新生児のための発明品

アントン・マルィシェフ氏=写真提供:Press Photo

アントン・マルィシェフ氏=写真提供:Press Photo

新生児の自閉症と統合失調症を根絶しようと、ロシアの研究者が新生児の神経系の完全な発達に必要なペプチドを合成し、独自の新事業を始めた。

神経系の発達に必要なペプチドを人工合成

 子供の神経系を正常に発達させる、母乳の特別な成分(ペプチド)を人工的に生産するというアイデアは、モスクワ国立大学生物学部とロシア医学アカデミーの10年に及ぶ研究、そして当時学生だったアントン・マルィシェフ氏の才覚の成果となった。

 M.V.ロモノーソフ・モスクワ国立大学の卒業生で、若き研究者であるマルィシェフ氏は2011年、自身の指導教官であるヴャチェスラフ・ドゥブィニン教授の研究を商業化することを思いつき、ここからスタートアップ「ラクトコア(Lactocore)」が始まった。

 「ラクトとは乳、コアとは神経系をイメージしている」とマルィシェフ氏。難しかったのは、配合を変えることに同意してくれる会社を見つけることだった。 「我々の市場の問題点は、ネスレのような大手企業がマーケティングや販売でしか参入していないこと。追加的な原材料の問題となると、ネスレなら、スイスの開発部が決定する場合がほとんど。開発部に達するまでがかなり困難で、西側諸国用に証明書もつくりなおさなければならない」。

 

海外のパートナーを求む 

 パートナーは結局、ロシアで見つかった。オムスクの大手乳製品メーカーが提携に合意し、今年末にはラクトコアの入った製品の初品をロシア市場に投入する 予定だ。他にもベラルーシで大きな提携事業が準備されており、ラクトコア成分の国家登録が完了し次第、ベラルーシの大手幼児食品メーカーとの共同事業が始 まる。

 2011年に事業を立ち上げて2年で、7万ドル(約700万円)の補助金を得ることができた。現在の研究費と従業員の給与には足りている。ただし、海外展開を始めようとすると不十分だ。現在は国際的なパートナーの他、完成品の試験、特許、マーケティング戦略の実施のための費用16億ドル(約1600億 円)を探している。