「露日両国は、あらゆるレベルで広汎な対話を始めるべきだ」 =ヴィクトル・ワセニン撮影
フォーラムの分科会各セッションでは、資源開発、インフラ整備、IT、宇宙、文化、スポーツなどについて話し合われた。メインフォーラムと分科会では、報告者が重要な問題を提起し、様々なアクチュアルなテーマについて論じられた。
報告者のコメントと発言
ヴィクトル・イシャエフ極東開発担当大臣兼極東連邦管区大統領全権代表
極東は、ロシアのアジア太平洋地域への門だが、これが正面玄関になるためには、著しい社会的、経済的発展が必要だ。また極東は、ロシアにとってアジアとの統合を可能にする接点でもある。
森善朗元内閣総理大臣
ロシアは極東発展を重要課題と位置づけている。日本は、この課題の遂行において、ロシアにとって興味深い有益な存在となりうる。そのような可能性がある以上、露日両国は、あらゆるレベルで広汎な対話を始めるべきだ。そして、いかに極東を発展させていくか、いかにそれを露日両国に有益なものとしていくのか、ともに考えていくべきだ。
エフゲニー・アファナシエフ駐日本特命全権ロシア大使
露日両国間の経済協力は、日々多面的なものとなり、新たな分野が発展している。これは、ロシア経済の現代化の課題にも適うことだ。私がここで念頭に置いているのは、いくつかの共同プロジェクトで、それらは、ロシアの電力産業の効率化や、自動車製造業、科学、石油化学などの分野での協力に、本質的な貢献をなしうる。
大野正美・法政大学講師
森善朗元首相は、両国間の関係の活性化を呼びかけ、日本の首相が長い間訪露していないと述べた。この指摘は至当で、実際、今のところ両国間の協力には目立った成果はない。経済では進捗が見られるが、政治にはまだない。その意味で、森氏が政治面での活性化を呼びかけたことがその講演の眼目だったと思う。
アレクサンドル・パノフ・元駐日特命全権ロシア大使
我々両国民はよくお互いのことを知らない。こういうフォーラムには、国民の幅広い層が情報交換できるようにする使命がある。主催者のロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)と毎日新聞は権威ある一流のメディアなのだから、なおさらのことだ。
これまで一度ならず気付いたことだが、ロシアで日本について報道される事柄と言えば、地震と津波と相場が決まっており、日本でのロシア報道も似たり寄ったりの状況だ。露日関係にどんな展望があり得るかといったことはほとんど報じられない。実は、両国関係にはプラスの面も少なからずあるが、一般の人の視野には入ってこないのが現状だ。
向井千秋・JAXA(宇宙航空研究開発機構)所長、宇宙飛行士
このフォーラムの重要な役割は、それが話し合いの場を提供してくれて、経験豊かな専門家が参加できることだ。専門家たちは自分の意見を述べ、その意見交換の結果として、相互理解が生まれる。この相互理解こそが第一歩となる。それなしには、両国の関係発展の次の段階に進むことはできない。ロシアは宇宙大国であり、巨大な経験を有している。私は、宇宙医学の専門家として、宇宙開発分野が最も有望なように思える。
フォーラムは財界にも一般にも人気を博し、700人以上が訪れた。参加者のなかには、三井物産、石川島播磨重工業、トヨタ、日本たばこ産業、ソフトバンク、日建設計、東芝、日立などの日本の大企業があった。
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