ユリヤ・リプニツカヤ=
パヴェル・リシツィン/ロシア通信リプニツカヤは2014年ソチ冬季五輪の団体戦で大活躍し、一躍脚光を浴びて、世界中でファンを獲得した。だがその後はジャンプの技術やその安定性に年齢的な変化の影響があり、低調になっている。その後を、才能のある、優勝に貪欲な新人が、どんどん追いかけてくる。
どうすればいいのだろうか。歯を食いしばって努力し、新たなチャンスを待つべきなのか。それとも何かを大きく変えるべきなのか。最近、有名なコーチであるオレグ・ヴァシリエフ氏が、こんな提案をした。リプニツカヤはペアに転向したらどうだろうか?
提案があった直後、リプニツカヤはきっぱりと否定した。だが石はすでに水中に投げ入れられ、波紋は生じている。ずっとリプニツカヤを支えてきたファンたちは、シングルの選手がペアに転向して成功した前例を探してみた。だが見つからなかった。
過去10年で唯一このような転向をしたのが、ロシアのスケーター、カタリナ・ゲルボリト。2010年にアレクサンドル・エンベルトとペアを組み、タマーラ・モスクヴィナ・コーチのもとで練習を始めた。”滑り出し”は順調で、ロシア選手権で4位、ヨーロッパ選手権で4位に立った。だがその後不調になり、2014年にペアを解消した。史上最も成功した転向例は、半世紀前のもの。イーゴリ・モスクヴィン・コーチが、当時のソ連最高のシングル・スケーター、タマーラ・モスクヴィナとアレクセイ・ミシンをペアにしている。結果は、ヨーロッパ選手権と世界選手権での銀メダル。
リプニツカヤは転向でこのように成功できるかもしれないと、五輪のペアで金メダルを2度獲得しているアルトゥール・ドミトリエフ・コーチは考える。「リプニツカヤにはペアをやる上で障害になるものはない。ジャンプはできるし、スローは練習すれば習得できる。その気さえあれば、後は本人次第」と、「Rスポルト」紙に話している。
ペアのイリーナ・ロドニナ、シングルのアレクセイ・ヤグディン、浅田真央などを教えた実績のあるタチヤナ・タラソワ・コーチは、リプニツカヤの将来のことをあれこれ言うのは乱暴狼藉だと非難。アレクセイ・ウルマノフ新コーチとの新シーズンに向けた心構えを誰かが潰そうとしているとほのめかした。
ペアへの転向はキャリアのリセットの最も好ましいパターンではないという。「ペアの責任は一人ではなく、二人にある。二人の息はぴったり合ってないといけない。リプニツカヤに誰をパートナーとして提案すればいいのか?すべてをほとんどゼロから始めることを誰が承諾してくれるのか?リプニツカヤの技巧はすごい。だが技巧は副因であって、頭で決まる。リプニツカヤは心身ともにほとんど傷ついていないと?かなり傷を負っていると思うよ」とヴェリコフ・コーチ。
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