Photoshot / Vostock-Photo撮影
五輪後の虚脱感
―オリンピックの際に今後のことを訊かれて「もちろん現役を続けます、まだ欧州および世界チャンピオンのタイトルを手にしていませんから」と答えていましたが、あのとき目前に控えていた日本での世界選手権で優勝したいと思っていたのですか?
ええ。日本へ行って優勝したかったのですが、五輪が終わると虚脱感に見舞われ、力はみなぎり調子はよいものの何だか抜け殻みたいでした。まあ、引退するわけではなく現役を続行するのだから、来年も一年後も二年後も世界選手権に出場する機会はある、と思いました。
―二、三年前にジュニアからシニアへ移ってから伸び悩んでいましたが、なかなかスランプを脱せずに引退を考えたこともあったのでは?
はい。たとえば、今シーズンの初め、それから、ジャパンオープンの後などに。あのときは、フリーが最悪で、エレーナ・ゲールマノヴナ(コーチのエレーナ・ブヤーノワ)に、何かが欲しいのなら何かをやり、何も欲しくないなら何もやるな、と言われました。もちろん、コーチは、私のことを心配して喝を入れるためにそう叱ってくれたのです。最初は、滑る気になれないのなら本当にやめてしまおうかと思いましたが、結局は、やはり練習に出てまた滑りはじめました。
―アイスショーのために新しい演目を用意されましたが、これまでとはかなり違うプログラムのようですね。
最初のナンバー「カム・トゥゲザー」は、何か新しいものを探していた私の発案です。こうした曲を使ったことはありませんが、かなり風変りで熱のこもった作品に仕上がったと思います。二つ目のナンバーは、日本ではこの曲が愛されているといってタチヤーナ・タラーソワ・コーチが薦めてくれた「白鳥の湖」。ちなみに、初めて出場した2009年のロシア選手権ではこの曲で優勝し、その後、本物のバレエのチュチュをまとってエキジビジョンに出演しました。もっとも、ストーリーはちょっと違っていて、このナンバーでは自分の感情や苦悶と闘う乙女を演じています。
尾行されている感じ
―しつこい取材陣をあしらう術は?
自分をコントロールすることが大切ですね。それは私の仕事の一部です。耐えがたいときは何とかかわしますけれども、インタビューにはできるだけ応じるようにしています。
―交流サイトに対する考え方は変わりましたか?ファンとのやりとりも、おそらく最初のうちは面白くとも、これほど注目されると苦痛になるのでは?
私はもともと交流サイトには否定的です。たしかに人々が手軽に知り合い触れ合える現代的なツールかもしれませんが、私にはどこか安直なものに思えてなりません。あなたが好きですとか、あなたに会いたいとか、あなたは実にすばらしいとか、いくらファンの人たちが書き込んでくれても、その人がどんな人かはインターネットでは判りません。余りにもしつこいのですぐにブロックしたこともあります。
―やはり顔の見える交流が一番ですね?
滑り終えたあとにファンに囲まれるのはうれしいですね。どんなに大勢でも顔は見えますから。ファンとの集いのようなイベントも好きです。交流サイトだと何だか誰かに尾行されているような気がしてぞっとすることがあります。
韓国人を恨んでいない
―熱狂的な韓国人からのコメントが殺到すると、インスタグラムを閉鎖しようとしましたね。
いいえ、閉鎖するつもりはまったくなく、いい加減うんざりしたので「ロック」の状態にしたのです。何も応えたくありませんでしたから。韓国人があのように書くのはわかるとしても、ロシア人までそうするなんて…。
―ああしたネガティブキャンペーンの後に韓国人を恨んだりしませんでしたか?
いいえ。その人たちにとってキム・ヨナ選手がどんな存在か私にはよくわかります。彼らは、彼女をひたすら応援し、彼女のために闘っているのです。
―韓国へアイスショーに招かれたら出かけますか?
正直、ちょっと怖いですね。仲間の話では、行ってもどうといったことはなく、私のことを訊かれたもののそうひどい調子でもなかった、とのことですが。
―オリンピックで優勝してソチやモスクワや日本の観客の拍手に包まれたあなたのこれからの夢は?
将来は家庭を築きたいですね。これは乙女ならだれもが夢見ることで、別に不思議なことではないと思いますけれど…。
―つまり、スポーツや雲の上の夢ではなく、現実的な地上の夢というわけですね?
ええ。そろそろ将来のことを考えなくては。いずれは氷上から身を退くわけですから。でも、もうしばらくは滑りますから、どうぞご心配なく!
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