アレクセイ・トルストイ原作のSF無声映画。ソ連の技師ロッシは、火星に行くための特別な宇宙船を建造。その火星は、不穏な状況にあった。女王アエリータが地球を観察して過ごしている間、火星の下々の住民は奴隷的な境遇に置かれていた。火星にたどり着いたソ連人たちは労働者地区で蜂起をうながすが、怒った女王は火星のプロレタリアートを銃撃するよう命じる。
『アエリータ』は、宇宙飛行を扱った最初期のSF映画の1つである。デザイナーのアレクサンドラ・エクステルとナデジダ・ラーマノワが手掛けた奇抜な衣裳も見逃せない。火星人たちの姿はローマの元老院議員を思わせ、女王アエリータは構成主義スタイルのファッションに身を包んだモダンガールを彷彿とさせる。
ソ連とアメリカの合同探査隊が、3隻の宇宙船で金星に向かった。宇宙飛行士たちは惑星を探査し、爬虫類型の生物に遭遇し、金星の海の底にまで到達する。彼らはその海底で、かつて文明が存在していた証拠を発見する。探査隊の宇宙船が金星を飛び立ったあと、白い服をまとった金星の住人が泉の表面に映り、去っていく宇宙船に手を振る。
パーヴェル・クルシャンツェフが監督を務めたこの映画は、スタンリー・キューブリック、ジョージ・ルーカス、ジェームス・キャメロン、スティーブン・スピルバーグ、リドリー・スコットらにインスピレーションを与えた。
『暴風の惑星』はハリウッドで改変の上、新たなエピソードを追加して『原始惑星への旅』というタイトルで公開された。
この映画には緑色のヒト型生物も、遠い惑星からやってきた宇宙人も登場しない。登場するのは、タイガのどこかに突然、どこからか現れた壁である。学者たちは数カ月間にわたって壁の謎を解明しようとするが、それが何らかの物理現象なのか、あるいは地球外生命体が関係しているのか、判然としない。壁を見つめる者は過去の光景を目にするが、それは一体どこから発信されているのか?あるいは、宇宙人が何らかの方法で地球の生き物を観察しているのか?
『ミステリアスな壁』は、知性を有する海が登場する『惑星ソラリス』にも、「ゾーン」が登場する同じくタルコフスキー監督の『ストーカー』にも、より最近の作品で言えば、宇宙人との共通言語を探るドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』にも似ている。
共通言語がきっと見つかるであろうという希望の映画だが、目立った特殊効果は使われていない。せいぜい、煙と雲くらいである。それでも、このモノクロ映画が与える印象は強い。人類の宇宙飛行はすでに成された。どこかに知的生命体が存在するであろうという仮説も、色あせていない。
地球外生命体との邂逅を描いた作品の中で、最も印象深い映画の1つだろう。長期間続いている調査にも関わらず、惑星ソラリスの理解は一向に進んでいない。宇宙ステーションに滞在する学者たちは、疲労困憊していた。彼らの前には、彼らの悲しい過去に関わる人々が出現する。ソラリスの海を観察する彼らは、逆に海に観察されていることに気付かない。
アンドレイ・タルコフスキー監督のこの傑作映画は、1972年のカンヌ映画祭でグランプリに輝いた。エドゥアルド・アルテミエフの音楽の効果もまた抜群で、ソラリスの海が本当に知性を持つかのように思わせてくれる。
新年の直前に学術都市に現れた宇宙人たちを巡るコメディ。カーニバル用の様々なコスチュームを着込んだ学者や発明家たちは、銀色の服を身にまとった4人組の宇宙人も仲間だと勘違いする。宇宙人たちは地球人に交じって踊りを練習し、喜びや恋愛を知るなど、人間らしさを学んでいく。
UFOこそ登場するが、遠い未知の惑星といったものは出てこない。この映画の中心は相互理解と、どこかに知的な仲間がいるであろうという希望だ。
航空機事故に遭った人々を救出したオライナ星人。彼らは長い間、宇宙で知的生命体を探し求めており、ついに接触するべき時が来たと判断したのだ。生存者の中に、長寿の研究をしているマーティン・エバンス博士がいた。異星人たちの寿命が150~200年以上にも及ぶと知った博士は、研究への協力を要請する。しかしオライナ星人たちは、そうした技術を地球文明が正しく扱えるかに疑問を持ち、協力を渋る。地球人は道徳心よりも暴力を優先する傾向があると理解しているオライナ星人たちは、地球人との接触を拒否する。
宇宙における孤独を扱ったこの悲しい哲学的寓話の主演は、『戦争と平和』や『人間の運命』の監督を務めたセルゲイ・ボンダルチュクである。
少年たちの一団が、地球時間で26年を要するカシオペア座アルファ星への旅に出発する。惑星ワリアナに着陸した彼らはヒューマノイド型の住民に遭遇。「幸福化」を目的に、その住民らによって隔離室に幽閉される。実はその星では、しばらく前からロボットが支配権を簒奪し、感覚や感情を人間には不要なものとして排除し始めていた。愛情や共感といった基本的な資質を奪われた惑星の元々の住民たちは、次第に死滅していった。抵抗する者はわずかしか残っておらず、ロボットは彼らをおびき出しては、「幸福化」の措置を施す。そのため、生き残った住民たちは地球にSOSを送っていたのだ。
この映画はストーリーもさることながら、ビジュアルも面白い。たとえば惑星の住民の衣服は、パコ・ラバンヌのデザインを彷彿とさせる。
殺人を偽装するタイプの、雰囲気たっぷりのサスペンスである。匿名の電話を受けた警察のグレブスキー監督官はホテル「遭難したアルピニスト」に向かう。しかし、何も異常は無い。あえて言えば、宿泊客がやや変というだけだ。雪崩のせいで登場人物は皆ホテル内に閉じ込められるが、その時、死体が発見される。やがてグレブスキーは、ホテルにいるのはスキー好きのレジャー客などではなく、宇宙人と彼らのロボットであると知る。
原作は、世界で最も有名なソ連のSF作家、ストルガツキー兄弟の中編。映画は、道徳的選択を描くフィルムノワールの様相を見せる。ちなみに、登場人物たちの衣裳を担当したのは「赤いデュオール」こと、スラーヴァ・ザイツェフである。
滅亡に向かう惑星デッサ出身のクローン女性、ニイナの物語。彼女は、惑星間航行船プーシキン号が発見した宇宙船の中に残っていた、唯一の生存者だった。ニイナは自分が何者で、どこから来たのか、ほとんど何も記憶していない。しかし次第に、テレポートやテレキネシスの能力を発揮するようになる。彼女の故郷である惑星デッサは環境汚染によって滅亡の危機に瀕しており、わずかな生存者も病に侵され、地下に逃れて暮らしている状況だった。富豪トゥランチョクスは防毒マスクと綺麗な水の販売で富を築き、状況を変えようとは考えていない。
ソビエトSF映画の中でも完成度が高い作品で、警告的なアポカリプス描写は今見ても恐ろしげである。アレクセイ・ルィブニコフによる宇宙的な音楽も、ビジュアル面と良く融合している。
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