廃車税の条件同一化へ

アンドレイ・ステーニン撮影/ロシア通信

アンドレイ・ステーニン撮影/ロシア通信

ロシアの自動車メーカーが、自社製品が廃車された後の安全処理の義務を引き受ける代わりに、廃車税を免除される制度が現在行われているが、これを撤廃する法案がロシア下院(国家会議)第1読会で可決された。

 法案「ロシア連邦法第24-1条『生産および消費の廃棄物について』の修正について」は5月、ロシア政府が下院に提出していた。

 廃車税は2012年9月1日より、ロシアで販売される自動車すべてから徴収されている。ただし、国内メーカーについては、安全処理を保証する代わりに免税が認められている。また、関税同盟加盟国から輸入された自動車、カリーニングラード州で自由関税区域の関税手続が行われた自動車も免税対象。廃車税の基本税額は乗用車で2万ルーブル(約6万円)、トラックとバスで15万ルーブル(約45万円)。自動車の年数や技術特性による、割増係数と割引係数も存在する。

 

露のWTO加盟きっかけにEU、日本、中国などが異議申し立て 

 法案の趣旨説明には、世界貿易機関(WTO)協定とロシアの法律の整合性が必要となったために、法案が作成されたと記されている。ロシアはWTO加盟国としての義務を果たすために、国内メーカーと輸入者に対する条件を同一化する法案の成立を目指す。これによって、廃車税をめぐってWTOに提訴されるリスクが、著しく低くなるという。

 廃車税の条件の同一化を求めていたのは、欧州連合(EU)やその他の自動車輸出国。修正は7月1日に適用される予定だったが、下院議員が春会期の終了までに法案を精査できなかった。EUは6月初め、ロシアのメーカーと自動車の輸入者の間に、廃車税の条件の差が存在することが差別的であるとして、WTOに異議を申し立てていた。その後自動車輸出国である、中国、アメリカ、トルコ、ウクライナ、日本も続いた。

 現在約370メーカーが、安全処理の義務を引き受け、廃車税を免除されている。

 

「国産メーカーへの新たな支援を模索中」 

 ロシア連邦産業・貿易省のアレクセイ・ラフマノフ次官は下院で、ロシア政府が自国の自動車産業の競争力を維持するための新たな対策を検討していることを 伝えた。

 「この対策は、メーカーがその財政状況を維持しなければならないことへの理解でもある。ロシア市場で自動車の値上げが起こるとすれば、(廃車税の免税撤廃によるものではなく)インフレのパラメータであろうと、我々は考えている。自動車価格の著しい値上げが起こるという理由、あるいは懸念材料は、この法案に関しては見当たらない」。輸入車からすでに、約500億ルーブル(約1500億円)の廃車税が徴収されていることも、明らかにした。この廃車税は、自動車の処理システムの創設にも使われる。処理の問題は、廃車処理の複合システム適用とともに、完全に解決されなければならない。

 産業貿易省は先週、関税同盟すなわちロシア、ベラルーシ、カザフスタン以外で製造された自動車や重機の国の購入を禁止するよう、政府に提案した。禁止の対象となるのは乗用車、貨物自動車、牽引車、バス、トロリーバス、重機で、2014年1月1日に発効する可能性がある。産業貿易省はこの制限について、 WTO協定に準拠した、ロシアの自動車産業の保護手段であると話している。

 

元記事(露語) 

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