アジアで原子力の新傾向

Alamy/Legion Media撮影

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今日、アジアの原子力市場をめぐり、アレバ、ロスアトム、ウェスティングハウス、東芝などの世界の大手原子力企業の間で、激しい競争がくり広げられている。また、ロシアの専門家は、福島第一原子力発電所の汚染水、トリチウムの処理などで経験、知識、技術を日本に提案する準備がある。

 アジア地域の原子力発電の需要を押し上げているのは、高い経済成長率とそれにともなう電力需要であると、原子力情報ポータル「アトムインフォ・ル」のアレクサンドル・ウヴァロフ編集長は説明する。国際エネルギー機関(IEA)によると、1990年から2008年までの一人当たりのエネルギー消費量の増加率は、中国で111%、インドで42%。

 原子力発電はエネルギー分野の“より強力な部門”だとされ、その具体例としてあげられるのが以下のことがら。毎時1メガワットの発電に必要なのは、石炭340キログラム、または石油210キログラム、または(エネルギーレベルまでの)濃縮ウラン1~3グラム。1000メガワット級の発電施設を稼働させるための消費を年換算すると、必要なのは石炭270万トン、または石油170万トン、または天然ガス24億立法メートル、または濃縮ウラン24トン。

 

急増する東南アジアのエネルギー消費量 

 IEAのエコノミストのデータによると、東南アジアのエネルギー消費量は、2011年から2035年までに83%増加し、現在の日本の消費量に匹敵するようになる。だが現在、東南アジア諸国では、人口の20%以上すなわち5人に1人が電気を使えない。2035年までに必要な追加的エネルギーの40%が石炭火力発電所でまかなわれる、とIEAのエコノミストは予測している。同時に、石炭への依存の高まりが大気中への二酸化炭素の排出を急激に増やす、と警告している。

 独立電力専門家のアレクセイ・ガヴリロフ氏はこう言う。「フィリピン、マレーシア、インドネシアは定期的に自国への原子力発電所の建設について協議しているものの、今のところ、エネルギーがほとんど使われていない」

 

ロスアトムによるベトナムに初の原発建設も 

 ロスアトムはベトナムに初の原子力発電所を建設する。設備の製造や建設作業は一部ベトナムで行われ、現地化は30~40%に達する可能性もある。ベトナム2ヶ所目の原子力発電所の建設には、日本の専門家らが招かれており、第三国の市場、特にアジア太平洋諸国で、ロシアと日本が協力を行う良い機会になるかもしれない。

 これ以外にも、ロシアの専門家は、安全分野のソリューション、放射性廃棄物の取り扱い、除染、廃炉、また福島原発の早期事故処理のために経験、知識、技術を日本に提案する準備ができている。原発事故は、大量の液体放射性廃棄物(100万立方メートル)の滞留につながっている。ロシアの原子力専門家は昨年、三菱総合研究所に、トリチウム液体放射性廃棄物の浄化問題を解決するための複合技術を提案した。この提案は選抜段階で合格しており、水を除染するための技術がこれから日本経済産業省によって選定される。