極東に進出するアジア・豪企業

カムチャツカ半島の汽力発電 =Lori/Legion Media撮影

カムチャツカ半島の汽力発電 =Lori/Legion Media撮影

ロシア政府は極東に「先行発展領域(TOR)」3ヶ所を開設した。TORは企業向けの特別税制度が適用される経済特区で、あわせて9ヶ所開設される予定となっている。TORへの入居の用意があるのは、日揮、サムスン、TIG、豹米など、アジアやオーストラリアの企業だ。

 ドミトリー・メドベージェフ首相は26日、3ヶ所のTORを正式に開設した。 具体的には極東のハバロフスク地方の「ハバロフスク」と「コムソモリスク」、沿海地方の「ナデジンスカヤ」。政府の試算によると、3領域への投資額はそれぞれ345億ルーブル(約765億円)、116億ルーブル(約257億円)、67億ルーブル(約148億円)。

 「ハバロフスク」は鉄鋼分野および輸送・物流分野で3000人分、「コムソモリスク」は航空機製造分野で3000人分、「ナデジンスカヤ」は輸送・物流分野、加工分野、食品分野で1600人分の雇用の場を、それぞれ創出する。

 第5回国際革新フォーラム「ラジア(rASiA)」(6月22日、モスクワ)の「新極東」会議で、ロシア連邦極東発展省直接投資部のイヴァン・トンキフ部長は、TORの入居者が5~10年の税優遇措置を受けることを明らかにした。特に、低関税率、法人所得税および付加価値税の優遇税率が適用される。「極東発展省には投資家のためのエコシステムの構築という課題がある」とトンキフ部長は話す。

 政府は先に、TOR6ヶ所を承認しており、近い将来同様に開設される。それは極東の「ミハイロフスカヤ」(沿海地方)、「ベーリンゴフスカヤ」(チュクチ自治管区)、「カムチャツカ」(カムチャツカ地方)、「ベロゴルスク」と「プレドモストヴァヤ」(アムール州)、工業団地「カンガラッスィ」(サハ共和国)だ。

 

入居候補企業

 トンキフ部長によると、それぞれのTORですでにロシアの初期の(錨の)企業が2~3社活動している。極東発展省はこれと並行して、10社の外国企業と協議を行っている。

 オーストラリアの企業「タイガース・レルム・コール」は、「ベーリンゴフスカヤ」でベーリング炭田の開発に投資することを計画している。

 日本の企業「日揮」は、「ハバロフスク」で野菜栽培のための温室の建設を開始した。投資額は20億ルーブル(約45億円)強。別の日本の企業「双日」は、ハバロフスク空港の国際線ターミナルを建設する予定。

 シンガポールの「宝利ビチュミナ」社(中国の「江蘇宝利瀝青股份有限公司」とイギリスの「デニモテック・ホールディングス」の子会社の合弁企業)は、「ハバロフスク」への投資と最新式のアスファルト材料のハイテク工場の建設を予定している。また、「カンガラッスィ」、「プレドモストヴァヤ」にも参加する予定。トンキフ部長によると、極東発展省は宝利ビチュミナ社と、1億ドル(約120億円)規模の投資契約を今秋にも結ぶ考え。

 韓国の企業「サムスン」のトポグラファーと車両技術品の組立を行っている下部組織も、TORの一ヶ所に入居し、500万ドル(約6億円)を投資しようとしている。

「年末までには少なくとも外国企業5社が入居者になる予定。投資家が加わった全体像と活動計画は2~3年後に見ることができると考えている」とトンキフ部長。

 

物流と人口

 TORのコンセプトとして、政府は極東の輸送・物流連絡の構築に焦点を当てている。

 「自由領域の問題が存在する中国、日本、韓国に物流ソリューションを提案することができる。ロシアなら大丈夫」と、極東・バイカル地域発展基金のアレクセイ・チェクノフ理事はラジア・フォーラムで述べた。

 物流整備にTORプログラムの成功がかかっていると、フォーラム参加者は考えている。「極東の最大の問題は輸送。カムチャツカでは物流が物を言う。夏に安く資材を運搬できたところが販売できる」と、屋根材、防水材、断熱材の製造会社「テフノニコリ」のウラジミール・マルコフ最高経営責任者(CEO)は話す。

 同じく喫緊の問題としては販売がある。極東にはロシアの人口の5%しか暮らしていない。「工場を正常に稼働させる唯一の方法は、中国などへの輸出」とマルコフCEO。輸出業者は同様に、輸送の問題に直面している。今日、唯一機能している貿易ルートは、ロシアのウラジオストクを経由した中国のハルビンへのルートだという。