持つ。ロシアの民間投資会社「ヴォルガグループ」の創業者。同グループは、エネルギー、輸送、インフラに重点を置く。妻とともに慈善団体も所有している。

 さらに、KHL(コンチネンタル・ホッケー・リーグ)の取締役会議長を務める。おもしろいのは、プーチン大統領のラブラドール・レトリーバーの「コニー」の娘、ロニーという犬を飼っていること。かわいい!…

6. ウラジーミル・ポターニン、57歳(159億ドル)

 ソチに行ったことがある人は、たぶんスキーリゾート「ローザ・フートル」を知っているだろう。彼はここに1億4100万ドルを投資している。

 彼は、ニッケル、パラジウム、銅の世界最大のメーカーの1つ「ノリリスク・ニッケル」の株式30%を保有している。フォーブス誌によれば、ホッケーのファンである彼は、スポーツ、文化、教育に多額の投資をしている。年間の額は約1000万ドル。

 

7. アンドレイ・メルニチェンコ、46歳(155億ドル)

 肥料メーカー「EuroChem」、熱石炭メーカー「SUEK」、「シベリア・エネルギー生産会社」で過半数の株式を保有。1990年代初めに、モスクワ大学寮での外貨両替からベンチャーを開始した。今日では彼は、5億ドルの世界最大のプライベートセーリングヨット(全長約142メートル、マストの高さは90メートル)で事実上暮らしている。他の多くの億万長者と同様に、彼は印象派の美術コレクションを持っており、富の一部を慈善活動に使っている。フォーブス誌によると、この10年間で、4億ドルを慈善事業に費やした。

 

8. ミハイル・フリードマン、53歳(151億ドル)

 ロシア最大の民間銀行「アルファ銀行」の創業者。学生時代に演劇チケットの販売やコンサート、パーティーの開催などからビジネスを始めた。現在は、アルファ・グループ(アルファ銀行、アルファ保険、小売業のX5グループなどを含む)、およびルクセンブルクに本拠を置く投資会社「LetterOne」の主なオーナー。LetterOneは、ドイツの石油ガス生産会社「DEA」、電気通信サービス企業「ビンペルコム」(Veon)の株式を保有。

 フリードマン氏はイスラエル国籍を所有しているが、だいたいロンドンで過ごしている。2016年に彼はロンドン北部で放置されていた大邸宅を購入した。このヴィクトリア朝の大建築「Athlone House」は6500万ポンド(約100億円)で売却され、新しい所有者によって、1億3000万ポンド(約200億円)を費やして改装された。

 

9. ヴィクトル・ヴェクセリベルク、61歳(144億ドル)

 アメリカの対露制裁リストに載っているロシアのオリガルヒ(新興財閥)の1人。アルミニウム、石油関連の事業、および彼の投資会社「レノヴァ」によって資産を築いた。今でも資産の大半は海外にある。スイスのテクノロジー企業「エリコン」で40%、スイスの機械メーカー「Sulzer」で57%の株式を保有している。

 ヴェクセリベルク氏はまた、ロシア版シリコンバレー「スコルコヴォ」の総裁であり、ファベルジェ工房によるイースターエッグの最大のコレクターでもある。2004年には、フォーブス誌の発行者、マルコム・フォーブスの資産のなかからコレクションを購入し、ロシアに戻した。現在、それらのイースターエッグは、サンクトペテルブルクのシュヴァロフ宮殿に展示されている。

 

10. アリシェル・ウスマノフ、64歳(125億円)

 ウズベキスタン生まれの大実業家で、金属、鉱業、効果的な投資などを通じて富を築いた。現在は、「USMホールディングス」の48%の株主で、金属・鉱業(メタロインヴェスト社、バイカル鉱業)、通信サービス(メガフォン)、インターネット分野などに大きな関心をもつ。

 また、メディア(出版社「コメルサント」)、不動産(建設会社「ヒムキ・グループ」)、スポーツ(イギリスのサッカークラブ「アーセナル」)にも資産を有する。

 2008年以来、ウスマノフ氏は、国際フェンシング連盟(IFE)の会長を務め、スポーツ振興に多大な投資をしてきた。

 

* 上に挙げた10人の億万長者は「オリガルヒ」とみなせるのか、気になる人は、こちらをどうぞ。現代ロシアにおけるこの言葉の意味を確かめてください