またもスキャンダルのエメリヤーエンコ弟

エメリヤーエンコ弟が5年の刑を言い渡され(強盗および不良行為と推測されている)、1年半服役していたことを認めた=マキシム・ブリノフ撮影 / ロシア通信

エメリヤーエンコ弟が5年の刑を言い渡され(強盗および不良行為と推測されている)、1年半服役していたことを認めた=マキシム・ブリノフ撮影 / ロシア通信

エメリヤーエンコ・アレキサンダーは、モスクワのカフェでケンカし、MMA(総合格闘技)の試合「レジェンド」から外された。今後の活動は極めて不透明だ。

 エメリヤーエンコ・アレキサンダーは10月23日夜、モスクワのカフェ「ファイナ」で団体客とトラブルを起こした。夕食を取っていた時に団体客ともめ、 そのうちの1人のワシリー・ミシュチンさん(63)を殴ったという。一方でエメリヤーエンコの弁護士は、団体客がエメリヤーエンコに椅子などを投げたと主 張した。双方とも酒に酔っていた。

 

あれから9 

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 2004年8月15日、埼玉県で、エメリヤーエンコ・ヒョードルはアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとの対戦を待ちながら、ミルコ・クロコップに左ハイキックを決められてリングの床に倒れている弟を、モニターで眺めている――。

 あれから9年が経過し、アレキサンダーはようやく雪辱を果たす機会を得ることがで きた。この間生じた多くのできごとは、アレキサンダー自身、そして彼とその行動に対する世間の見方を大きく変えた。

 アレキサンダーは兄ヒョードルと比較された。偉大なるスポーツの功績を残し、理想的なふるまいをする兄は、弟と一緒にトレーニングをしながらも、プライベートでは距離を置いていた。弟をいわば放置したのは、弟がさまざまな疑わしき問題の中心人物だったからなのかもしれない。アレキサンダーの体中に彫られているタトゥーもそうだ。多くの人はこのタトゥーを見て、刑務所の記号体系をイメージしていたが、アレキサンダーはこれが単なる趣味であって、いかなる前 科もないと話していた。

 だがヒョードルはあるインタビューで、弟が5年の刑を言い渡され(強盗および不良行為と推測されている)、1年半服役していたことを認めた。「弟には比類なき才能があるのに、地道な努力が足りないのは残念だ。我々の進む道はわかれている。私がトレーニングをしていた時、弟は”冒険”を探していた」。 2008年3月に行われたインタビューでこのように述べていたが、具体的にどのような”冒険”を示唆していたのかはわかっていない。

 

ついにいったん引退 

 アレキサンダーの2010年4月の対戦は、反響を巻き起こした疑惑の試合だ。スウェーデンのエディ・ベングトソンに軽いジャブをあて、48秒でTKO勝 ちしたのである。MMA史上、過去に類似例はなく、MMAのファンはこれを「エメリヤーエンコ・アレキサンダーの死の接触」と皮肉った。だが本人は臆する ことなくこう述べた。「私のパンチは対向列車のようなもの。外れると対戦相手は風邪をひく」。

 だが”対向列車”の技術はその後、たいして役に立たず、キャリアに影響するような2敗を喫した。最初にほぼ無名のマゴメッド・マリドフにKO負けし、次 にジェフ・モンソンに痛め技で負けた。この敗戦の後にもう一つのスキャンダルを起したが、他のケースとは異なり、その詳細は皆の知るところとなった。

 アレキサンダーは2012年12月、MMA戦のレフェリーを務め、セミナーとサイン会を行うために、シベリア南西部のバルナウル市に向った。だが移動中 の飛行機で痛飲し、客室乗務員にせまり、乗客に対して無礼な態度を取り、さらに飛行機がバルナウル空港に着陸した後、「プラハ」レストランを訪れ、そこで暴れ、客とケンカ。これが原因でM1グローバルから除名され、アレキサンダーは引退を決意した。

 

ギリシャのアトス山の修道院で修行するも 

 その後反省のためにギリシャのアトス山にある修道院に行き、しょく罪の労役をこなすなどして半年間を過ごし、2013年春に「浄化」されたとみなされて、復活のためにロシアに帰国した。

 この時ロシアのMMA市場では、新組織「レジェンド」が勢いを増していた。スポンサーは最初のショーに多くの有名な格闘家を招いたが、その花形スターとして呼んだのがアレキサンダーだった。久々の対戦でアメリカのボブ・サップ(10連敗中でアレキサンダーにのぞんだ)に勝利し、スムーズに復活できるように思えた。「レジェンド」の幹部はさらに、クロコップとの雪辱戦も11月8日に計画した。

 だがアレキサンダーはこの試合に出場することができず、アレクセイ・オレイニクが代わりにクロコップと対戦。アレキサンダーには復活後もスキャンダルが つきまとった。8月には強姦容疑で立件寸前となったが、相手の女性が届け出を取り下げたために、問題にはならなかった。

 そしてクロコップとの雪辱戦の2週間前に起きた、カフェでのケンカ騒動だ。ミシュチンさんは結局、届け出を取り下げた。2人はカフェ「ファイナ」で再会し、紅茶を飲んで仲直りした。だが今回の騒動が決定的となり、「レジェンド」の幹部はアレキサンダーとの契約解消を発表した。

 

ペルソナ・ノン・グラータ 

 アレキサンダーが今何をしているのかはよくわからない。ロシアのMMA市場では、アレキサンダーがペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)になりつつある。外国のプロモーションも、この才能がありながらも評判の悪い格闘家を、受け入れようとはしない。スキャンダラスなアレキサンダーは、またリングに上がることができるかもしれないが、それでイメージを払しょくできるかは疑問だ。

 

 *元記事(露語)