ノバテクが新パートナー決定へ

ロシア最大の独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」は近々、「ヤマルLNG」プロジェクトの投資家探しを終える=タス通信撮影

ロシア最大の独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」は近々、「ヤマルLNG」プロジェクトの投資家探しを終える=タス通信撮影

ロシア最大の独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」は近々、「ヤマルLNG」プロジェクトの投資家探しを終える。ヤマル半島における液化天然ガス(LNG)開発の残りの少数権益10%の取得を目指して、日本のコンソーシアム(三井物産、三菱商事)とインドのコンソーシアム(ONGCビデシュ、インディアン・オイル、ペトロネットLNG)が争っている。

 ノバテクによる、ヤマルLNGの3番目のパートナーを選定する作業が大詰めを迎えている。関係筋2人がヴェドモスチ・ル紙にこれを伝えた。10%マイナス1株の取得をめぐり、日本とインドが争っている。「我々の情報では、最終的なパートナーがすでに決定しており、近々プロジェクトの他の参加者に合意を得るようだ」と関係筋の1人は話す。

 ONGCビデシュのニマル・クマル氏が、ONGCビデシュ、インディアン・オイル、ペトロネットLNGからなるインドのコンソーシアムの参加をヴェドモスチ・ル紙に伝えた。インドのメディアは9月初め、このコンソーシアムがプロジェクトの15%の権益を購入することについて交渉していたが、その後減らさなければならなくなったと伝えていた。

 日本の外交官が、三井物産、三菱商事からなる日本のコンソーシアムの参加をヴェドモスチ・ル紙に伝えた。アレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相率いるロシアの代表団は来週、このプロジェクトに関する交渉を行うため、日本を訪れる。

 ヤマルLNGは、1兆3000億立方メートルのガスを備蓄する、ヤマル半島北東の南タンベイ・ガス田の開発、またそれぞれが年間500万トンの能力を有するLNG生産工場3ラインの建設のプロジェクト。最初のラインの稼働は2016年末の予定。ヤマルLNGが完全稼働を始めるのは2018年。ノバテクはこのプロジェクトの費用を明かしたことはない。「UBS」の試算では230億ドル(約2兆3000億円)、「インヴェストカフェ」の試算では200億ドル(約2兆円)。

 ノバテクのプロジェクトのパートナー探しは2年目になる。最初のパートナーはフランスの石油・ガス会社「トタル」で、権益20%を8億ドル(約800億円)で取得した。さらに5億ドル(約500億円)をプロジェクトの実現に費やす予定。

 「中国石油天然気」が権益20%を取得すると、ノバテクは今夏発表していた。しかるべき合意を得た上で、両社は12月1日までにこの取り引きを終える考えだ。またノバテクは同じ時期に、中国石油天然気とこのプロジェクトに関する最終的な投資の決定を行い、ガスの輸出契約を結ぶ予定であると、「インテルファクス」紙がノバテクのレオニド・ミヘリソン取締役会長の言葉を伝えている。ミヘリソン取締役会長は以前、中国石油天然気がヤマルLNGのガスを年300万トン購入することになると話していた。中国石油天然気の関係筋も、ノバテクとの契約は完全に合意されており、あとはしかるべき承認を得るのみであることを認めた。

 ノバテクはヤマルLNGの経営支配権を手元に残したいと考えているため、3番目のパートナーに残るのは10%マイナス1株以下ということになる。ノバテクの関係筋は以前、約20社が権益の取得に名乗りを上げたことを明らかにしていた。

 ノバテクの共同所有者であるゲンナディー・ティムチェンコ氏は今夏、中国石油天然気が「トタルと同じ規模でプロジェクトに参入する」と話していた。さらに同様の方法で、このプロジェクトに他の参加者も加わるという。つまりノバテクはヤマルLNGの権益30%に対し、約120億ドル(約1兆2000億円)を受け取る可能性があり、さらに新たなパートナーからこのプロジェクトへの約7億5000万ドル(約750億円)の投資があるかもしれないということだ。

 ノバテクはガスの採掘と液化だけでなく、購入も希望する企業をプロジェクトに呼び込むことに関心を抱いていると、投資会社「アンコルインベスト」の上級アナリストであるセルゲイ・ヴァフラメエフ氏は考える。そのため、日本のコンソーシアムにチャンスがあるのではないかと話す。日本は現在、世界最大のLNG輸入国だ。イギリスの大手石油会社「BP」のデータによれば、日本は昨年8700万トンのLNGを輸入した。「日本では最近、最後の原発が止められた。そして現在、代替燃料の確保が急務になっている」とヴァフラメエフ氏。2番目は韓国(3700万トン輸入)、3番目はスペイン(1600万トン輸入)だ。4番目と5番目はインド、中国で、輸入量はそれぞれ約1500万トン。中国の輸入量は今後急増し、最大の輸入国になる可能性があると、ヴァフラメエフ氏は考える。

 日本もインドもヤマルLNGプロジェクトからLNGを輸入する可能性があるが、長さ5770海里の北極海航路を通じてのみだと、投資会社「ポートニュース」発展部のナデジダ・マルィシェワ氏は話す。スエズ運河経由の南航路は1万2840海里と、長さは2倍になるため、コストがかかるという。北極海航路経由の輸送が現在、夏季限定であることは問題だ。それでも10~15年後には1年中輸送できるようになると、マルィシェワ氏は自信を持つ。ヴィクトル・オレルスキー運輸省次官は以前、2020年代に北極海航路の輸送量が年間6000~7000万トンになると話していた。その主な貨物となるのが、「北方水域で採掘される炭化水素資源」であるという。

 

元記事(露語)

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