新スポーツ相に五輪金メダリスト

新スポーツ相のパーヴェル・コロプコフ氏=

新スポーツ相のパーヴェル・コロプコフ氏=

kremlin.ru
 ロシア連邦スポーツ省の新しい大臣に、2000年シドニー夏季五輪フェンシング男子エペ個人の金メダリスト、パーヴェル・コロプコフ氏(47)が任命された。スポーツ相の交代には、イメージ的な要因があるようだ。スポーツ分野の発展の方向性を定めるのは、これまでと同様、ヴィタリー・ムトコ氏となる。

 ほぼ1年ドーピング・スキャンダルに揺れているロシアのスポーツ界にとって、10月は転換期となった。

 まず、10月11日、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア・オリンピック委員会のアレクサンドル・ジューコフ会長が退任することを発表した。10月19日、ヴィタリー・ムトコ・スポーツ相の辞任も明らかになった。

 一連の流れの後、ロシアのスポーツ界の幹部の辞任を多くの人が待っていた。流れとは、世界反ドーピング機関(WADA)独立委員会の報告書でロシアが国家ぐるみでドーピングを行っていると非難され、ロシアの陸上選手および重量挙げの選手がドーピングの疑いでリオデジャネイロ・オリンピックへの出場を認められず、ロシア代表全員がリオデジャネイロ・パラリンピックへの出場を許されなかったことである。

 とはいえ、名目上、変わっているだけのようだ。ジューコフ氏はロシア下院(国家会議)第1副議長になり、スポーツ問題にも今後対応していくし、ムトコ氏は観光・青年対策・スポーツ担当副首相になり、むしろ昇格している。

 

「イメージ」的な交代

 新スポーツ相のコロプコフ氏にとって、これは初の国の仕事ではない。2010年にスポーツ次官に就任し、2012年ロンドン夏季五輪の準備を担当していた。WADAがロシア反ドーピング機関(RUSADA)を憲章に準拠していないと宣言する昨年11月まで、WADAのロシア代表であった。

 コロプコフ氏は今後、WADAや他の国際的なスポーツ機関との協力を優先させることになる。来月にもWADA独立委員会の報告書の第二部が発表される予定であり、内容によってはロシアを国際大会、特に2018年平昌冬季五輪から除外する動きが続く可能性も十分ある。2018年FIFAワールドカップ・ロシア大会の開催も課題のままである。

 コロプコフ氏の元エリート・アスリートとしての評判は、ロシアにとってプラスに作用する可能性も十分ある。プーチン大統領が新スポーツ相を発表した際、その功績について触れ、金メダリストというタイトルが「現行の作業および国際スポーツ機関との接触において」助けとなる可能性があると話したのは、偶然ではない。トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長がフェンシング男子フルーレ団体の金メダリストであるという事実も、助けとなりそうだ。コロプコフ氏のことを知っているはずだ。

 この任命には明らかにイメージ的な要因があると、スポーツ省の消息筋はロシアの「コメルサント」紙に話している。コロプコフ氏は「パートナーに反感を持たれない」人物であり、これまでの仕事の担当範囲には、「国際協力分野における国家政策の策定と実施」が含まれていたという。

 

沈まぬムトコ氏

 現状において、コロプコフ氏の前任のムトコ氏が勝者になっていることは注目すべき点。ムトコ氏には、ここ数ヶ月のドーピング・スキャンダルのイメージがすっかり定着している。ムトコ氏は副首相になり、ロシア・サッカー連盟の理事および2018年W杯の組織委員会の会長のポストを維持しながら、その権限を広げた。

 コロプコフ氏は「100%ムトコ派の人間」と考えるのは、ロシア連邦政府付属金融大学政治研究センターのパーヴェル・サリン・センター長。「この交代で大きな変化はないだろう。ムトコ氏の新たなポストでも、スポーツが最優先。スポーツ相にはコロプコフ氏をおした」とサリン・センター長。

 ムトコ氏をスポーツ界のトップに残しながら、ロシア政府は欧米に一定のシグナルを送っていると、サリン・センター長は考える。「ムトコの“血”をほしがっていたが、こちらは昇格させると。世界でロシア・スポーツがどう思われようとロシアは気にしないということを示しているのではないか」