ロシアが(ほぼ)完全にリアルに描かれている欧米ドラマ5選

Netflix, 2019
 クマ、ウォッカ、コサック、軽騎兵――これらは米国や欧州の映画やドラマでロシアやその歴史、人々を描く際に往々にして見られる「クリュクヴァ」の代表例だ(「クリュクヴァ」とはロシア語で「クランベリー」の意味だが、転じて「でたらめ」や「見せかけ」という意味でも使われる)。こうした作品は量産されてきたが、次第に質を重視するようになってきている。

 近年欧米の映画やドラマの制作者らは各時代のロシアとその特徴をより忠実に再現しようと努めるようになり、ロシア語圏出身の役者を大きなプロジェクトに招くようになっている。今回我々は、ロシアの嘲笑を作るまいと制作陣が努力した5つの秀作を集めた。ただし、これらの作品の中にロシアに対する古典的なステレオタイプが全くないわけではない。

1. 『ジ・アメリカンズ』(原題:The Americans)

 推理ドラマやスリラードラマにロシアのスパイは付き物だが、原案と脚本を手掛けた元CIA職員のジョー・ワイズバーグは、このありふれた像に、一工夫加えることを考えた。こうして1980年代のKGB職員が、ワシントン郊外に暮らす上品なジェニングス夫妻を装うという設定が生まれた。2人の子供を育て、一般的な米国人家族と変わらない何の変哲もない生活を送りながら、彼らは非常にうまく諜報活動を行っていた――ある時までは。

 米露両国で批評家と視聴者から高く評価されたドラマは、6シーズンの間に多くの変更を受けたが、一つだけ変わらないことがあった。冷戦中の東側と西側、どちらも誇張なく描かれ、最大限現実に近付けられているということだ。『ジ・アメリカンズ』は伊達に米露間での拘束中のスパイの交換が激しく非難されていた時期に作られたのではなかった。

2. 『マクマフィア』(原題:McMafia)

 ジェームズ・ノートン主演のドラマは、初めこそイクラやウォッカ、フォーブス誌の長者番付で有名なロシア人の名を冠した盗賊などのネタで遊んでいるが、次第に複雑な犯罪大河ドラマに変わり、芸術的推論と現実の地政学的真実とが調和しながら絡み合ってゆく。 

 『マクマフィア』の中心にあるのは、ロシアから亡命したオリガルフ、ドミトリー・ゴッドマン(演じたのはロシアの映画スター、アレクセイ・セレブリャコフ)とその家族だ。ドミトリーは祖国をひどく懐かしみ、ほとんどロシア語を忘れてしまった子供たちのことを嘆き、ついには英国、イスラエル、チェコ、インド、そしてもちろんロシアに跨る犯罪事件に巻き込まれる。『マクマフィア』で見られるモスクワのシーンは実際にモスクワで撮られたものだ。第2シーズンではドラマ制作陣は実際のロシアの場面を増やすことを約束している。

3. 『ストレンジャー・シングス』(原題:Stranger Things)

 ダファー兄弟のノスタルジックな人気プロジェクトの第3シーズンは、本作ファンに向けて「ロシアネタ」を提供している。もちろんこれがなければ、謎めいた1980年代の物語は成り立たない。当時特徴的だったロシア人キャラクター(例えば『レッドブル』のアーノルド・シュワルツェネッガーのような)の他、驚いたことにドラマには完全に肯定的なロシア人が現れる。米国映画では唯一のキャラクターかもしれない。それが視聴者の記憶に残る学者のアレクセイで、彼は主人公のホッパーとバイヤーズが、インディアナ州の小さな町にロシア人らが忘れたものを突き止めるのを助ける。学者を演じたのはロシアとウクライナで育ち、英国に移住してキャリアを築いた俳優アレク・ウトゴフだ。『ストレンジャー・シングス』の制作陣はこれだけで終わらせず、第4シーズンのトレーラーでファンをじらしている。その第4シーズンでは「母なるロシア」のシーンがたくさん出てくるはずだ。

4. 『ロマノフ家の末裔』(原題:The Romanoffs)

 カルト的人気を誇るドラマ『マッドメン』の脚本を手掛けたマシュー・ワイナーは、ロシア史の研究に没頭するあまり、ロマノフ家をテーマにしたミニドラマを作ることを決めた。より正確には、現代を生きる彼らの末裔のドラマだ。

 本作は各話が歴史の運命、家族の秘密、一族の呪い、人々が都合よく信じてしまう神話をテーマにした個別の映画だ。だが、これらの話はすべて、皇族の血を引きながら現在はさまざまな国に暮らし、時折ロマノフ家の集いに集まる人々の物語であるという共通点で結ばれている。集いの場面はドラマの第2話において、非常に不気味な精神で描かれている。

 しかし、よりリアルなロシアの現実を思わせるのは第7話だ。この回では、米国人夫婦が孤児院の子供を養女にするためウラジオストクにやって来る。「ロシア」のシーンは全てルーマニアで撮られているものの、2000年代のロシアの広大な田舎、厳しい国境検査、あまり微笑まない人々、安っぽいホテルの様子、さらにはロシアの裁判所まで、完全に忠実に再現されている。しかも、ほとんどすべての俳優が訛りの少ないロシア語を話している。

5. 『チェルノブイリ』(原題:Chernobyl)

 昨年特に異彩を放ったプロジェクトの一つ、『チェルノブイリ』の制作陣は、チェルノブイリ原発事故を分かりやすく描き、思いがけず全世界の運命に影響を与えた事故の人質となった人々の悲劇を伝えただけでなく、プリピャチの一般的な住宅の絨毯から食器、かつてのソビエト官僚や党役員の執務室の大きな机まで、細部にこだわってソ連の生活と風俗を再現している。これは、ショーランナーのクレイグ・メイジンと監督のヨハン・レンクがアーカイブ資料を入念に調べ、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『チェルノブイリの祈り』を読んだ成果かもしれない。撮影はリトアニアとウクライナで行われ、ドラマの公開後はプリピャチ旅行が人気になった(プリピャチはソ連崩壊後ウクライナ領になっている)。主要な役はソビエト体制を知らない外国人俳優が演じているが、義務と名誉、党の命令と人命との間の対立を内面的にだけでなく外面的にも描き出すことに成功している。

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