写真家ワレンティン・ペレルムーテルがレニングラードのキーロフ(マリインスキー)・オペラ・バレエ劇場に加わったのは1977年のことである。当時の芸術監督兼バレエ団長であったオレグ・ヴィノグラードフに招かれ、この世界的に知られたバレエ団の素晴らしさを画像として発信することになったのである。それからペレルムーテルは20年もの間マリインスキー・バレエの写真を撮り続け、海外公演(1979年の日本公演、1983年のフランス公演、1992年の北米公演)にも同行した。
ペレルムーテルはバレエ界内部の人間であったことから、舞台上でも、舞台裏でも、自由に、驚くような写真を撮る機会を得ることが出来た。彼は、ダンサーたちに信頼され、近づくことを許されたことから、トップ・ダンサーたちの素顔を写すことができた。それだけでなく、彼はコール・ド・バレエ(最下級のグループ)に属するダンサーたちの写真も多く撮り、レッスン場での様子や踊り子たちの厳しい日課などを紹介した。後にペレルムーテルは暗室で実験的な試みを行い、多重露光や合成写真のパイオニアのひとりとなった。
ワレンチン・ペレルムーテルの写真展はサンクトペテルブルク、マリインスキー劇場で2022年7月28日まで開催