東シベリアのクラスノヤルスク市の東方152キロ地点にあるボロジンスカヤ炭鉱=ロイター通信/ Vostock-Photo撮影
2030年までの長期計画を修正
露エネルギー省は、ロシアの石炭産業発展のための、2030年までの長期計画を修正した。この修正は、西シベリア(クズネツク炭田)から極東地域ないし東シベリア地域への、石炭採掘のメッカの「より大規模な」移転と関係している。
これに伴う新しい見通しは、従来より楽観的で、2030年までにロシアにおける採炭量は15%増加し、4億1000万トン~4億6000万トン(以前の予測では20%の伸びで、3億2500万トン~4億3000万トン)になるとされ、輸出量は20%増加し1億7000万トン~2億500万トンに上るとされる。
この数字の伸びは、とくに、国内市場の要求を過小評価したことによる。ロシア東部におけるこの新しいプロジェクトの進展で、例えば、ロシアの鉄鋼・コークス炭大手「メチェル」が所有するエリガ炭鉱や、TEPK社(トゥバ・エネルギー生産有限責任会社)のエレゲスト炭田は2030年までに、環太平洋地域への輸出量を1億2000万トンにまで倍増させることが可能になる。欧州方面への供給は現状の規模(8400万トン)に留まるか、もしくは6000万トン規模に縮小する。
不況とシェール革命
しかし目下の状況における問題点は、データから知ることができる。露エネルギー省ではその基本的なリスクとして、経済状況の停滞による石炭価格の低下(燃料用石炭は2008年には1トンあたり150ドルであったが、2013年には1トンあたり84ドルまで下落している)と、既存市場におけるライバル企業の台頭をあげている。2013年時点においてすでに、ロシアの炭鉱の16%が赤字に陥っている(2011年時点では9%)。
一方、アメリカは「シェール革命」により石炭の輸出に積極的な姿勢を見せている。欧州連合へのアメリカによる石炭の供給は、2009年から2倍に増えて2013年には6500万トンに達し、環太平洋地域への輸出に至っては7倍の3800万トンとなった(2009年比)。年平均輸出増加率は、ロシアが7.2%であるのに対しアメリカのそれは23.7%に上る。
国内市場の問題点
露国内市場にも問題があり、石炭はこれまで通りガスに負けている。エネルギー事業における今後のガスの増加は、石炭製品の過剰生産と企業の倒産を招くかも知れない、と露エネルギー省は警告している。一方、2030年までに火力発電による石炭需要は、2013年の9200万トンから、1億1500万トンないし1億2300万トンへ増加するとしている。
大手石炭会社はこのプログラムに関してコメントしていないが、「コメルサント」紙に対し、市場筋は、この計画は「理にかなったもの」と評したという。ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)のセルゲイ・ドンスコイ氏はこれを肯定しつつ、「高い輸出ポテンシャルをもつ東シベリアでの石炭生産を発展させることは合理的だと言えます。西シベリアの石炭業者は、輸送距離が長いため、『限界供給者(採算性が価格変動に大きく左右される)』であることを余儀なくされています。」と語った。加えて氏は、「環太平洋地域におけるロシア石炭企業のライバルは、まず第一には、アメリカではなく、オーストラリアやインドネシアです。オーストラリアやインドネシアの石炭生産者は、より短い輸送距離を利用してより高い採算性を確保できるのです」と指摘している。
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