日本へロシアからガスパイプライン?

Press Photo

Press Photo

日本側は、列島とサハリンを結ぶガスパイプラインの建設を望んでいる。日本の関係者によると、パイプラインによるガスの価格は、現在ロシアから輸入されている液化天然ガス(LNG)の半分以下になるという。こうした意見が、ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)と毎日新聞共催の日本・ロシアフォーラムで出された。

 日本の都市ガス最大手「東京ガス」は、サハリンから日本の中央部までパイプラインを引くことを提案している。同社の村木茂取締役が、5月に東京で開催された日本・ロシアフォーラムで提起した。 

 村木氏によると、このパイプラインは、総延長が約1500キロ、輸送量が80億立方メートルで、総工費は推算35億ドル(約4400億円。6月8日現在、1ドルは125円超)。ガスの価格は、現在ロシアから輸入されている液化天然ガス(LNG)の半分以下になると、村木氏は指摘した。 

 

日本はロシア産LNGの最大輸入国 

 日本はロシア産LNGの最大輸入国だ。2014年には、今のところロシア唯一のLNG生産工場で生産されたLNG(「サハリン2」プロジェクトによるもの――編集部注)の80%を、日本が買っている。 

 だが、LNGはパイプラインによるものに比べてはるかに割高となる。

 昨年、ロシア産LNGの輸出価格は、平均して、1トン当たり788ドル(1000立方メートル当たり579ドル)だったが、ロシアの国営天然ガス企業体「ガスプロム」の、パイプラインによるヨーロッパ向けガスは平均350~380ドルだった。

 「とはいえ、2015年2月にはもう、原油価格の下落のあおりで、LNGも1トン当たり614ドル(1000立方メートル当たり451ドル)まで下がった」。こう話すのは、エネルギー金融研究所のセルゲイ・アギバロフ経済部長だ。

 同氏の見積もりでは、パイプラインの工費と、ガスプロムが利益を手放したがらないこととを考え合わせると、かりにパイプラインで日本にガスを輸出するようになっても、いずれにせよその価格は、1000立方メートル当たり400ドルを下回ることはないだろうと言う。

 

提案するは易く建設は難し

もっと読む:

日露ガス対話の時期

 日本側が日本海の海底にガスパイプラインを敷設する話を持ち出したのは昨年のこと。もっとも、この時は、サハリンから北海道までの区間だった。

 しかし、海底ガスパイプラインの敷設には深刻なリスクがある。「この地域は地震が活発で、日本へのガスパイプラインの敷設に関する予備調査はどれも、専門家が否定的な結論を出している」。ロシア石油ガス生産者同盟のルスタム・タンカエフ首席研究員はこう説明する。同氏の意見では、地震が活発な地域に海底ガスパイプラインを安全に敷設する技術は、今のところ存在しないのだという。

  もっとも日本側は以前、現代の技術をもってすればこの種の建設は可能だと言っていた。その際に例として挙げたのが、日本列島を結ぶ海底トンネルで、既に長年安全に利用されているとしている。

 だが、地震は唯一の障害ではない。国家エネルギー安全保障基金のアレクセイ・グリヴァチ副総裁は、日本に単一のガス供給システムがない点を指摘する。「日本市場は、地域ごとに構築されており、相互に結びついていない。LNG受け入れターミナルもそうで、列島ごとに散在している」

 

ロシア側に日本向けパイプラインは必要か?

 この点について、ガスプロムはノーコメントだったが、エネルギー価格指標の提供およびエネルギー需給の調査を専門とする独立企業「アーガス」のロシア支社のヴャチェスラフ・ミシチェンコ副社長によると、ガスプロムにとって日本へのパイプライン敷設はあまり魅力がないという。理由は、パイプラインだと売り手と買い手が固定されてしまうが、LNGはもっと柔軟だから。「戦略と地政学の観点からいって、LNGのほうが魅力的。ガスプロムはいつでも買い手を変えることができるが、パイプラインだとそうはいかない」

 だが、ロシアのLNGプロジェクトが現在、一定の困難にぶつかっているのも事実だ。アギバロフ氏は次の点を指摘する――。対ロシア制裁のせいで、露企業は、西側諸国の金融市場と技術の利用が制限され、その結果、新たなLNG生産プロジェクトの実現は、少なくとも延期せざるを得なくなった(例えば、ガスプロムはウラジオストクにLNG生産工場を建てる計画だ)。こうした状況に関連して、ガスパイプライン敷設プロジェクトは、よりアクチュアルなものとなりつつある、と。

*ガゼータ・ルの以下の記事を参照