ロシアの医師限定SNSが人気

PhotoXPress撮影

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ロシアのサイト「ドクトル・ナ・ラボチェ(医師勤務中)」が、世界でもっとも訪問数の多い医師専門交流サイト(SNS)になった。

 「ドクトル・ナ・ラボチェ」のユーザー数が、5年で35万人(ロシアの医師の42%)に増加した。2013年の売上高は150万ドル(約18000万円)。利益は50万ドル(約6000万円)。 

 医師向けのプラットフォームを2008年に考案したのは、ロシア国立医科大学の卒業生で内分泌科医であるアンドレイ・ペルフィリエフ氏。2009年、当時広告代理店に勤務し、自分のビジネスを立ち上げたいと考えていたスタニスラフ・サジン氏とともに、プロジェクトに取り組み始めた。

当初は医師が有用な情報を引き出せるような、学術論文を多数掲載したサイトをつくることを計画していた。しかしながら、学生に手伝ってもらいながら2000人の医師にアンケートを行ったところ、SNSの創設が必要だとわかった。

 

ユーザー集め

 プロジェクト開始から3ヶ月後、2人は自己資金9000ドル(約108万円)を投じて、簡易なインターフェイスのリソースを立ち上げた。アクセスできるのは医師のみ。ユーザー登録の際、医科大学の卒業証書の番号と勤務場所を入力することを必須とした。

 2人は当初、病院で医師と直接交流しながらユーザーを集めて行ったが、とても時間がかかった。最初の4ヶ月間で集められたのは1000人。その後ロシアの大型SNS「フコンタクチェ」と「オドノクラスニキ」で特別なグループを創設し、そこを通じてユーザーを集めた。1年後には3万人になっていた。それでも2011年まで、収益化には問題があった。

「ロシアでも、外国でも、医師専用SNSの収益化モデルは2つ。医薬品の販売促進と広告代理店向けの医師のスカウト。私たちは前者を選んだ」とサジン氏。

 

事業の収益化

 2012年に転機が訪れた。ロシアでこの年、医薬分野の関係者が医師の勤務時間中に訪問し、薬を宣伝することが禁止されたのである。医薬品営業のチャンネルが縮小した製薬会社は、ユーザー数を増やしていたドクトル・ナ・ラボチェに注目した。

 サジン氏によると、現在はロシアで活動する世界の大手製薬会社20社のうち、15社と提携しているという。ドクトル・ナ・ラボチェはバナー広告を掲載し、医師による医薬品の口コミを集め、医薬品をテーマにした会議、コンクールを催し、キャンペーン後にフィードバックを受けている。広告キャンペーン1件の費用は16000ドル(約192万円)から32000ドル(約384万円)。

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 ロシアのインターネットにおける医薬品広告市場の潜在性は高いと、サジン氏は考える。ロシアの製薬会社は2013年、850万ドル(約1200万円)ほどを広告に費やしたが、今後数年でこの額が15000万ドル(約180億円)まで増える可能性がある。

 ドクトル・ナ・ラボチェは昨年3月に「ガード・キャピタル」と「ブライト・キャピタル・デジタル」から300万ドル(約36000万円)、10月に「オーロラ・ベンチャー・キャピタル」から250万ドル(約3億円)を調達した。

 ドクトル・ナ・ラボチェに類似するプロジェクトとしては、アメリカの「セルモ」、日本の「M3」、イギリスの「ドクターズ・ネット」がある。ドクトル・ナ・ラボチェの創設者は2013年、欧米市場に進出することを計画していたが、昨年の対ロシア制裁と経済危機によって断念せざるを得なくなった。

 「外国人投資家はロシアのプロジェクトに今投資することを恐れている。そのため当社はロシアで展開し、モバイル・アプリを完成させていく」とサジン氏。

 ロシアの投資ファンドのある関係者によると、欧米への進出断念によってドクトル・ナ・ラボチェの年間成長率は1015%にとどまるという。「ロシアの国家機関における医療スタッフの減少と、開業医によるSNS利用の積極性の低下が、成長を最低限にとどめる要因となる。金融危機は薬理学のマーケティング予算を縮小させる。また患者は医療費を最低限に抑えようとする」