ロスネフチのアジア行脚

ロシアの国営石油会社「ロスネフチ(Rosneft)」は、北極圏ロシア領大陸棚を開発するため、アジア諸国で提携先探しを行っている。また、国内の競合である国営天然ガス企業「ガスプロム(Gazprom)」に対抗するため、液化天然ガス(LNG)の輸出自由化への支持も取りつけたい考えだ。
=タス通信撮影
=タス通信撮影

 ロスネフチのイーゴリ・セチン社長は先月中旬、韓国、中国、日本を訪れ、政府高官や大手エネルギー関連企業の幹部らと相次いで会談した。だが、合意書類が作成されたのは中国のみだった。ロスネフチと中国石油化工股分有限公司(SINOPEC)は、中国に向けたロシアの石油輸出量の大幅拡大について、覚書を結んだ。ロシアは現在、東シベリア・太平洋石油パイプライン(ESPO)経由で、中国に年間1500万トンの石油を輸出している。

 

LNG分野の協力にも意欲 

 セチン社長のアジア展開の課題は石油が主だが、それだけではない。2月の訪問は、北極圏ロシア領大陸棚と、LNG分野の協力に関するプレゼンテーションになっていたからだ。これは3ヶ国のすべてで同様だった。

 韓国では朝鮮半島有数のLNG輸入者である韓国ガス公社(KOGAS)と、大陸棚用機械を開発している世界的大手造船会社のSTX、中国では中国石油天然气集団公司(CNPC)、中国石油化工股分有限公司、中国海洋石油総公司(CNOOC)、そして日本では国際石油開発帝石株式会社(INPEX)、石油資源開発株式会社(JAPEX)、サハリン石油ガス開発株式会社(SODECO)、そして「サハリン1」プロジェクトのパートナーである伊藤忠商事株式会社と丸紅株式会社に、プレゼンテーションが行われた。

 

かんばしくない欧州のガス需要予測 

 現在、北極圏ロシア領大陸棚の開発ライセンスの80%を、ロスネフチとガスプロムが保有している。大陸棚の資源は高額で、国内市場に販売するのは不可能だ。そしてヨーロッパのガス需要予測がかんばしくないため、ロシアの輸出政策を東方に向ける必要があるのだ。セチン社長によると、北極圏のガス備蓄を現金化する唯一の方法は、液化と輸出だという。アジア市場にロシアのLNGを販売するための、最適な条件が整うのは、2018年から2022年の間だ。ロシアがこの時期に自国の”隙間”を確保しなければ、オーストラリア、東アフリカ、中東の生産者がそこを占めるだろう。

 

「段階的なLNG輸出自由化を検討」 

 ガス輸出独占権は現在、LNG市場に参入しているガスプロムが握っている。これにより、独立系生産会社は融資を受けられなくなり、そのプロジェクトは凍結してしまう。ロシア最大の独立系天然ガス生産・販売会社ノバテクは、ガスプロムのガス輸出独占権に異議を唱えていたが、ロスネフチも1月にこの動きに加わっている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月中旬、初めて「段階的なLNG輸出自由化を検討する必要性」について語った。

 アレクサンドル・ノバク・エネルギー相は、非独占化案が「個別のプロジェクト」ごと、「個別の地理的区域」ごとに、実現可能だと発表した。政府はガスプロムの独占権を形式上守りつつ、具体的なプロジェクトについては法律に補足説明を加えていく可能性がある、という意見も存在する。そうなると、ロスネフチには完成したプロジェクトが必要となる。そのためにセチン社長の任務が遂行されたのではないだろうか。このようなプロジェクトのひとつになる可能性があるのは、アメリカのエクソンモービル(ExxonMobil)とロスネフチの共同プロジェクト、サハリン1の一環として進められている、LNG生産だ。この生産は福島原発事故後、LNG需要が拡大している日本市場に向けられている。

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