ロイター通信撮影
ルーブル安(昨年12月にルーブルは対米ドルで半落)はロシアの国際線需要の急減を引き起こし、アジアの航空会社3社はすでに、ロシアへの乗り入れ停止を発表している。
例えば、香港の「キャセイパシフィック航空」は、6月1日からモスクワ線を停止している。この決定は「商業的理由」および「高い運用コスト」によるものであると、同社は説明している。
「タイ国際航空」は、バンコク-モスクワ線を運航停止した。中東の格安航空会社(LCC)「エア・アラビア」は、アラブ首長国連邦のシャルジャ首長国と、ロシアのエカテリンブルク、ロストフ・ナ・ドヌ、カザンを結ぶ3路線を停止した。
一方で、市場では逆のトレンドも見られる。中東のLCC「フライドバイ」、アラブ首長国連邦アブダビ首長国の国営航空会社「エティハド航空」、中国の複数の航空会社は、ロシア線を増やしている。
地方への乗り入れ
アジアの航空会社がロシアの地方への直行便を開設しながら、サービス領域を拡大している点は興味深い。ウラル山脈以東のアジアロシアの百万人都市やその他の都市行きの国際便を運航している。
フライドバイは例えば、9月からノボシビルスクとニジニ・ノヴゴロドへの乗り入れを始め、その路線網をロシア10都市まで増やす。中国の「四川航空」は、中国西部の大都市である成都とモスクワの路線を5月に就航させた。
ロシアの航空通信社「アヴィアポルト」のオレグ・パンテレエフ分析部長によると、地方の空港は混雑するモスクワの国際空港「ヴヌコヴォ」、「シェレメチェヴォ」、「ドモジェドヴォ」よりも良い条件を提案しているという。
中国の航空会社
中国の航空会社はロシア線を強化し続けている。ロシアの観光協会「国境なき世界」のスヴェトラーナ・ピャチハトカ理事はこう話す。「現時点で、ロシアの航空会社以外に、両国間の旅客輸送を積極的に行っているのは、『中国国際航空』、『中国東方航空』、『中国南方航空』、『海南航空』」
すでに中国とは、モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルグ、ノボシビルスク、クラスノヤルスク、イルクーツク、チタ、ウランウデ、ヤクーツク、ハバロフスク、ウラジオストク、ユジノサハリンスクがつながっているという。
「また、新たな中国-ソチ線についても話し合いが行われており、実現すればソチへの観光客の流れが増大する」とピャチハトカ理事。
旅行客の流れ
アジアの航空会社のサービス領域の変化は、実需要を反映したものだと、旅行業者「テズ・ツアー」のアレクサンドル・ブルチン社長はロシアNOWに話す。
ルーブル急落によって、今年の海外旅行者数は昨年比で35~40%減になる。「もっとも減少したのは、長距離路線(タイ、スリランカなど)。2014年終わりから2015年初めにかけて、需要の落ち込みは60%に達した」
とはいえ、航空券のルーブル価格は、ルーブルの持ち直し(現在のレートは1ドル=51ルーブルほどで安定)とともに低下してきている。
オンライン旅行代理店「トリップスタ」のフィリップ・ブリンクマン最高経営責任者(CEO)はこう話す。「休暇シーズンが近づき、ルーブル相場も安定してきていることから、4~5月の中東・アジア方面への旅行の需要はその前の4ヶ月と比べて53%増加した」
現在、ロシア人の間でもっとも需要の高いアジア方面の旅行先は、インド、インドネシア、中国で、もっとも人気の高い国はアラブ首長国連邦だという。
パンテレエフ分析部長は、ルーブル安によってロシアが外国人旅行客にとってより魅力的になるかもしれないと話す。「ヨーロッパ人はいろいろな情報を聞いてとまどっているかもしれないが、例えば、年間3億人の観光客を世界の旅客流動に加えている隣人の中国人がいる。この1%でもロシアを訪れたら、ロシアの地方市場の状況が大きく変化する」
2015年には韓国、台湾、インドの観光客が、ロシアに大きく注目するようになった。「今年、これらの国が初めて、ロシアを訪問する上位10ヶ国に入った」とブリンクマンCEOは話した。
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