バイアスロン・ワールドカップ、2015年、 ロシアのハンティ・マンシースク=
アレクセイ・フィリポフ撮影/ロシア通信リオデジャネイロ・オリンピックおよびパラリンピックが閉幕し、沈静化しているかのように見えた、ロシアをめぐるドーピング・スキャンダルは、新たな段階へとエスカレートしている。
WADAとロシアの役人のさらなる関係悪化を招いた要因は、2021年バイアスロン世界選手権の開催地がシベリア西部のチュメニ市になったこと。IBUの総会が9月4日に行われ、このように決まった。
開催地に立候補していたロシアは、総会で25票を獲得し、他を引き離して開催権を得た。他に立候補していたのは、スロベニアのポクリュカ(13票)とチェコのノヴェ・ムニェスト(11票)。
IBUの選定の理由は、チュメニに最新の冬季スポーツ・センター「シベリアの真珠」があること、またロシアに国際大会開催の実績があること。チュメニでは今年2月にバイアスロンのヨーロッパ選手権が開催されており、別のシベリアの街ハンティ・マンシスク市では2003年、2010年、2011年と、3度もバイアスロンの世界選手権が開催されている。
それでも、チュメニの選定にWADAは厳しい反応を示した。IBUに対し、ドーピング問題の調査が行われている国を世界選手権の開催地とした理由を説明するよう求めている。WADA広報部はロシアの「Rスポルト」紙の取材に対し、国のオリンピック委員会と反ドーピング機関が世界アンチ・ドーピング規程に準拠していない国に、国際競技連盟は世界選手権の開催権を与えてはならないと述べた。
IBUの決定は、「国際オリンピック委員会(IOC)」の勧告に反している。IOCは7月19日、ロシアに冬のスポーツの国際大会を開催させないよう、国際競技連盟に求めていた。マクラーレン報告(リチャード・マクラーレン氏を委員長とするWADA特別委員会の報告)では、2014年ソチ五輪のドーピング検体をロシアの役人がごまかしたと非難されており、IOCはこれに反応した形だ。
国際競技連盟はIOCやWADAの勧告に縛られることなく、世界選手権およびワールドカップのシリーズの実施を独自に決定すると、スポーツ弁護士のヴァレリー・フェドレエフ氏は説明する。
「IBUはマクラーレン報告の中間結果を重視しなかったようだ。だが、最終結果が年内に発表された後、決定の見直しが行われる可能性もあると思う。新たな事実が多く明かされるほど、その可能性は高くなる。どれほどの数のバイアスロン選手が報告に出てくるのかも関係してくる」とフェドレエフ弁護士。
WADAからの批判はあっても、IBUは開催地の見直しを行っていない。IBUのアンネシュ・ベッセバルグ会長は、マクラーレン報告で新たな事実がでてきた場合にのみ、開催権をはく奪すると話した。「Rスポルト」紙がノルウェーのテレビ局「NRK」のこのような報道を伝えている。
2019年冬季ユニバーシアードのクラスノヤルスク開催の準備も、2020年リュージュ世界選手権のソチ開催の準備も、正式に中断されていない。
国際競技連盟は開催地をロシアから別の国へと変更しようとはしていないと、ロシアのヴィタリー・ムトコ・スポーツ相は話した。「国際大会をロシアからはく奪するといった問題は今のところない」とムトコ・スポーツ相。
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