財政支出か構造改革か

アントン・シルアノフ財務相と元財務相アレクセイ・クドリン =ロシア通信撮影

アントン・シルアノフ財務相と元財務相アレクセイ・クドリン =ロシア通信撮影

経済や政治の発展に影響力のある専門家が集まる会議「ガイダル・フォーラム」の一環として、年一回開催される国際会議「ロシアと世界」が、1月16日にモスクワのロシア国民経済・国家公務アカデミーで開幕し、ロシアの経済政策の基本的な問題が再度浮上した。国家財政支出で経済成長を刺激するのは是か非かという問題だ。

ドミトリー・メドベージェフ首相は会議で挨拶を行い、ロシア政府の主な中期目標が年間経済成長率(GDP成長率)5%以上であると発表した。

2013年のGDP成長率が3.5~4%となることは今の段階でほぼ決まっているが、残りの1.5%については構造改革にまたなければならない。経済刺激策による成長を信じている反対者は、会議の外で意見を述べることとなった。

構造改革=民営化? 

メドベージェフ首相は、現在の成長速度から、5%以上という新たな目標をぶち上げたものの、今年度の達成は絶対条件ではなく、「近い将来」と時間の猶予を与えている。

首相は「国営企業は、分散していた資産を統合する上で、その役割を果たしたが、これからは、国営企業は特定の規則に従っていなかければならない」とし、これまでの国営企業支援策の代わりとして、「民間の大中小企業の刺激」策を提案した。

そのためには地域の競争を刺激して、投資を呼び込まなければならない。その責務は、地方政府が中央政府と一緒に負う必要がある。その競争の場を創るためには、「徹底した民営化」を行う必要がある、というのが首相の考えだ。国有財産の民営化の速度が遅いために市場の条件が改善されないと、最近政府で説明したばかりで、「いつまでも待っていられない」と釘を刺した。

民営化かバラマキか 

このように、会議で明らかとなったのは、ロシアで政府、人員、主なマクロ経済指標が変わっても、経済政策の基本的対立は変わらないということだ。すなわち、経済成長を加速させるために国家支出を増大させる政策は、マクロ経済的な安定政策と対立する。この対立で変わるのはニュアンスだけだ。

年間GDP成長率5%という目標の中期見通しでは、両方の道があるということが、今年の対立のおもしろいところである。外部からの刺激なしで「自然」成長率が3.5%になるという点には、誰も反論していない。残りの1.5%は、短期的見通しではインフラ事業で予算配分を大きく増やし、中長期的見通しでは根本的な構造改革を行うことで実現可能となることは明らかだ。

アントン・シルアノフ財務相も、この会議の席で構造改革によって経済成長を実現できるという意見を支持した。国の需要を増やすのではなく、改革こそが必要だという意見だ。

中央銀行も財務省の立場を支持した。中央銀行のアレクセイ・ウリュカエフ第一副総裁によると、昨年の3.5%成長は、現行の経済モデルの客観的な可能性だという。このモデルを単純な金融政策の軟化で刺激することは逆効果であり、「経済成長ではなく、異なる経済分野の不均衡と新たなリスクの増加を招く」と考える。

結局、世界経済の動向次第 

概して、ガイダル・フォーラムはこの構想の支持者のフォーラムであるため、アンドレイ・クレパチ経済発展省次官は反対意見を会議の外で表明した。GDP成長率5%には現行の予算規定の修正が必要になると話したが、厳格化をほのめかしたのではなく、経済発展省は一貫してGDPの成長刺激策としての国家支出増大に反対しているのである。

クレパチ次官はまた、現在の成長が経済のポテンシャルと見合っているというウリュカエフ第一副総裁の意見に反対で、金融政策の軟化はGDPの成長を刺激できる手段だとしている。

2013年に、世界経済が安定すれば、国家支出増大を支持する人々に有利であることは明白だ。その反対者、つまり緊縮財政・改革派がこれまで有利だったが、それは、多くの点で、政府がリーマン・ショック後の2008年から2012年の間に“外からのショック”に対応する必要があったからだ。

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