タタルスタン共和国、カマ自動車工場=
ラミル・シトディコフ撮影/ロシア通信ヤンデックスには、最近になって初めて国内における検索サーヴィスの人気の点でトップに躍り出たロシア市場における主なライバルであるグーグルとは異なり、今のところ独自の自動運転車を創出する予定はなく、同社は、自社のテクノロジーを世界の自動車メーカーに適応させつつある。
たとえば、最近、「ヤンデックス・ナビゲーター」というサービスが、トヨタ車のRAV4 Exclusiveやホンダ車に搭載され、8月末、同社は、ロシアのトラック・メーカー、カマズ(KAMAZ)と人工知能(AI)に基づくシステムの創出に関する契約に調印した。
ヤンデックスの自動車搭載システム・ラボラトリーの責任者、アンドレイ・ワシレフスキー氏は、「私たちは、トヨタやホンダとの協力を継続する予定であり、すべての自動車メーカーに対してオープンである」と本紙に語った。同氏は、ヤンデックスは自動車市場を戦略的市場の一つと捉えているとし、一連の他社との交渉が進められている点を指摘したが、詳細についてはコメントを控えた。
ワシレフスキー氏は、こう語る。「私たちは、自社のテクノロジーを既存の自動車マルチメディア・アンドロイド・システムへ統合させたり、それらをアップル・カー・プレイやアンドロイド・オートといったその他のオペレーティング・システムおよびサービスに適応させたりしようとしている。私たちは、また、ナビゲーションや音楽や音声やコンピュータ・ヴィジョンといったサーヴィスによってユーザー・エクスペリエンス(顧客体験価値、UX)を向上させる総合的なソリューションを提供する予定である」
カマズとの協力の枠内で、ヤンデックスは、車線内の走行を維持したり緊急停止を指示したり運転手の疲労度をチェックしたりすることを可能とする運転手サポート・システムを開発する予定である。ワシレフスキー氏によれば、ヤンデックスのサービスは、トラック用に適応される。
同社は、また、自動車マルチメディア・システムの音声制御を導入し、このシステムをモバイル機器と統合する予定である。ワシレフスキー氏は、こう説明する。「コンピュータ・ヴィジョンやマシーン・ラーンニング(機械学習)やスピーチ・テクノロジーといったヤンデックスの人工知能テクノロジーに基づいた自動車の半自動運転のための高精度のチャートやソリューションの創出についても、検討されている」
たとえば、既存のナビゲーターは、トラックを、軽自動車のように、つまり狭い道や低い橋の下へ、誘導する。そのため、カマズの運転手たちは、ナビゲーションを敬遠しがちであり、同社は、この種のサービスの向上にも意欲を見せる。
現在、ますます多くのテクノロジー企業が、自社にとっては新しい自動車市場へ進出しつつある。たとえば、ボルボ・カーズとウーバーは、自動運転車を創出する共同プロジェクトについて発表した。しかし、ワシレフスキー氏は、ヤンデックスにはロシア市場における大きなメリットがある、と考えており、次のように述べる。
「ヤンデックスのサービスやテクノロジーの重要な特徴は、局所性である。たとえば、ヤンデックス・ナビゲーターは、多くの都市におけるルートの設定をサポートしているが、サービスにおけるチャートは、プロの地図作成者ばかりでなく最初に変更に気づいたユーザー自身によっても更新され、新しいインターチェンジや道路情報カメラや走行速度規制などに関する情報が、追加されている」。それゆえ、国際的な自動車メーカーは、ロシア市場向けの自社のモデルにローカルなサービスを統合させることで、ロシアのユーザーに最大限適した製品を得ることになる。ヤンデックスのほか、ロシアでは、現在、先ごろ新たな人工知能自動運転システムを開発したコグニティヴ・テクノロジーズ社やその他一連の会社が、自動運転車用テクノロジーの開発を手掛けている。
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