ソ連とロシアの見応えある戦車映画10戦

N.Kurikhin, L.Menaker/Sputnik
 伝説的なT-34はどのように生まれたのか、なぜドイツ軍はソ連のKV戦車をあれほど恐れていたのか、「戦車の神」とは誰なのか。

1.『鬼戦車T-34』(原題:Жаворонок)(1964年)

 1942年6月。ドイツ軍のとある演習場で対戦車砲兵分隊が演習を行っている。生きた標的として使われているのは鹵獲されたソ連のT-34戦車で、ソ連兵の捕虜が乗せられている。このまま虚しく死ぬことを望まない戦車兵の一人(と彼らの仲間となったフランスのレジスタンスの兵士)はこの戦車に乗ったまま逃亡することを決意する。

 レオニード・メナケル監督によれば、ストーリーの基となったのは彼がある新聞で見つけた実話だ。「乗員の一人がT-34のエンジンを起動することに成功した。彼らは砲弾の嵐から抜け出して2時間ほどドイツ軍の敷地内を回り、ある橋にたどり着いた。橋には学童の集団が歩いていた。生き残るためには少年らを轢かなければならない。結局戦車はその場から動けなくなった。追いついたドイツ軍は文字通り戦車を蜂の巣にし、指揮官を捕らえ、その晩に絞首刑に処した。ここから映画のアイデアが生まれたのだ」。

2.『ファルハドの偉業』(原題:Подвиг Фархада)(1967年)

 この映画では『鬼戦車T-34』と同じく、戦車によるドイツ軍からの逃亡劇が描かれている。本作で敵の防壁を破るのはファルハド・アバソフ大尉だ。

 『ファルハドの功績』は、第二次世界大戦を描いたソ連映画としては珍しく、ソ連の中央アジア諸共和国出身の軍人らを主要な登場人物にしている。アバソフの役はウズベク人俳優ジャヴロン・ハムラエフが演じ、ラトビアやエストニアの俳優も出演した。映画を撮影したのはウズベク人の映画制作者らで、撮影はカリーニングラード州で行われた。

3.『主任設計者』(原題:Главный конструктор)(1980年)

 1940年3月、完全にカムフラージュされたT-34戦車が牽引車を伴ってハルキウからモスクワまで750キロメートルの極秘の走行を行い、モスクワで国家指導部に披露された。まさにこの時、有名なT-34の量産開始という運命的な決定がなされたのである。

 映画『主任設計者』はまさにこの出来事をテーマにしており、T-34の開発者ミハイル・コーシキンの運命に焦点を当てている。彼が自分の作った戦車の第二次世界大戦での活躍を目にすることはなかった。戦車に乗ってモスクワまで走り、ハルキウまで戻ったことで、彼の健康状態は著しく悪化した。彼は1940年9月26日に死亡した。

4.『シュブニコフ将軍の軍団』(原題:Корпус генерала Шубникова)(1981年)

 1942年冬、ドイツ軍がスターリングラードで包囲されたフリードリヒ・パウルスの第6軍を解放する準備をしている。ニコライ・シュブニコフ少将の機械化軍団に与えられた任務は、ドイツ軍の攻撃を阻止することだ。 

 この映画には鮮烈な戦闘シーンが多いが、時代考証が甘い部分もある。1944年になるまで赤軍にはなかったT-34-85戦車や、戦後に作られた「ウラル」トラックが出てきたり、1950年代の装甲兵員輸送車BTR-40がドイツ軍の車両として使われていたりする。

5.『戦闘車乗員』(原題:Экипаж машины боевой)(1983年)

 この映画はT-34に乗ったアレクサンドル・メニショフとドイツ軍のエース戦車兵との1943年の戦いを描いている。この決闘は史上最大規模の戦車戦、プロホロフカの戦いのある種の前哨戦となった。

 『戦闘車乗員』のストーリーの基になったのは、アレクサンドル・ミリュコフという戦車兵の実話だ。クルスクの戦いの際、彼はT-34に乗り、一対一でドイツ軍の最新のV号戦車「パンター」を破壊した。戦争を生き抜いたミリュコフはこの映画の脚本も担当している。

