AP通信撮影
EU諸国は、新たに発行されるロシア国債の購入を自国の投資家に禁じる可能性がある。現在、外国の投資家が保有する国債の割合は約26%であり、専門家らは、中央銀行はアジア市場で連邦債を通して約100億ドルを誘致する可能性がある、とみている。
西側の制裁を背景に、ロシア中央銀行は、アジアおよびアラブ諸国の投資家を連邦債およびルーブル建て社債へ惹きつける意向である。ヴェードモスチ紙が伝えるところでは、中央銀行のセルゲイ・モイセーエフ金融安定局長は、こう述べた。「現在、ロシアは、長期融資市場へのアクセスの面で一定の困難に直面しており、投資家の多角化という観点からロシアの債券へ重点を移しつつある」
西側の市場は、今のところ、国営銀行、ガスプロムバンク、大手石油会社「ロスネフチ」、最大手民間ガス会社「ノヴァテク」に対して、門戸が閉じられており、EUが導入を準備している次の一括制裁には、新たに発行される連邦債の購入を欧州の投資家に禁じる措置が盛り込まれる可能性があり、モイセーエフ氏によれば、こうした状況のなかで、中央銀行は、主要なプレーヤーとともにロシアの債券をアジア市場へ向かわせる意向である。
どの国の投資家が想定されているのか
手始めに、中央銀行は、新興国市場に特化したファンドや政府系ファンドの主な流動性プールが蓄えられている、シンガポール、香港、上海、東京といった主要なアジアの中心へ債券を向かわせようとしており、モイセーエフ氏は、こう語る。「これが成功すれば、イスラム系の資本およびサウジアラビアやカタールといったアラブ世界の政府系ファンドが、同様のリソースを蓄える第二の大きな中心となり、これは、ロシアへの投資家の構成が変わることを意味する」
中銀のデータによれば、2014年7月頃の時点で、連邦債の25,6%(額面で9450億ルーブル)は、ノンレジデントが所有していた。外国人は、期間が5~7年の連邦債を好み(40%超)、主な国内の債券投資家である銀行は、70%を短期のもの(返済期間1年以内)を所有していた。
「インヴェストカフェ」のアナリストであるチムール・ニグマトゥーリン氏は、おそらく中銀の措置は功を奏し、長期のものをはじめとするロシアの債券はアジアの投資家の関心を惹く、としたうえで、こう述べる。「しかし、アジア市場が比較的アメリカの圧力に左右されないとはいえ、ロシアの債券の利率は、おそらく半年前より高くなる。資本に対する地域の需要を考慮すれば、アジアのファンドからの投資の額は、さほど大きくはなく、100~200億ドルとなろう」
「ウラルシブ・キャピタル」のアナリストであるドミトリー・ドゥドキン氏は、連邦債に対する機関投資家の投資ポテンシャルは数百億ドルに達しうる、とみている。
仲介業会社FBSのアナリストであるキラ・ユフテンコ氏は、こう述べる。「アジアおよびアラブの政府系ファンドは、莫大なリザーブを有しており、パートナー国の多角化に関心を抱いている。近年、中国および日本は、ユーロ圏へさかんに投資したが、9月初めに発表された欧州中央銀行の緩和措置は、ユーロ債の収益性を下落させた。一方、ロシアの債券の収益性は、現在、高い水準にあり、これが、ロシア債の主な競争上の強みとなっている」
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