モスクワに国際金融センター創設?

=PhotoXPress撮影

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ロシア政府は、近日中にモスクワの国際金融センター創設のロードマップを公表する。アレクセイ・モイセーエフ財務次官が、ガイダル・フォーラムの一環として行われた円卓会議「国際通貨システム」で、これを明らかにした。

会議の参加者らは、世界統一通貨を提唱した「最適通貨圏理論」でノーベル経済学賞を受賞している、カナダのロバート・マンデル氏の1時間に渡る熱弁の後で、このロードマップの話を聞いたため、比較的冷めた反応を示した。マンデル氏がドル、ユーロ、日本円を通じて新たな通貨となる「デバイス(仮名称)」をつくるというアイデアを示したため、会場は盛り上がっていたのだ。

マンデル氏に食われる 

とはいえモイセーエフ財務次官の伝えた“明るい話題”も、それなりにおもしろかった。ルーブルが地域準備通貨となる可能性が高まっていることや、多極型世界で地域準備通貨のチャンスが高まることなどだ。

またモイセーエフ財務次官は、ロシア中央銀行が2015年に移行しようとしている変動相場制、政府が適用した予算規定、ほとんどの外為制限の廃止(2007年)の3つが、ルーブルを強くするとも述べた。この3つの柱は、すでに金融市場の参入者が期待する安定性をつくりだしているという。

「強く多様化した経済と確固たる安定」が条件 

国際金融センター創設作業部会のアレクサンドル・ヴォローシン会長も、“明るい話題”を提供した。ルーブルが準備通貨になるためには、強く多様化した経済と確固たる安定が必要だと強調した上で、ロードマップの課題の3カテゴリーについて話した。

それは(1)取引所や証券集中保管機関の発展、法の完全な整備といった、金融インフラの整備、(2)外国人が暮らしやすい開かれた国際都市を目指したモスクワの整備、(3)ロシアの投資環境の整備である。

「国際金融センターは、ロシアのすべての困難をしのぐほどの好条件がそろった時、つくられる」とヴォロシン会長は説明した。つまり、経済的な自由度の高い、開かれた国という意味だ。センター創設はロシア政府も支持している。「政治的意志は確固たるものだ」と同会長はしめくくった。

「ドルとユーロは最後まで残る」 

連邦金融市場局の元局長で現在銀行家であるオレグ・ヴィユギン氏は、ロバート・マンデル氏の立場を会議の席で支持した。

国際通貨は便利なので、世界はドルとユーロを最後まで残すだろう、200種類もの地域通貨に移行するのはビジネスにとって大きなコストになる、というのがマンデル氏の意見だ。

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