AFP/East News撮影
ウクライナ、ロシア、EUの3者協議がベルギーの首都ブリュッセルで29日から開催され、31日深夜、3者合意に署名が行われた。合意によると、ウクライナ向けガスの今年の年末までの価格は1000立法メートルあたり378ドル(約3万7800円)、次の来年春までの価格は365ドル(約3万6500円)。
ウクライナはこの合意によって、年末までに債務53億ドル(約5300億円)のうち、31億ドル(約3100億円)を償還しなければならず、また冬期のガスをロシアの国営ガス会社「ガスプロム」から購入する際に、前払いしなければならない。
ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長によると、ウクライナは11月初めに債務の一部を償還するという。その額は14億5000万ドル(約1450億円)。次に年末までに16億5000万ドル(約1650億円)を支払う。
残りの債務の償還期限については合意しておらず、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所の判断を待つことになる。ロシアはこれ以上ガスを融通することはなく、対ウクライナ債権を増やさない。
「ウクライナは抱えるすべての資金問題を国際社会とともに解決し、商業銀行と商業的に解決しなければならない」とミレル社長。
欧州委員会のギュンター・エッティンガー・エネルギー担当欧州委員は、ウクライナのガス料金の未払いに国際通貨基金(IMF)とEUの支援が活用されることを伝えた。31億ドル(約3100億円)の特別基金が創設されるという。また、ウクライナには支払能力があり、少なくとも40億立法メートルのガスを購入できると話した。
ただ、ウクライナとEUの融資保証に関する2者協定は結ばれていない。
ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相は、ウクライナの支払い能力を証明する書類をロシア側は見ていないものの、パートナーを信じると述べた。
保証文書なしのリスクとは
プラトン・マグタ氏、投資会社「マグタ・ファンド」資産管理者
「ウクライナ向けガスのEUの融資保証に署名がないからと言って、何かが大きく変わるということはないと思う。EUがロシアとの口頭の合意を破った場合、評判に傷がつく。ヨーロッパ経済に対する投資家の信用を著しく低下させた一連のできごとの後(対ロシア制裁を含む)、20~30億ドル(約2000~3000億円)の保証を回避することはないと思う」
グリゴリー・ビルク氏、投資分析会社「インヴェストカフェ」分析部共同部長
「ウクライナとEUは、11月と12月の31億ドルの債務償還、および新しい価格にもとづいた40億立法メートルのガス料金の前払いについて合意した。これには15億ドル(約1500億円)ほどが必要になる。欧州委員会は将来的なガス供給に対するウクライナの支払いを保証していないが、IMFとEUで資金援助プログラムをガス料金支払いに使いながら支援していく。欧州委員会がウクライナ向けのガスの支払いについて明確に責任を負ったのだから、ガスプロムにとって保証のないことは問題にならない。ガスプロムが譲歩と建設的な対話の用意のあることを示すことが大切」
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