ガスプロム株の買い時か

「ガスプロム(Gazprom)」の株価は、1年で3分の1近く落ち込み、時価総額は1000億ドル以下になっている。=ロシア通信撮影

「ガスプロム(Gazprom)」の株価は、1年で3分の1近く落ち込み、時価総額は1000億ドル以下になっている。=ロシア通信撮影

ロシアの国営天然ガス企業「ガスプロム(Gazprom)」の株価は、1年で3分の1近く落ち込み、時価総額は1000億ドル以下になっている。今後しばらくは株価の値下がりが起こり得るものの、アナリストはガスプロムの株を購入し始めることをすすめている。アナリストの目標株価は、現在の価格の2倍になっている。

モンスター2社が衝突 

 強いロビーの資金援助があっても、国家が大規模な資本算入をしても、競争の法則から逃れることはできないという例を、ロシアは示した。

 北極圏大陸棚問題で、 ガスプロムとロシアの国営石油会社「ロスネフチ(Rosneft)」という、エネルギー・モンスター2社が衝突した。両社はつい最近まで、一緒になって民間企業の大陸棚開発の試みを阻止していたが、現在は同じ場所の開発を主張して仲違いしており、この対立は国の燃料エネルギー委員会での検討を提案されるまでになっている。

 この対立の主な原因は、ガスプロムがこの鉱床開発権を、自社の子会社「ガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)」に譲渡しようとしていることにある。この子会社はロスネフチの直接的な競合企業だ。政府は1月、ガスプロムに17区域、そしてロスネフチに 12区域のライセンスを与えることを承認した。ロスネフチはこの区域をすでに受領し、うち7区域の開発にアメリカの提携先である「エクソンモービル (ExxonMobil)」を招いた。

 

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ガスプロム・ロスネフチ株価のチャート

ガスプロムの株価が下がった理由は? 

 ガスプロムの株価が下がった要因の一つは、このロスネフチとの対立だが、これが主要要因というわけではない。ロシアの投資グループ会社「アトン (Aton)」のアナリストであるアンナ・ラカイチュク氏は、他の3要因がより大きく影響していると考えている。それは中国との長引く交渉(ガスプロムは 年間380億立法メートルのガスを中国に供給しようと計画している)、国内市場で強まる、独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク(Novatek)」などの競合企業の勢い、そしてヨーロッパ市場の不況だ。

 ノバテクはすでに、複数のガスの産業系大口需要者をガスプロムから奪い、ヤマル半島で液化天然ガス(LNG)生産事業を行うプロジェクトも活発に進めている。ノバテクの燃料タンカー3隻は昨年、北極海航路を通じて韓国に入った。

 

欧州の不況も足を引っぱる 

 ヨーロッパの不況で、ガスプロムはガスの過剰生産の問題を解決しなければならない。ヨーロッパ向けのガス供給量の落ち込みは、価格下落をもっても克服できない。1~2月の輸出量は、昨年同期の277億立法メートルから、268億立法メートルにまで落ち込んだ。

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 ガスプロムは、2012年フィナンシャル・タイムズ世界企業時価総額番付上位500社(Financial Times Global 500)で、16ポイント落して31位にとどまった。

 それでもアナリストらによると、どこまでが金融市場の全体的不況のせいで、どこまでがガスプロム自体の過ちのせいかは、あまり判然としないという。

 

すでに底打ち? 

 ガスプロムの株価はすでに底打ちになっている可能性がある。この”底”とは、株価上昇に間に合うよう、アナリストが 一般に株の購入をすすめるレベルだ。ラカイチュク氏は例えば、今そのようにすすめている。 「ガスプロムの目標株価は今、1株7.3ドルだ。これは現在のレ ベルの約2倍」。

 市場はすでに、ガスプロムにとって良いシグナルをいくつか受けている。

 例えば2008年以降初となる、ガス現物価格の上昇が起き、ガスプロムの価格よりも高くなった。「シティ(Citi)」のアナリストのデータによると、イギリスでは3月1日以降、27%増の1000立法フィートあたり13.9ドル (10.6ドルから)まで上昇した。ヨーロッパでも同様の伸びが見られる。ベルギーのゼーブルッゲ(Zeebrugge)では23%増の12.9ドルま で、フランスのペグ・ノール(PEG Nord)では12.7ドルまで上昇した。ガスプロムは1000立法フィートあたり約12ドルで、ヨーロッパにガスを販売している。

 

危機後初めて現物価格が上昇 

 ヨーロッパの価格上昇は、LNGの量が減少したこと(より魅力的なアジア市場が調達した)、ノルウェーのオルメン・ランゲ・ガス田で採掘に問題が起こっていること、そしてヨー ロッパの寒冷な天候によって起こった。シティのアナリストは、現物市場がガスプロム以外からの調達の可能性を、使い尽くしたと考えている。このように、ガスプロムのヨーロッパ市場での立場は、市場が予想しているよりも、より確固たるものなのだ。

 

結局は世界の金融市場の動向次第 

 ロシアの投資会社「ツェリフ(Tserih)」分析部の責任者であるニコライ・ポドレフスキフ氏は、世界の証券市場が今後長期的に成長できるようであれ ば、ガスプロムの株価の低迷は一時的なものになるだろうと考えている。ガスプロムの収益に対する時価総額は、同社株への投資の魅力が増していることを考えれば、非常に低 いレベルにあるという。ポドレフスキフ氏は、2012年度の配当を5~6%と評価している。

 「これらの根拠だけでも、投資家にとっては、長期ポートフォリ オにガスプロムの株を加えるに十分だ」。