ロシア発のデジタルヘルス

Shutterstock撮影

Shutterstock撮影

ITと医療の可能性をミックスさせた新たな市場であるデジタルヘルスは、スタートアップにとって最も有望な分野の一つ。専門家の評価によれば、この分野で活動するアメリカの企業は、昨年、約20億ドルのベンチャー投資を誘致した。ロシアにおけるデジタルヘルスの新星やリーダーたちの姿に光を当てる。

「医師のためのフェイスブック 

 デジタルヘルスの分野におけるロシアの起業家たちの成功は、アメリカと比べるといま一つ。ブライト・キャピタル財団のベンチャー・パートナーであるイリヤ・パヴロフ氏は、その背景をこう語る。「医療プロジェクトには、企業や投資家の長期的かつ安定した活動が必要ですが、ロシアの投資環境は、まだこれからといったところです」

 それでも、興味深いプロジェクトはあり、ブライト・キャピタル財団は、すでに「ドクトル・オンタイム」というプロジェクトに二度(2012年夏に100万ドル、2014年春に300万ドル)投資している。同プロジェクトの共同創始者で最高経営責任者のスタニスラフ・サージン氏は、こう語る。「パートナーとともに『医師のためのフェイスブック』を立ち上げましたが、現在、この交流サイトには20万人以上のロシア内外の専門家が参集しています。私たちは、すべての候補者とその学位証書をチェックしたり職場に直接電話をしたりしています。このプロジェクトは、薬剤の広告費で運営されており、同スタートアップは、世界の大手製薬企業20社のうち13社と契約を結び、昨年は、収益が150万ドル、純益が50万ドルでした」

 

「ノルマ・シュガー」 

 糖尿病患者の容体を監理する自動オンラインシステム「ノルマ・シュガー」は、この二年間に約100万ドルの投資を誘致したが、今のところ成長は緩やか。同システムの最高経営責任者であるアレクサンドル・ポドグレベリヌイ氏は、セクレト・フィルムィ(企業のノウハウ)誌へのインタビューで、こう述べた。「今のところ、登録されたユーザーは7500人、オンラインのコンサルティングを行う内分泌専門医は44人ですが、このプロジェクトには、大きな未来があります。私たちは、最初のオーディエンスを集め、徐々にその数を増やしています。しかし、何よりも大事なのは、『ノルマ・シュガー』が事実上ロシアのいくつかの大きな国立医療センターにおいて糖尿病患者の診察や治療にとってのスタンダードになった、という点です」

 

ニッチを見つけ、じっと待つ 

 ロシアにおいてデジタルヘルス分野で成功を収めるには、有利なニッチを占めて待つことが必要。「ノルマ・シュガー」の投資者であるアルカジー・モレイニス氏は、こう述べる。「世界およびロシアにおけるデジタルヘルスの発展は、他のスタートアップよりも時間がかかり、その軌跡は、アイスホッケーのスティックのよう。ラインは、最初はなかなか上昇せず、あるとき急に曲がり、それから一気に上昇します。それは、米国ではすでに起きましたが、ロシアではこれからです。けれども、数年後には、メディカル・スタートアップは、ポピュラーとなり、大きな収益をもたらすようになるでしょう」

 

デジタルヘルス分野における四つのスタートアップ

ヴィタポータル 

もっと読む:


帯広から画像診断

 メディカル・リソース「ヴィタポータル」は、幅広いオーディエンスに医療および薬剤に関する情報へのアクセスを提供している。資料は、掲載前に医師によってすべてチェックされる。「ヴィタポータル」は、2011年5月、投資会社「ファスト・レーン・ベンチャーズ」を後ろ盾に活動を開始。起業時の投資の額は100万ドル以上で、現在、薬剤や健康商品のメーカーからの広告およびスポンサー・サポートを通してマネタイゼーションが行われている。

 

ライフ・ボタン 

 医療警報装置「ライフ・ボタン」は、老人や身障者が緊急援助を求める際に役立っている。二種類のサービスがあり、一つは、オペレーター役の医師がいるコールセンターに常時接続されているSOSボタンと位置判定用GPSを備えた電話、もう一つは、そうしたボタンと転倒検知センサーと通話システムを備えた特殊なブレスレット。同プロジェクトは、これまでに98万ドルを誘致することができ、「ライフ・ボタン」つきの電話は、現在、ロシアのほぼ全国で販売されている

 

Med-Room.com

 ノヴォシビルスクのプロジェクトMed-Room.comは、電子登録および医療サービスの比較というビジネスで成功した外国の二社のモデルを模倣している。同サイトのテストバージョンを使えば、最寄りの民間の医院や医師を見つけたり、医療サービスの料金を比較したり、都合のよい時間に診察を予約したりすることができる。同社は、もっぱら商業医療の分野において活動しており、その内訳は、歯科医院が60%、総合病院が15%。

 

医師の世界 

 メディカル・ポータル「医師の世界」は、医師のための交流サイトに似ているが、他のサイトとは異なり、インタラクティヴな医療用計算機、入院検査に関する資料、医薬品のデータベース、クリニカル・レコメンデーションといった医師の業務用ツールが追加されている。同スタートアップは、日本の会社「エムスリー(M3)」と提携している。