サハリン窓枠メーカーが日本進出

「カールヴィ」社のショールーム開所式=

「カールヴィ」社のショールーム開所式=

吉村慎司撮影
 サハリンの窓枠メーカー「カールヴィ」が日本に進出した。6月中旬に日本法人を設立し、7月中旬には札幌市中心部にショールームを開いた。同社が扱う窓枠は、日本で普及している製品と比べて断熱性が高く、零下数十度になるロシアの厳寒下でも部屋の暖かさを逃がさないという。ロシアから日本に進出する企業は少なく、なかでも住宅関連は極めて珍しい。ここに至る経緯と今後の展望について、ウラジーミル・カラグラコフ社長(54)にインタビューした。

—いつ、日本でのビジネスを思い立ったのですか。

 「ちょうど1年前にあたる、昨年の7月です。そのとき初めて札幌に来て、ビルや一般の家を見て回り、日本で事業ができると確信しました」

 

なぜできると思ったのですか。

 「北海道は日本で一番寒く、窓にも断熱性が求められますが、実際に窓枠を見るとほとんどが単純な構造で、ロシアやヨーロッパで普及している窓と比べると機能が劣るものばかりだったからです。当社の窓枠を使ってもらえばもっと気密性を高めることができ、冬の暖房代も夏の冷房代も抑えることができます」

 

日本の窓とカールヴィの窓はどう違いますか

 「日本の窓は枠のどこかに空気の抜け道があったり、あるいは建物の内と外とを隔てるのが板やガラス一枚だったりして、私から見ると熱が外に逃げやすい構造です。当社の場合は、窓枠の内部がいくつかの空間に分かれていて、そこに断熱材を仕込んでいます。ガラスは2重または3重。窓を閉めると、自動的に圧力がかかって窓と窓枠が密着するようになっています」

「カールヴィ」のウラジーミル・カラグラコフ社長=吉村慎司撮影「カールヴィ」のウラジーミル・カラグラコフ社長=吉村慎司撮影

それはロシア独自の技術ですか

 「ドイツのトップメーカー、ヴェーカ社の技術を取り入れています。また、ガラスは日本のAGC旭硝子によるものです。技術は外国ですが、どちらもロシアに工場を構えて生産しています。両社のロシア工場から資材をサハリンに運び込み、当社の工場で最終製品にするわけです。例外は窓枠に使う複雑な金属部分で、これだけはドイツから輸入しています」

 

そしてサハリンから北海道に窓枠を輸送するのですね。

 「はい、船で運びます。サハリンからは小樽、稚内などへの航路がありますし、韓国の釜山港を経由するルートもあります」

 

日本の一般的な窓枠と比べて高機能ながら、価格帯は同じぐらいと聞きました。これはルーブル安のおかげということですか。

 「そうです。ルーブル安を利用して、外国でビジネスをできないかと考えて札幌に来ました。もしルーブル相場が3年前と同じだったら、今回の進出はなかったでしょうね。ちなみに当社はサハリン以外での事業経験はなく、国外進出もこれが初めてです」

 

会社について教えてください。

 「窓枠メーカーとしてサハリンでシェア7割を占めます。会社の設立は19年前で、現在従業員は250人ぐらい。」

 

カラグラコフ社長はサハリン出身ですか。

 「いいえ、生まれはシベリアのケメロヴォ州です。海軍の兵役で配属されたのがサハリンでした。3年後に退役した後サハリンに残って漁師になり、その後、建設会社に入って大工をしていました。やがて現場監督になり、その会社の役員を務めた後独立して興したのが今の会社です」

 

構想から1年弱で日本進出を実現させた手腕に、驚きの声も上がっています。

 「それはありがたいですが、ロシアと日本で仕事のスピードが違うのだと思います。私としては、1年もかかってしまったという気持ちですよ」

 

ショールームは事務所を兼ねていますね。スタッフは何人ですか。営業だけでなく施工もやるのですか。

 「人員は当面、5人ぐらいです。施工は当社ではなく日本の建設会社に任せることになります。契約した建設会社はまだありませんが、すでに何社かの担当者とお会いし、話を進めているところです」

 

ロシアで使われている窓枠については、日本の建設会社も消費者もほとんど知らないのではないでしょうか。どうやって宣伝しますか。

 「もちろん簡単ではないとわかっています。時間をかけてたくさんの建設会社と話をするつもりです。また、消費者向けのチラシを今制作しているところです。当社の理想は、できるだけ中間業者をなくして、消費者に安く製品を提供することです。そうすることで、実際に窓を使う人の声を聞くことができ、その声を元に製品を改善できます。ですから、建設会社だけではなく、消費者に知ってもらえるように努力します」

 

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