日本、長きにわたるパートナーに

フォーラムのパネルディスカッション=吉村慎司撮影

フォーラムのパネルディスカッション=吉村慎司撮影

日本の経済産業省、ロシアの経済発展省などが19日、東京都内のホテルで「第6回日露投資フォーラム」を開催した。クリミア編入決定の翌日で国際世論が揺れる中だったが、ロシアから来日した約300人を含めて計700人以上のビジネス・行政関係者が集まる盛会となった。

 フォーラム冒頭で、両国の経済交流が拡大してきたことを強調する安倍晋三首相・プーチン大統領からの2通のメッセージが読み上げられた。それを踏まえ、主催者である経済発展省のA・リハチョフ次官は「ロシアと日本の貿易額は300億ドル強でまだ大きくはないが、これを2018年には500億ドルに増やしていきたい。今回ロシア側からは50のプロジェクトを提案する」と述べた上で「1300万人が住むモスクワには1000軒以上の日本食レストランがあり、誰もが日本食に親しんでいる。ロシア人は今、日本に対して大きな関心を持っている」と話した。

 

ウクライナ危機長期化を否定

 続いてパネル討議がスタート。日本側からは日露交流促進官民連絡会議の坂根正弘代表世話人(小松製作所相談役)、飯島彰己・三井物産社長、伊藤雅俊・味の素社長ら5人が登壇した。ロシア側からR・ミンニハノフ・タタルスタン共和国大統領ら6人が参加し、中でも前副首相でロスネフチ社長のイーゴリ・セチン氏が注目を集めた。

 セチン社長は日本の経済界に対して「石油・ガス生産の分野に限らず、加工や輸送、販売を含めた総合的な協力を提案したい。今後何十年にもわたるビジネスパートナーになるのはどうか」と呼びかけた。飯島三井物産社長はこれを受けて、「ロシアはエネルギー供給基地として日本にとって重要。当社は80年代からサハリンプロジェクトを推進しており、現在もロスネフチと様々な事業を検討している」とエネルギー協力への積極性をアピールした。

 討議の終盤、セチン社長は進行役の石川一洋・NHK解説主幹からウクライナ問題の経済的影響を聞かれ「慎重に情勢を見守りたいが、問題が長く続くとは考えていない」と回答。「この問題で当社の株価が下がっているが、多くの大プロジェクトが控えていてまた上昇するのは目に見えている。今はむしろ、当社株を買う良いチャンスだと申し上げたい」と切り返した。

 

「極東以外とも交流を」

 フォーラムは午後に入り、自動車産業、都市環境、医療など8つの個別テーマに分かれた分科会に移った。

 地域経済交流をテーマにした会合では、日本側から国際協力銀行(JBIC)によるロシア向けの金融支援事業のプレゼンテーションを始め、鳥取県や北海道、新潟市の対ロシア極東交流の取り組みが紹介され、ロシア側からは極東発展省の活動、沿海地方やサハリン州の対日経済交流のプレゼンがあった。質疑では国会議員のミハイル・スリペンチュック氏から日本側に「なぜ日本に近い地域の話ばかりしているのか。モスクワなど他の地域と経済交流する考えはないのか」との質問が出て、進行役の平井伸治鳥取県知事が境港からザバイカル方面への試験輸送といった過去の取り組みについて説明する場面もあった。

 中小企業を議題とした別の文科会では、日本側からノースプラン(札幌市)による防雪柵設置、みらい(東京都)による植物工場開設などのプレゼンがあり、ロシア側からは中小企業支援体制の最新情報について解説があった。

 

企業間の署名文書も続々

 今回のフォーラムでは、川崎重工業や双日、日立製作所、丸紅といった計14社(大学なども含む)が、ロシア側と計12件の署名文書を交わした。モスクワでの廃棄物処理プロジェクトや、極東での熱電供給所建設、植物工場事業に関する合意文書などで、会場のステージを使って調印式も開かれた。

 日露投資フォーラムは、民間の投資促進を目的に06年にサンクトペテルブルクで第1回会合が開かれた。経済産業省によれば、それから7年半の間に日本の対ロシア直接投資残高は約4倍、日露間の貿易額は2.5倍に増加したという。