6.『クリム・ヴォロシーロフ2戦車』(Танк Клим Ворошилов-2)(1990)

 ドイツがソ連に侵攻した直後、偶然集まった毛色の違う人々――打撲を負った軍曹と士官学校生、浮浪児、物理教師――が乗員に放棄された重戦車KV-2に行き当たる。4人全員に、この戦車に乗って敵と戦いに行くという果敢で無謀な考えが浮かぶ。

 『クリム・ヴォロシーロフ2戦車』はソ連で撮影された最後の映画の一つとなった。撮影の資金が絶望的に足りず、映画の一部は白黒フィルムで撮らざるを得なかった。KV-2戦車も手に入らず、改造されたスターリン重戦車が代用された。

7.『ホワイトダイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』(原題:Белый тигр)(2012年)

 1943年夏。ソビエト軍はパニックに陥る。兵士が「ホワイトダイガー」と呼ぶドイツ軍極秘のVI号重戦車が、敵の砲撃を受けることなくソ連の戦闘車両を大量に破壊しているのだ。この幽霊戦車との対戦で奇跡的に生き延びた戦車兵イワン・ナイデノフは、敵戦車の捜索と破壊に取り掛かる。この難題において彼を助けるのは、彼に語りかける「戦車の神」だ。

 『ホワイトダイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』は変わった戦争映画だ。どちらかと言えば謎めいたスリラー映画、哲学的な寓話で、戦争は勝つことのできない怪物だという考えが根幹にある。「もちろん私は戦争に反対だ」とカレン・シャフナザロフ監督は話す。「しかし戦争にけりを付けることができるのか、私は興味がある。我々にそんなことが可能なのか。それとも戦争は人間の本質から切り離せないものなのか」。

8.『タンク・ソルジャー 重戦車KV-1』(Несокрушимый)(2018年)

 この映画は、セミョン・コノヴァロフの実話を基にしている。1942年7月13日、ロストフ・ナ・ドヌー近郊の戦闘において、ドイツ軍に「幽霊」と呼ばれたコノヴァロフ率いる重戦車KV-1の乗員は16両の戦車と2両の装甲車を撃破、兵員の乗った8台の自動車を破壊した。

 映画の制作者らは最大限正確にこの英雄的な事件を再現しようと努めた。映画のためにわざわざロシアの博物館からソ連のT-34戦車とドイツのV号戦車「パンター」が貸し出された。撮影は1941年に実際に激しい首都攻防戦が繰り広げられたモスクワ州モジャイスク近郊で行われた、

9.『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(原題:Т-34)(2018年) 

 印象的で見応えのある高額予算の大ヒット映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』はCG映像が満載で、ゲーム「ワールド・オブ・タンクス」のファンも大満足だ。ストーリーはかなりの点で『鬼戦車T-34』に似ている。ドイツ軍の生きた標的とされたソビエト軍戦車の乗員がドイツ軍の演習場から脱出するという筋だ。しかし共通点はここまでで、ここから『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は独自の展開を見せていく。

 俳優のアレクサンドル・ペトロフは、主人公ニコライ・イヴシュキン中尉を演じる準備についてこう回想している。「『T-34』の撮影開始前、私は数週間住居、これくらい小さな部屋を借り、戦時中の写真で壁を埋め尽くした。戦う人々、捕虜になった人々、占領下の人々の写真だ。そして毎日そこへ通い、電話の電源を切って数時間ずつ過ごした。読書をし、考え、これらの顔、これらの目を見つめながら。こうして自分を切り替えていった」。

10.『T-34 ナチスが恐れた最強戦車』(2018年)

 ソ連映画『主任設計者』で語られたハルキウからモスクワまでの有名な戦車走行劇が現代の映画制作者の関心を呼んだ。しかし今回はオリジナルの物語に多くのフィクションが加えられている。

 より見応えのあるものにするため、ストーリーにはドイツ人破壊工作者やロシア内戦時代から森に隠れ続けていた白軍の一味までもが加えられている。彼らの任務はコーシキンとT-34がモスクワにたどり着くのを妨害し、この強力な兵器が赤軍の手に入らないようにすることだ。

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