子どものころ学校で食べたあの味

コトレタとピュレ=

コトレタとピュレ=

Lori / Legion-Media
 食堂で食べることは、幼少期から定年退職までのソ連生活の一部だった。便利なだけでなく、厳しい基準に合わせてつくられた料理はおいしくて、食べるのが楽しかった!

 食堂と初めて出会うのは幼稚園。マンナヤ・カーシャ(デュラムセモリナの粥)、オーブンで焼いたふっくらとしたオムレツ、デザートの乾燥フルーツのコンポート...。

 学校の食堂はにぎやかで明るい場所だった。3時限目が終わると昼休み。食堂には、1学級に相当する20~30人ほどが座れる長いベンチとテーブルが置いてあった。お気に入り料理の定番はモロチヌイ・コルジク(ミルク平パン)とペソチノエ・ピロジュノエ(サクサク・ケーキ)、逆に、避けられる料理の定番は魚料理のフリカデリカ(魚団子)や骨の多い魚のマリネード。飲み物は、ホットココアや泡立ったホットミルクが印象的だった。

 上級生は当番の日、テーブルの用意をして、配膳をし、食器を片付けていた。当番をすると、授業や宿題を免除され、料理も多めにもらえ、早めに帰宅できた。

 

ソ連の“味”への郷愁

 ソ連の大学生は、財布が許す限り、食堂でふるまわれるものすべてを喜んで食べていた。当時の有名なジョークがある。「ソーセージ2本ください!(行列の中から『おいおい、ぜいたくだな!』との声あがる)あと、フォーク16本も」

 働くソ連人のための食堂では、ソ連国家規格(GOST)に合わせてつくられたボルシチ、マカロニ、キャベツのサラダが定番料理だった。

 今日、ロシアのどこでも、ソ連風カフェが人気である。例えば、モスクワの赤の広場脇にある「総合百貨店(GUM)」には、カフェ「第57食堂」があり、いつでも外国人旅行者や地元民の長い行列ができている。サンクトペテルブルクには、工場の食堂スタイルになっているカフェ・チェーン「第1食堂」がある。

 ソ連食堂で最もおいしかった料理の一つをここで紹介したい。それはコトレタ(ハンバーグ)と付け合わせのカルトフェリノエ・ピュレ(マッシュ・ポテト)。おいしいコトレタの秘訣は、たねに加える白パン。ボリュームを出すために加えられたのかもしれないが、おいしさもアップする。

 

材料

コトレタ

写真提供:ダリア・ソコロワ写真提供:ダリア・ソコロワ

肉 600グラム(牛肉のみ、または牛肉6:豚肉4)

パン 150グラム

牛乳 100グラム

タマネギ 1個

卵 1個

塩、コショウ 適宜

ピュレ

ジャガイモ 1キロ

牛乳 1カップ

バター 50グラム

 

コトレタのコツ

 おいしいコトレタの大切な条件は、良質な肉。今日、加工品や総菜として店で買うこともできるが、手づくりが一番。

 コトレタ用のパンは2~3日おいたものが良い。焼きたてのパンを入れると、ベタベタになってしまうため。白い小麦パンによって、ふっくらとした、やわらかい仕上がりになる。パンの量は肉の20%以下にする。

 

つくりかた

写真提供:ダリア・ソコロワ
写真提供:ダリア・ソコロワ
写真提供:ダリア・ソコロワ
写真提供:ダリア・ソコロワ
 
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1.     肉をぶつ切りにする。パンは牛乳に浸す。肉を肉ひき機にかけて、ひき肉にする。

2.     タマネギをみじん切りにして、パンも細かく切る。牛肉をもう一度肉ひき機にかけて、タマネギとパンを加える。

3.     卵1個、冷水半カップを加え、たねを練る。

 肉をジューシーにするには、たねを「叩きつけること」。たねを手に取り、力いっぱいにテーブルまたは鍋の中に落とし、それを繰り返すと良い。手に水をつけると、たねが手にくっつかない。その後、余裕があれば、たねを1~2時間冷蔵庫に寝かせても良い。

4.     たねは70~80グラムずつ手にとり、厚さ2~3センチの小判形に形を整える。お好みで、パン粉をまぶしても良い。たねは冷凍保存できる。

5.     よく熱したフライパンに少量の油を入れ、コトレタの両面をあわせて約10分間焼く。または、200度に温めたオーブンで20分間焼く。

 

ピュレ

1.     ジャガイモの皮をむき(芽をとり)、大きな乱切りにする。鍋に入れて、水を注ぎ、塩を少々加えて、強火で沸騰させる。 

2.     ジャガイモがやわらかくなったら(10~30分後)、火からおろす。お湯をすてる。この時、お湯は全部すてずに、少量を底に残す。

3.     ジャガイモが滑らかになるまでつぶす。バターと牛乳を加えてよく混ぜる。

熱々のコトレタとピュレを食卓にふるまう。

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