タス通信撮影
1月に発効するこの法律は、政府管理下にある巨大企業のガスプロムとロスネフチが、海底資源を採取するために外国企業の支援を募ることを可能にするが、これは外国企業にとっても有利な提携モデルを提供することになる。
「このような取り決めはかつて存在しませんでした」と話すのは、コンサルタント会社KPMGロシアの上級弁護士、アンドレイ・グラチョフ氏だ。「これは、沖合で炭化水素を採取するのに最適な方法です」。
西側企業に対する障壁
ガスプロムとロスネフチは、ロシアの海洋領域で資源を探索するための許可証を、仰天するほどの数取得している。この領域は、ロシア政府がこの2社のために独占的に確保しておいたもようだ。しかし、掘削には、深い鉱穴だけでなく、彼らが西側諸国に注目する理由となった最先端技術も 必要とされるため、両社ともほとんど開発できていない。
これまで、西側企業参入に対する障壁は、提携を断念せざるを得ないほどのものだった。ガスプロムは、今年末までに、2個所の油田・ガス田で独自に生産を開始すべく準備中だが、そのうちの1個所は、先月、グリーンピースの運動家によって標的とされたものだ。
ガスプロムと、フランスのトタル社およびノルウェーのスタトイル社との間の提携関係は、北極海の巨大なシュトックマン油田から石油を生産することが目的だったが、莫大な投資の必要求や天然ガス市場における供給過剰といった理由により、軌道に乗らなかった。
ロスネフチは数々の採掘地で、エクソンモービル、スタトイル、エニの海外大手3社と提携関係を結んだが、この取り決めでは、ロスネフチが合弁事業の支配権を握ることが保証され、小規模の探鉱が実 施されている。
事実上開かれた門戸
今回政府は、海外の専門知識と技術を利用するために、より簡単なモデルを整備したこと、また、これまでのように企業間で取引ごとに合意するのではなく、基本的な条件を法律に明文化した点をグラチョフ氏は指摘した。
9月30日にウラジーミル・プーチン大統領が署名したこの法律は、掘削許可証の保持者がロシア国内企業または外国企業のいずれかの掘削専門業者を特定の掘削地で雇うことができ、その操業者が、さらに契約請負業者を利用できるようにするものだ。
外国企業が操業できるという規定は、この法律のいくつもの条項によって定められているが、これは他の一連の法律も修正することになる。ロシアの大陸棚に関する法律の修正事項のひとつは、同国の領域内で就業する権利を、「人工島、リグ、施設の建設、運用、利用」の目的でライセンス保持者によって「請負契約したロシアまたは外国の法人」に与えるとの規定だ。
この法律は、運用業者が魅惑的な報酬を獲得する権利を約束しているとグラチェフ氏は指摘する。
これらの企業に対する支払は、石油やガスの生産量によって、また、生産物の販売によって得られる収入に左右されるため、実質的には収入の一部が報酬として支払われることになる。
「海洋資源開発は技術的に宇宙探査より難しい」
KPMGの弁護士たちは、専門家グループの一員として、この法案を評価し、その法案の改正事項を提案した。
ロスネフチの広報担当者ウラジミール・チューリン氏は、同社はこの法律に従って、提携先との現行および将来的な契約を変更することができると語った。
また同氏は、この法律が、政府が力説する海洋開発プロジェクト推進の重要性を、行動で示したものだと述べた。
「ロシアの首脳陣は、経済とエネルギー業界の発展の将来性が海洋資源にかかっていることを認識しています。このような法律が制定された理由は、オフショアでの操業に対してより魅力的な条件を整えるためです」。
ロスネフチは、420億メトリックトンの燃料が埋蔵されている44個所の海洋油田に対して、石油探鉱と開発の権利を有している、と同社会長のイーゴリ・セーチン氏は述べた。
インターファクス通信は、セーチン氏が先週末に、「海洋資源開発は、技術的に、宇宙探査より難しい」と述べたと報じていた。
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