ビデオ提供:Наши Герои/Youtube.com
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デイヴィッド・ドゥカヴニー(デヴィド・ドゥホヴヌィ)が登場する、ロシアのビール「シベリアのコロナ」のCMは、ユーチューブ、交流サイト(SNS)の「フコンタクチェ」、「フェイスブック」、ブログ・サイト「ライヴジャーナル」などの人気のプラットフォームで話題になっている。ドゥカヴニーは俳優として役柄を演じているにすぎないが、多くの人がそれを忘れ、ドゥカヴニーの本心だと純粋に受け止めている。
ドゥカヴニーが普通のソ連市民
この動画は事実上、国家の概念のミニチュアだ。主役は「私がもしロシアに生まれていたら、どうなっていただろう?」と考える。そしてソ連およびロシアの市民になじみ深いシーンが次々と登場する。
子どものドゥカヴニーが学校のアルバムにのり、ソ連のスポーツウェアを着てスキーを滑っている写真が出てくる。次は宇宙飛行士になっている。ソ連の子どもたちは誰もが宇宙飛行士になることを夢見ていた。
また、ボリショイ劇場の振付師にもなる。クラシック・バレエは宇宙と同様、ソ連で人気の高かったブランドだ。40歳になったドゥカヴニーは、アレクセイ・バラバノフ監督の大ヒット映画「兄弟2」(2000年)のオーディションに参加。映画の中では、「私には大家族がいることを知った…」というロシアに関する愛国的な詩を読む。次にアイスホッケーのロシア代表選手になる。アイスホッケー、バレエ、宇宙は、ロシア人が誇る代表的な分野。
ドゥカヴニーはロシアの主要なシンボルをすべて網羅している。大自然の中で時を過ごし、バーニャ(ロシア式サウナ)に入り、オフロード車で走り、ソ連の人気ロックバンド「マシナ・ヴレメニ(タイムマシン)」のメンバーの1人であるアレクサンドル・クチコフに扮して歌をうたっている。CMでずっと流れている曲は、伝説的なロックシンガー、ヴィクトル・ツォイとそのバンド「キノー(映画)」の歌「太陽という名の星」。国民的な歌である。
CMというよりもドキュメンタリー
ドゥカヴニーはかつて、ドイツのビール「レーベンブロイ」のCMに出演していた。その後「X-ファイル」や「カリフォルニケーション」などで活躍し、今度はロシアのビールのCMに出演することになった。
多くのロシアの視聴者は、この動画をCMと見なしていない。一部はCMのないドラマのように感じている。またこれがドキュメンタリー映画で、ロシアへの愛については、俳優が脚本を読んでいるのではなく、自分の言葉で話していると思っている人も多い。
ユーチューブのユーザーの1人Nikolay Wolfさんは、最近ロシア国籍を取得したフランス人俳優のジェラール・ドパルデューと比較している。ドパルデューは演じているわけではないため、そこが相違点だが。
Denis Denisさんは「シートベルトしてオフロード車で野原を走ってる人がロシア人なもんか」と、おもしろいコメントを書いている。アメリカ人は、ロシア人ほど解放的ではないと言いたいようだ。
ユーザーのアレクセイ・マルチェンコさんは、ビールにこれほど高額なCM(アメリカの俳優の出演料は安くはない)を使っているというのは、アルコール事業が近いうちに終わるということではないかと憶測している。わざわざ高いCMで呼び込まなくても、アルコール飲料メーカーは普通は大丈夫だろうという意見である。
ウクライナvsロシア
ウクライナのユーザーは、SNSで怒っている。最近、”聖戦”(ウクライナ関係のあおり)がひどくなっている。
ウクライナのユーザーが、ドゥカヴニーは金のためにやってるだけだろう、と話していることに、ロシアのユーザーは”応戦”。ユーザーのChernyY IniYさんは、「今まで見たCMの中でも最高のCMのひとつ。誰もが自分磨きのために見たいことをここで見た。自国の無限の広さ、自然、バレエ、偉大な作家、宇宙旅行、アイスホッケー、偉大な統治者とか多くのことを誇るべきなんだって、マトモなロシア人に教えてくれた...これがビールのCMにしか見えなかったんなら、可哀想としか思えない」
ドゥカヴニーの父親が、1917年のロシア革命前にアメリカに移民した、ユダヤ系ウクライナ人だったことも、火に油を注いでいるようだ。当時ウクライナはロシア帝国の一部だったが、今は独立国家。
ドゥカヴニーは自分を何人だと考えているのだろうか。ドゥカヴニーは4月4日、自身のツイッターにこう書いた。「ずっと自分がロシア人だと思って生きてきたけど、ウクライナ人だったってことが最近わかった。変わるのに遅過ぎるということはない」
I grew up thinking I was Russian only to find recently that I've been Ukrainian all along. Never too late to change.
— David Duchovny (@davidduchovny) 2014, 4月 4
これはロシアが3月21日にクリミアを編入した後の話。同時にロシアのCMの撮影を行った。これは普通のことである。大切なのは、見る側が画面の中のイメージを、本音ととらえないことだ。
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